25/04/08
【2025年度】年金生活者支援給付金「年6万5000円」誰がもらえる?申請方法は?

公的老齢年金は、老後の暮らしをささえる大切なお金です。
とはいえ、国民年金だけでは満額で月あたり6万9308円(2025年度)。昨今の物価高を考えると、厳しいと思う人は少なくないでしょう。
そんな場合に助かるのが、年金生活者支援給付金です。年金生活者支援給付金は、条件を満たせば月額5450円、年間で6万5400円(2025年度)受け取ることができます。
今回は、年金生活者支援給付金を受け取れる条件についてお伝えします。
年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金は、年金を含めた収入が一定基準以下の方に対して、年金に上乗せして支給されます。
目的は生活支援、財源は消費税引き上げ分です。
年金生活者支援給付金を受け取れるのは、3つの条件をすべて満たしている人です。
1.65歳以上の、老齢年金の受給者
2.同一世帯の全員が市町村民税非課税
3.前年の公的年金等の収入金額と、その他の金額の合計金額が、
1956年4月2日以降生まれ:88万9300円以下
1956年4月1日以前生まれ:88万7700円以下
1の老齢年金受給者ですが、老齢年金を受け取っていても、繰り上げ受給で65歳未満であれば対象になりません。また、老齢年金を繰り下げていれば、65歳以上でも老齢年金受給者ではないので、この場合もあてはまりません。
2の住民税非課税世帯の条件は、自治体ごとに決まっています。
たとえば東京都では、以下の人が、所得割・均等割とも非課税です。
① 生活保護法による生活扶助を受けている方
② 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の方
③ 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方
合計所得金額は自治体ごとに決められています。
東京23区では、以下の金額です。
・同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円 × (本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数) + 31万円 以下
・同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合
45万円 以下
所得金額は、収入から公的年金等控除額や、基礎控除(43万円)などを差し引いた金額です。ですから、収入が国民年金の老齢基礎年金だけの独身の方であれば、対象となる人は多いでしょう。
3の「公的年金等」には、障害年金と遺族年金は含まれません。
また、障害基礎年金・遺族基礎年金を受給している方は、それぞれの条件にあてはまる場合に障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金が支給されます。
年金生活者支援給付金は月額5410円にアップ
年金生活者支援給付金は、生活支援が目的です。そのため、物価の変動に応じて毎年見直しがされています。2025年度は、前年の物価変動率=2.7%であることから、2.7%増額されました。
2024年度:5310円
2025年度:5450円
受け取れる金額は、年金保険料の納付済月数に応じて計算されます。
(1)5450円×保険料納付済月数÷480月
(2)1万1551円×保険料免除月数÷480月
年金生活者支援給付金=(1)+(2)
年金生活者支援給付金の受取金額のシミュレーション
年金生活者支援給付金は、老齢年金に上乗せして受け取れます。
受給条件を満たしていた場合、基礎年金に加えて年金生活者支援給付金をいくら受け取れるのか、ケースごとにシミュレーションしてみましょう。
●ケース1
国民年金加入期間:480月(20~60歳の全期間)
国民年金保険料の未納や免除の月はなし
<年金生活者支援給付金の金額>

筆者作成
まずは年金加入する全期間、20~60歳の480月すべて納付していた場合です。
年金額は満額の月額6万9308円、年金生活者支援給付金が月額5450円、合計で月額7万4758円、年額で89万7096円です。
●ケース2
国民年金加入期間:360月(30~60歳)
国民年金保険料の未納期間:120月(20~30歳)
<年金生活者支援給付金の金額>

筆者作成
次に、20~30歳の10年間を未納にしていた場合です。
保険料の納付済月数がケース1より10年分(120月)少ないので、年金生活者支援給付金も少なくなっています。
●ケース3
国民年金加入期間:360月(30~60歳)
国民年金保険料の免除期間:120月(20~30歳)
<年金生活者支援給付金の金額>

筆者作成
20~30歳の10年間、保険料を払っていなかったことはケース2と同じですが、その期間を免除申請して全額免除になった場合です。
免除になっていたことにより、基礎年金額がケース2よりも多くなっています。
また、年金生活者支援給付金も多く受け取れます。
ケース3の年金生活者支援給付金が、ケース1より多いことにも注目です。
年金生活者支援給付金の受取金額の総額はケース1のほうが多いのは当然ですが、国民年金保険料の納付ができていなくても、免除ならこういった配慮も受けられます。ですから、国民年金保険料の納付が厳しいからといって未納にするのではなく、お住まいの自治体に相談して免除が受けられないかを検討しましょう。
年金生活者支援給付金の申請方法は?
年金生活者支援給付金の申請は、「年金生活者支援給付金請求書」を提出して行います。年金生活者支援給付金請求書の届く時期は、人により異なります。
●65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金をはじめて受給する場合
年金生活者支援給付金の受給対象者になることが見込まれる人には、65歳になる3か月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書」と一緒に「年金生活者支援給付金請求書」が届きます。年金請求書と年金生活者支援給付金請求書が届いたら、必要事項を記入して年金事務所に提出し、年金生活者支援給付金の受給対象者と認められれば、老齢基礎年金とともに年金生活者支援給付金が受け取れます。
●「特別支給の老齢厚生年金」を受給している場合
すでに特別支給の老齢厚生年金(要件を満たす人が65歳より前に受け取れる年金)を受給していて、年金生活者支援給付金の受給対象者になることが見込まれる人には、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの場合は前月の初旬)に65歳以降の年金請求書と年金生活者支援給付金請求書が届きますので、必要事項を記入して提出します。
●老齢基礎年金を繰り上げ受給している場合
老齢基礎年金を繰り上げ受給している場合も、「特別支給の老齢厚生年金」を受給している場合と同じく、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの場合は前月の初旬)に65歳以降の年金請求書と年金生活者支援給付金請求書が届きますので、必要事項を記入して提出します。
●所得が減って受給対象者になる場合
老齢基礎年金を受給中で、前年分の所得が減っている場合、要件を満たしていれば新たに年金生活者支援給付金の受給対象者になります。新たに受給対象者になる人には、日本年金機構から9月頃に「年金生活者支援給付金請求書」が届きますので、必要事項を記入して提出します。
●年金生活者支援給付金は電子申請もできる
2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた人は、年金生活者支援給付金の電子申請も可能です。マイナンバーカードと、マイナンバーカードを読み取れるスマホを使ってマイナポータルから「ねんきんネット」にログインして手続きをすればOKです。
年金生活者支援給付金は、原則として請求した月の翌月分から振り込まれます。年金生活者支援給付金請求書は、日本年金機構から届いたらできるだけ早く返送するようにしましょう。
なお、年金生活者支援給付金を受け取っていて、翌年も引き続き支給要件を満たしている場合、追加の手続きは原則不要です(支給要件を一度満たさなくなったものの、再び支給要件を満たしたという場合は、再度の請求手続きが必要です)。
年金生活者支援給付金の目的は生活支援です。該当するならばぜひ手続きをしておきましょう。公的支援を活用し、老後の生活設計もしておきたいですね。
【関連記事もチェック】
・国民年金保険料「未納が4割」は大ウソ、実際の未納率は?
・50歳代「ねんきん定期便(年金定期便)」は絶対確認!見ないと損する3つのポイント
・年金生活者の「手取り」は減り続けているという衝撃の実態【Money&YouTV】
・厚生年金で絶対やってはいけない5つのこと
・国民年金保険料「40年間全額免除」だと、年金はいくらもらえるのか

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

この記事が気に入ったら
いいね!しよう