介入するなら、このタイミングだろう。本コラムでは、7/22と7/26に、一口メモで、そう書いていたしね。市場関係者なら、このくらいの予想は、していないとおかしいくらいだ。日経も、それを見越して、監視体制を取っていたのだろう。それにしても、事前に漏れるとはひどいな。それとも、口先なのか。
もちろん、介入したからといって、円高が収まるわけではない。製造業指数の悪化に見られるように、米国の成長が停滞し、長期金利の低迷が予想されることが、ドル安の要因になっているからである。介入の意味は、輸出企業から高くドルを買ってやり、円高に耐える「補助金」を与えるというものだ。漏らしたのは、その準備をさせるためかもしれない。
本当に円高を変えたいのなら、日米には物価上昇率に差があるから、これを埋めてやれば良い。例えば、財政需要を拡大し、景気が力強く回復する見通しを立ててやれば、円高も一服だろう。その点、与党は来年度早々からの増税を訴え、野党は更なる緊縮を叫んで国債特例法案を止めているのだから、円高を煽っているようなものだ。
昨秋の円高局面でも書いたことであるが、最良の円高対策は、景気を順調に回復させることである。仮に、円高が戻らなくても、内需が拡大していれば、企業が困ることはない。そこへ緊縮ぎみの財政運営を行うから、逃げ場がなくなることになる。日銀の追加緩和も、財政が締めていたのでは意味がない。
筆者は、オバマ政権が進める富裕層への増税は必要だと考える。財政支出を伸ばして景気を維持しつつ、将来の税収を固めて財政や通貨の信任を失わせないようにする。これが米国経済にとって最善の道である。ドル安は、それを歩めないことへの不安が反映されているようにも思われる。
一方、日本の円高はデフレへの不安の反映である。デフレで通貨価値が高まっているのだ。巨額の復興費を出しているように見えて、二次補正までの段階では、昨秋に景気対策をした前年度と大して変わらない支出規模にとどまる。デフレ脱出が見通せないのだから、円高にもなろうというものだ。増税も、デフレ脱出後になされるのが明確なら、こうはなるまい。
米国の反増税派、日本の汎増税派は、いずれも適切なタイミングが分かっていない。増税なら何でも反対、増税なら何でも賛成という、経済実態を無視したイデオロギーが、行き過ぎた円ドルレートの理由なのである。
(今日の日経)
円急騰、緊急対応へ、介入を米も容認姿勢、日銀は基金を10兆円拡大。米債務上限合意、景気へ下押し懸念強まる。牛乳は昼に手渡し。放射線10ms、格納容器内並み。節電1か月、目標上回る。農業支援ファンド創設。製造業、景況感に陰り、米国予想大きく下回る。ホンダ営業益上方修正。経済教室・共通番号制・土居丈朗。
※節電達成とは日本人は本当に立派だなあ。これで経済運営がまっとうなら、繁栄は間違いないのだがねえ。
もちろん、介入したからといって、円高が収まるわけではない。製造業指数の悪化に見られるように、米国の成長が停滞し、長期金利の低迷が予想されることが、ドル安の要因になっているからである。介入の意味は、輸出企業から高くドルを買ってやり、円高に耐える「補助金」を与えるというものだ。漏らしたのは、その準備をさせるためかもしれない。
本当に円高を変えたいのなら、日米には物価上昇率に差があるから、これを埋めてやれば良い。例えば、財政需要を拡大し、景気が力強く回復する見通しを立ててやれば、円高も一服だろう。その点、与党は来年度早々からの増税を訴え、野党は更なる緊縮を叫んで国債特例法案を止めているのだから、円高を煽っているようなものだ。
昨秋の円高局面でも書いたことであるが、最良の円高対策は、景気を順調に回復させることである。仮に、円高が戻らなくても、内需が拡大していれば、企業が困ることはない。そこへ緊縮ぎみの財政運営を行うから、逃げ場がなくなることになる。日銀の追加緩和も、財政が締めていたのでは意味がない。
筆者は、オバマ政権が進める富裕層への増税は必要だと考える。財政支出を伸ばして景気を維持しつつ、将来の税収を固めて財政や通貨の信任を失わせないようにする。これが米国経済にとって最善の道である。ドル安は、それを歩めないことへの不安が反映されているようにも思われる。
一方、日本の円高はデフレへの不安の反映である。デフレで通貨価値が高まっているのだ。巨額の復興費を出しているように見えて、二次補正までの段階では、昨秋に景気対策をした前年度と大して変わらない支出規模にとどまる。デフレ脱出が見通せないのだから、円高にもなろうというものだ。増税も、デフレ脱出後になされるのが明確なら、こうはなるまい。
米国の反増税派、日本の汎増税派は、いずれも適切なタイミングが分かっていない。増税なら何でも反対、増税なら何でも賛成という、経済実態を無視したイデオロギーが、行き過ぎた円ドルレートの理由なのである。
(今日の日経)
円急騰、緊急対応へ、介入を米も容認姿勢、日銀は基金を10兆円拡大。米債務上限合意、景気へ下押し懸念強まる。牛乳は昼に手渡し。放射線10ms、格納容器内並み。節電1か月、目標上回る。農業支援ファンド創設。製造業、景況感に陰り、米国予想大きく下回る。ホンダ営業益上方修正。経済教室・共通番号制・土居丈朗。
※節電達成とは日本人は本当に立派だなあ。これで経済運営がまっとうなら、繁栄は間違いないのだがねえ。