米フェイスブックが謝罪、投稿操作し心理実験
論文で発覚
【シリコンバレー=小川義也】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックの研究者が2012年に一部の利用者を対象に実施した心理学の実験が物議を醸している。被験者が読む投稿を事前に説明せずに操作していたことが明らかになり、「倫理的に問題だ」などの批判が殺到。同社は6月末に謝罪した。
米国科学アカデミー紀要(PNAS)に6月17日付で掲載された論文で発覚した。実験は12年1月11~18日の約1週間にわたり、無作為に選んだ約69万人のユーザーを対象に実施した。
実験では「ニュースフィード」と呼ばれる部分に表示する友人らの投稿を操作。肯定的(ポジティブ)な印象を与える投稿を減らしたところ、利用者自身の投稿も否定的(ネガティブ)な内容が増えた。逆にネガティブな投稿を減らすと、ユーザーの投稿ではポジティブな内容が増えたという。
米コーネル大学の研究者らと共同で論文を執筆したフェイスブックのアダム・クレイマー氏は6月29日、自らのフェイスブック上で「友人のポジティブな投稿を見ると、落ち込んだり自分が取り残されていると感じたりするという説が本当かを調べるためだった」と説明した。「実験が不安をかき立てたことについては、大変申し訳なく思っている」と述べた。
フェイスブックは被験者への事前説明がなかったことについて、利用者がサービスを利用する際に同意する「データ利用に関するポリシー」の範囲内だと主張している。