ヤクルト容器は「立体商標」 知財高裁判決
乳酸菌飲料「ヤクルト」の容器の形状が「立体商標」として認められるかが争われた訴訟の判決が16日、知的財産高裁であった。中野哲弘裁判長は「形状だけでヤクルトの容器と認識できる」としてヤクルト本社の請求を認め、商標登録を認めなかった特許庁の審決を取り消した。容器の形状だけで登録が認められたのは、国内ではコカ・コーラの瓶に次いで2例目。
中野裁判長は判決理由で、ヤクルトが1968年の販売開始以来、容器の形状を変えずに販売を続け、驚異的な市場シェアを獲得したと指摘。巨額の広告宣伝費をかけ、容器の形状を消費者に強く印象づけてきたと認定した。
そのうえで、商品名の文字や図柄のない容器そのものが、他社商品と区別できる「立体商標」になり得るかを検討。(1)原告側のアンケート調査で、ロゴなしの容器を見た消費者の98%以上が「ヤクルトを連想する」と答えた(2)形状が酷似した他社商品を「ヤクルトのそっくりさん」と認識している消費者がいる――などの理由から「形状のみで区別できる」と結論づけた。
ヤクルト本社は立体商標制度の導入に合わせて97年に登録を出願したが、当時の特許庁の審査基準では容器の立体商標にはロゴが不可欠とされており、東京高裁と最高裁も特許庁の判断を支持したため、登録は認められなかった。
その後、2008年5月に知財高裁でロゴ抜きのコカ・コーラの瓶について登録を認める判決が出たことから、同社は同年9月に再出願。特許庁が再び認めなかったため、改めて知財高裁に提訴していた。
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