今回の党首選では、各候補とも「復興に全力で取り組む」としたが、具体的な方策は、さっぱり分からなかった。そもそも、中央政府ができることには限りがある。それを上手く見せることが重要になる。地方からの不満というのは、たった三つだ。(1)カネがない、(2)規制が邪魔、(3)方法が分からないである。
(1)については、筆者なら、1戸当たり全壊1000万円、半壊500万円を基準に、市町村に資金を分配して自由に使わせる。「カネがないなら、これを使え」というわけである。一般国民には「1戸に1000万円もあれば、とりあえず間に合うはず」と説明する。警察発表では、全壊11.4万戸、半壊15.4万戸なのだから、それでも総額は1.9兆円に過ぎない。
今日の日経社説では、「三次補正の規模精査を」とあるが、政府の復興費の算定は、増税ねらいで膨らみ過ぎている。23兆円も必要と言うが、これでは1戸当たり1億円を超えてしまう。「1億円あげるから、復興せずに、他県に引っ越してくれ」という暴論が成り立つほど、いい加減なものなのだ。
(2)については、筆者なら、被災市町村に1人ずつ総務省(旧自治省)の職員を送り、首長の御用聞きに専念させる。被災市町村の「カネと規制」の悩みを週一で報告させ、それを直ちにHPで公表するとともに、復興本部は、即断即決で対処法の答え作って公開することにする。できないならできないで、早く答えが分かり、次善の策が見つかることが大切だ。
(3)については、1か所に人材を集中投入して、モデルを作る。例えば、自衛隊の放射能除染隊を福島県の一町に送り込み、除染の具体的なノウハウを確立し、復興が可能であることを示す。それは、自衛隊に除染をさせるということではなく、ノウハウができたら、自衛隊は除染をする事業者の教育役に回る。
以上が本コラムの提案であるが、つくづく、復興も以前からの準備が大切だと感じられる。戦後の農地改革は、占領軍によって実現されたが、戦前からの農林官僚の蓄積が活かされたものだ。今回の震災は、漁業を、資源管理で高付加価値化する機会にもなり得たはずだが、そうなりそうもない。日経オンラインに掲載された、法大の岡本義行先生の「日本の漁業は高収益化できるか」の論考を見るにつけ、道は遠いと感じた。
他方、三陸縦貫自動車道は、復興道路として、迅速に計画が策定された。まあ、進捗率の低い宮古市以北も果たして必要かという気はしないでもないが、準備があればこそであろう。他方、三陸沿岸の鉄道は、復旧の見通しが立たない。赤字ローカル線が被災した場合、どのように交通手段を確保するか、例えば、復旧の代わりに基金を作ってバスの補助をするといった検討の蓄積がないからであろう。
やや古い話になるが、公正取引委員会は、通産省や建設族にいじめ抜かれた冬の時代にも、独禁法の強化策を地道に研究していた。それが米国の目にとまり、日米構造協議の場で取り上げられ、日の目を見ることになる。その後、経済の自由化を背景として、制度と体制が着実に整えられていったのである。
今日の経済教室では、藤田昌久先生が東北州を提唱しておられるが、中心となるだろう宮城はともかく、周辺の岩手や福島は必ずしも道州制に好感を持っていない。東北州なり、復興庁なりの財源や権限も不明確では、魅力を感じろといっても無理がある。中央からの巨額の復興費の移転が必要とされているときに、分権や自律と言われてもリアリティが乏しい。本コラムが考えるのは、あくまでも「どうすれば」の具体策である。
(今日の日経)
幹事長に参院・輿石氏。社説・成長と財政再建の実現。電力制限令前倒し解除、節電目標超え達成。復興増税与党の壁、補正と同時決着焦点。日債銀事件、相次ぐ逆転無罪。がれき8割超撤去、費用3519億円の42%。中国、不動産バブル懸念増す、地方政府向け融資3割増、34兆円。インド経済緩やかに減速。経済教室・脱国境脱中央・藤田昌久。
