大阪の国有地払い下げで波紋 野党「安すぎる」国「適正」
大阪市の学校法人が取得した国有地の売買を巡る経緯が、国会などで議論を呼んでいる。野党は当初の評価額の1割強で払い下げられた点を問題視。国は「地下に埋まったゴミの撤去費用を差し引いた」と妥当性を強調しており、双方の主張は平行線をたどる。
焦点となっているのは伊丹空港の騒音対策の一環として国が管理していた大阪府豊中市の未利用地約8770平方メートル。「森友学園」(大阪市淀川区)が昨年6月、国から払い下げを受けた。
財務省などによると、森友学園は2015年5月、今春開校予定の小学校の建設地として、10年以内に買い取ることを条件に国と定期借地契約を結んだ。しかし、校舎着工後、地中に木くずやガラス片などが埋まっていることが判明した。
森友学園は国に撤去を任せると時間がかかるとして、土地の購入を希望。国側は不動産鑑定士による評価額約9億5千万円から撤去費用として試算した約8億2千万円を差し引き、最終的に1億3400万円で売却する随意契約が成立した。
国会で民進党や共産党は、国の撤去費用の見積もりが高すぎると批判。小学校の名誉校長に安倍晋三首相の昭恵夫人が就く予定であることも問題視し、払い下げの価格設定に便宜供与などがなかったかどうか追及した。
国側は「金額は適正」と反論。安倍首相も17日の衆院予算委員会で「私や妻が関係していたとなれば、首相も国会議員もやめると申し上げておきたい」と断言した。
森友学園の担当者は21日、「取材には応じられない」としている。
民進党は調査チームを立ち上げ、21日にメンバーが現地を視察した。