NHKプラスとは、NHK(日本放送協会)が運営する、NHK総合およびEテレ番組の同時配信・見逃し配信サービスである。
概要
NHKは2014年以降、災害や事件事故、国政選挙などの重大ニュースなどについて、NHK公式サイトやスマートフォン用アプリなどでの同時配信を行っている。
NHKプラスはこの同時配信を常設化したようなもので、2020年3月1日から試験配信が、同年4月1日から本サービスが開始された。
2022年4月現在は、NHK総合については基本的に24時間、Eテレは午前5時から深夜24時までの19時間程度[1]、南関東地域の地上波2局(JOAK-DTV/JOAB-DTV)の番組が同時配信で視聴できる。衛星放送(BS1/BSプレミアム/BS4K/BS8K)の番組は対象外。ただし、再放送等で地上波でも放送される場合、配信されることがある。
(同時配信の時間外でも同時配信画面にアクセスすることはできるが、「この時間は同時配信をおやすみしています」とテキスト表示され、羊がゆっくりと画面左から右に流れるBGM付きのフィラー映像が流れる。)
なお、NHK総合が24時間同時配信化される以前においても、災害発生時や重大ニュースの際は午前0時以降の配信休止中に急遽配信を開始したり、24時をまたいでそのまま配信を継続したりする事例があった。配信休止中に急遽配信を開始した実例としては2021年11月09日午前1時14分頃に福島県で発生した最大震度4(緊急地震速報あり)の地震発生時があり、直後の1時15分から配信を開始し、30分後の1時45分まで配信が続いた。
また、24時を過ぎても配信を継続した実例としては、2021年2月13日23時18分頃に福島県沖で発生した最大震度6強の地震関連のニュースや2021年10月31日に行われた第49回衆議院議員総選挙に伴う開票速報特番などがある。
また、見逃し配信として、番組放送後7日間、回数制限無しで番組を視聴することができる。見逃し配信は同時配信の時間帯に関わらず、配信期間中はいつでも視聴することができる。
(なお、配信対象外の番組も存在する。同時配信のみ・見逃し配信のみの番組もある。[2]
NHKプラスでの配信対象番組はNHK公式サイト内の番組表で確認することができる。)
また、2021年3月以降、南関東地域以外の地方向け番組の一部が見逃し配信で配信されている。
利用は日本国内からのみに限定されており、IPアドレス等で国外からのアクセスと判定された場合は利用できない。
なお、NHKプラスは「放送を補完するサービス」という位置づけとなっており、NHKの受信契約と紐付けられる。このため、1つの受信契約に付き1つのIDで登録を行い、生計を一にする全員が同じIDで利用することになっている。
そうした特性から、同一IDで同時に複数の端末(上限5端末)からサービスを利用することができる。[3]
受信契約と同じ住所氏名でアカウント登録をし、受信契約者名・住所などの登録を行うまで、受信契約との紐付けを促すメッセージが画面上に被せられ、見逃し配信は利用できない。
利用方法
PCからは、ブラウザでNHKプラスのサイトにアクセスすることで利用できる。
スマートフォンからはブラウザまたは専用アプリで利用することができるが、ブラウザ版はスマートフォンに最適化されていないため、公式案内では専用アプリのインストールが推奨されており、既に専用アプリがインストールされている場合はブラウザ版アドレスにアクセスしても自動的にアプリが起動する。
2022年4月1日から、「Android TV OS」「Fire TV OS」搭載のスマートテレビや、「Amazon Fire TVシリーズ」「Google Chromecast」などの外付けデバイス用アプリの提供が開始され、テレビで直接NHKプラスを利用することができるようになった。なお、ある意味当然であるが、テレビ用アプリでは同時配信を視聴することができず、見逃し配信にのみ対応している。今やっている番組が見たいなら普通に地上波で見よう。
PC/スマホ版で利用できる同時配信については、利用登録前or手続完了前でも視聴する事ができるが、前述の通り登録を促すメッセージが画面右下に被せられる。
見逃し配信を利用するためには利用登録手続きを行い、受信契約者氏名、住所などを登録する必要がある。[4]
受信契約者情報などの入力が完了した時点で被せメッセージが消え、見逃し配信も利用できるようになる。[5]
スマートテレビ/外付けデバイス版アプリについては、2022年4月1日~同年6月30日までの間は「動作検証期間」と位置づけられており、ID登録・ログインなしですべての番組を視聴することができる。
なお、自宅にテレビがないなど、受信契約を結んでいない場合、登録できる受信契約情報が存在しないため、NHKプラスの利用登録を行うことはできない。