※前原政調会長は次期総選挙のマニフェストも作るのだろうね。※これだけ節電できるのだから、日本人は大したものだよ。※がれき処理だけで数兆円の予算が必要などと言われていたが、こんなものだ。※中国も目が離せないなあ。
(1)については、筆者なら、1戸当たり全壊1000万円、半壊500万円を基準に、市町村に資金を分配して自由に使わせる。「カネがないなら、これを使え」というわけである。一般国民には「1戸に1000万円もあれば、とりあえず間に合うはず」と説明する。警察発表では、全壊11.4万戸、半壊15.4万戸なのだから、それでも総額は1.9兆円に過ぎない。
今日の日経社説では、「三次補正の規模精査を」とあるが、政府の復興費の算定は、増税ねらいで膨らみ過ぎている。23兆円も必要と言うが、これでは1戸当たり1億円を超えてしまう。「1億円あげるから、復興せずに、他県に引っ越してくれ」という暴論が成り立つほど、いい加減なものなのだ。
(2)については、筆者なら、被災市町村に1人ずつ総務省(旧自治省)の職員を送り、首長の御用聞きに専念させる。被災市町村の「カネと規制」の悩みを週一で報告させ、それを直ちにHPで公表するとともに、復興本部は、即断即決で対処法の答え作って公開することにする。できないならできないで、早く答えが分かり、次善の策が見つかることが大切だ。
(3)については、1か所に人材を集中投入して、モデルを作る。例えば、自衛隊の放射能除染隊を福島県の一町に送り込み、除染の具体的なノウハウを確立し、復興が可能であることを示す。それは、自衛隊に除染をさせるということではなく、ノウハウができたら、自衛隊は除染をする事業者の教育役に回る。
以上が本コラムの提案であるが、つくづく、復興も以前からの準備が大切だと感じられる。戦後の農地改革は、占領軍によって実現されたが、戦前からの農林官僚の蓄積が活かされたものだ。今回の震災は、漁業を、資源管理で高付加価値化する機会にもなり得たはずだが、そうなりそうもない。日経オンラインに掲載された、法大の岡本義行先生の「日本の漁業は高収益化できるか」の論考を見るにつけ、道は遠いと感じた。
他方、三陸縦貫自動車道は、復興道路として、迅速に計画が策定された。まあ、進捗率の低い宮古市以北も果たして必要かという気はしないでもないが、準備があればこそであろう。他方、三陸沿岸の鉄道は、復旧の見通しが立たない。赤字ローカル線が被災した場合、どのように交通手段を確保するか、例えば、復旧の代わりに基金を作ってバスの補助をするといった検討の蓄積がないからであろう。
やや古い話になるが、公正取引委員会は、通産省や建設族にいじめ抜かれた冬の時代にも、独禁法の強化策を地道に研究していた。それが米国の目にとまり、日米構造協議の場で取り上げられ、日の目を見ることになる。その後、経済の自由化を背景として、制度と体制が着実に整えられていったのである。
今日の経済教室では、藤田昌久先生が東北州を提唱しておられるが、中心となるだろう宮城はともかく、周辺の岩手や福島は必ずしも道州制に好感を持っていない。東北州なり、復興庁なりの財源や権限も不明確では、魅力を感じろといっても無理がある。中央からの巨額の復興費の移転が必要とされているときに、分権や自律と言われてもリアリティが乏しい。本コラムが考えるのは、あくまでも「どうすれば」の具体策である。
(今日の日経)
幹事長に参院・輿石氏。社説・成長と財政再建の実現。電力制限令前倒し解除、節電目標超え達成。復興増税与党の壁、補正と同時決着焦点。日債銀事件、相次ぐ逆転無罪。がれき8割超撤去、費用3519億円の42%。中国、不動産バブル懸念増す、地方政府向け融資3割増、34兆円。インド経済緩やかに減速。経済教室・脱国境脱中央・藤田昌久。
※前原政調会長は次期総選挙のマニフェストも作るのだろうね。※これだけ節電できるのだから、日本人は大したものだよ。※がれき処理だけで数兆円の予算が必要などと言われていたが、こんなものだ。※中国も目が離せないなあ。