ウクライナ、軍備増強に3100億円 対決長期化に備え
【キエフ=田中孝幸】ウクライナのポロシェンコ大統領は24日、首都キエフで開いた独立記念日の軍事パレードで演説した。同国東部の親ロシア派武装勢力を後押しするロシアを念頭に「ウクライナは当分、軍事的脅威に常時さらされることになる」と危機感を表明。軍備増強のために2015~17年に30億ドル(約3100億円)以上を投じ、ロシアとの対決長期化に備える考えを示した。
親ロ派武装勢力との戦闘が続く東部情勢に関しては「政治的な解決策を見つけるためのあらゆる外交努力を続けている」と説明し、政府が6月に提示した和平計画を受け入れない親ロ派の姿勢を非難した。「日本やカナダに至るまで世界中がウクライナと共にある」などと述べ、欧米や国際社会との連帯も強調した。
首都中心部で5年ぶりに開いた軍事パレードには1500人の将兵や装甲車、ミサイル兵器などを動員した。兵員の一部や各種兵器はそのまま東部に出撃し、東部での戦況の厳しさをうかがわせた。
ポロシェンコ氏は26日、ベラルーシの首都ミンスクでロシアのプーチン大統領と会談する。武装勢力の国外退去などを通じた収拾策を提示するとみられ、親ロ派の後ろ盾となってきたプーチン氏の対応が焦点となる。
親ロ派武装勢力は政府軍に対して徹底抗戦の構えを崩していない。東部の主要都市ドネツクでは24日、政府軍の捕虜約50人に市内を行進させ、市民の見せ物にする「敗戦パレード」を強行した。捕虜の人道的な処遇を定めたジュネーブ条約に違反しており、親ロ派に対する国際社会の批判が強まりそうだ。