ただし、2022年3月時点では公式FAQにおいて、「テレビ等の受信機を持っていない場合」についての記述があり、それによると同時配信は受信契約を結んでいない人の場合、受信契約との紐付けを促すメッセージが表示され続けるものの、利用を禁止行為として制限しているわけではないようである。
一方、見逃し配信は受信契約との紐付けが利用条件であるため、FAQでも見逃し配信は利用できないと明記されている。
"かぶせ放送"
テレビ放送とネット配信は、2022年現在は著作権法上、同一のものとして扱われないため、権利関係上、ネット配信の許諾が取れない場合がある。
特に公職選挙法150条の規定によりテレビ・ラジオでの放送に限定している政見放送は、ネット配信が事実上禁止されている。
このような場合、番組自体をまるごと配信休止扱いとしたり、番組内で随時映像を差し替えて「この映像は配信しておりません」と表示したりする対応がなされている。
番組単位で配信休止扱いの場合、BGM付きのどーもくんなどが登場するフィラー映像が流され、一定時間ごとに「現在放送中の番組は配信しておりません」のアナウンスが流れる。
なお、番組と番組の間に流れる番宣枠のうち、NHKプラスで配信されない番組の部分だけをこの「番組配信対象外フィラー」に差し替えている場合があり、「15秒番宣→配信対象外フィラー15秒→番宣15秒→配信対象外フィラー15秒→次番組」といった目まぐるしい変化が見られることがある。
NHKプラスでは同時配信の場合も含めすべての番組に再生時間(残り時間/現在位置)の表示が付いているのだが、このような番宣と配信対象外フィラーが切り替わる場合、フィラーが挟まるたびに再生時間が分断されるため、わずか15秒のカウントダウンを見ることができる。
また、番宣部分は見逃し配信では配信されないため、こうした事象は必然的に同時配信時間帯のみ見られる光景である。
番組中の一部映像で許諾が取れない映像が含まれる場合は、オレンジベースの背景に「この映像は配信しておりません」とテキスト表示される画面が差し込まれる。この場合、映像のみ差し替えられる場合と、音声もカットされ無音となる場合がある。
また、この随時差し込みは同時配信と見逃し配信で扱いが異なる場合もあり、同時配信ではテレビ放送と同様に差し込みなしで配信されていた映像が見逃し配信ではふたかぶせになることがある。
同時配信含め全面的に随時差し込みとなる最も顕著な例はニュース番組のスポーツコーナーで、放映権の関係もありこのような随時差し込みがよく見られる。
見逃し配信のみふたかぶせされるパターンでは、民間企業等への取材を伴う番組での例が度々見られる。
同時配信でのふたかぶせの有無に関わらず、見逃し配信対象番組にこうした差し込みが必要な箇所があった場合、見逃し配信の冒頭に差し込みを行っている旨を表示する画面が追加される。
関連動画
公式ニコニコチャンネル「NHKちゃんねる」に、林家木久扇師匠が登場する解説動画が投稿されている。
残念ながらこれらの動画はコメント機能が無効になっている。
関連リンク
- NHKプラス
- NHK番組表
…同時配信対象番組には⚡(電気マーク)、見逃し配信対象番組には「▶(右向き三角・再生ボタンマーク)の周りを丸く囲う矢印のマーク」がつけられている。
- NHK公式Youtube-NHKプラス
…NHKプラス登録手続きや使い方についての公式Youtube解説動画の再生リスト。前述の林家木久扇師匠が登場する動画以外にも、基本的な利用方法について解説する動画がいくつか含まれている。
関連項目
脚注
- *2020年3月1日から末日までの試験放送期間中は総合/Eテレともに午前7時から深夜24時までの17時間程度、2020年4月1日の本サービス開始から2021年3月までは午前6時から翌日午前0時までの18時間程度、2021年4月から2022年3月までは総合もEテレと同じく午前5時から深夜24時までの19時間程度
- *特に、同時配信時間外に放送される番組の一部が見逃し配信扱いで配信される例がある
- *公式のサービス説明でも家族が別の端末で同時に利用する場合などを想定した説明がなされている。
- *2022年3月31日付の「NHKプラスのサービス内容の拡充について
」において、今後見逃し配信についても未ログイン利用者にも開放する計画がある旨が発表されている
- *2022年2月13日までは、受信契約者の本人確認を目的として、「確認コード」が記載されたハガキがNHKから送付され、確認コードをハガキ到着から3週間以内に正しく入力する必要があった。確認コードが期限内に入力されなかった場合、利用IDが削除され、見逃し配信が再び利用できなくなるため、改めて利用登録をやり直す必要があった。