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付け焼き刃の覚え書き

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「石油技術者たちの太平洋戦争」 石井正紀

2008-01-29 | 戦記・戦史・軍事
 太平洋戦争を「石油の戦い」と位置づけ、石油外交に派遣された使節団から、徴員された石油技術者、電気や作井などの専門家ばかりの技術工兵部隊、タイピストや電話交換手に志願した少女たちや看護婦などの姿を通して、太平洋戦争を開戦前夜から戦後復興期まで描いた戦記作品。

 何年もかけて対日戦略を押し進めていたアメリカに対し、対米認識の甘い陸軍と乱暴に楽観論を振り回す海軍に政府は引きずられ、日本は泥沼へとはまりこんでいきます。まあ、なんというか「船頭多くして」?
 パレンバンの石油精製施設への空挺作戦が奇跡的に成功したものの、陸軍と海軍の対立もあって輸送計画は滞り、タンカーが次々に撃沈されて内地では石油が枯渇し始めているのに、南方ではタンクからあふれた石油を密林で燃やし続けるありさま。結局、システムというものを軽視しているんだよね。魔法使いの弟子じゃあるまいし、命令一つで航空燃料が湧いて出るものかい。
 そして例によって、徴員された技術者7000名に対し犠牲者は25%、けれども徴員であって軍人でも軍属でもないから戦後も恩給等は無しという、最初から最後まで技術者を軽視しているのでした。
 技術者をはじめ民間人は頑張った。身の安全も保証されないまま頑張ったあげくに4人に1人は死んで、何もしないのに戦犯扱いで拘束され、やっとのことで帰国しても補償無しという話でした。

【石油技術者たちの太平洋戦争】【石井正紀】【パレンバン降下】【南方油田】【徴員】【電話交換手】

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