歌舞伎「忠臣蔵 八・九段目」、許嫁と家の命運 上村以和於
歌舞伎「忠臣蔵 八・九段目」、許嫁と家の命運 上村以和於
今日は12月14日。討入(うちいり)の日だが、討入の話ではない。七段目「祇園一力」の秋闌(た)けた歓楽の場の哀歓に続く八段目「道行旅路の嫁入(よめいり)」は初冬の候。冬枯れの東海道を山科指して歩む母娘の旅の風情がしみじみと美しい。
『忠臣蔵』の道行と言えばおかる勘平の「道行旅路の花聟(はなむこ)」がお馴染(なじ)みだが、あの二人連れ立つ菜の花盛りの戸塚の坂の一幕は、実は『仮名手本忠臣蔵』本編では…