12月3日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月3日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:泉下で石橋湛山も嘆いている…薄気味悪い石破政権「熟議」という名の茶番劇
それなのに、朝日新聞はこの所信表明演説に合わせるかのように始めた新連載、「政界変動 消えた『官邸1強』」において、<窮地の首相 行き着いた「熟議」>(11月29日付)などと書いていた。野党に媚びへつらうしかない政治状況を「熟議」という言葉で糊塗し、<官邸1強の安倍政権を対立軸に据えた新しい政治への路線転換>だとか書いているのだから、ビックリだ。
大メディアがこうして、持ち上げてくれるのだから、石破にしてみれば「地獄で仏」の心境ではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「路線転換も何も、安倍時代が酷すぎただけじゃないですか。官邸1強で密室でなんでも決めてしまう。そこに集う官僚も強権で決められ、逆らえばパージされてしまう。国会審議は形骸化し、解散権を弄ばれ、忖度でものも言えなかった時代です。それに比べれば、石破政権が少数与党に転落したことで、結果的にはマシになった。それだけのことで、今後、本当に熟議の国会になるかどうかは、臨時国会の審議を見なければいけません。自公の密室協議が自公国の密室協議になっただけでは何も変わらない。国民の監視が不可欠ですよ」
まったくだ。安倍時代の犯罪的な国会審議、民主主義の冒涜を黙認してきた大メディアがその反省もせず、石破の形だけ「熟議」を「新しい政治への路線転換」などと持ち上げるのは「言葉遊び」も過ぎる。
加えて、この「熟議」だって極めて怪しい。自公国は「103万円の壁」見直しやガソリン減税の検討を含めた総合経済対策で合意していて、バラマキ補正の「年内の早期成立を期する」という合意文書に署名している。
「103万円の壁」をどこまで引き上げるか、その財源をどこに求めるかを決めないまま、「早期成立」で合意しているのだから、「白紙委任状」みたいなものだ。
「引き上げ幅によって、財源も変わってくる。国だけでなく、地方の財政にも影響が出る。それなのに、国民民主党は財源を探すのは与党の仕事とばかりに、壁の見直しだけで合意した。無責任すぎる話です。しかも、ふつうは財源捻出のために無駄を削るのが先なのに、そうした議論が出てこない。増税の含みがある可能性もあり、そうしたことも含めて、マトモな国会審議がされるのかどうか、懐疑的な視点で見るべきです」(五十嵐仁氏=前出)
*巻頭特集:泉下で石橋湛山も嘆いている…薄気味悪い石破政権「熟議」という名の茶番劇
それなのに、朝日新聞はこの所信表明演説に合わせるかのように始めた新連載、「政界変動 消えた『官邸1強』」において、<窮地の首相 行き着いた「熟議」>(11月29日付)などと書いていた。野党に媚びへつらうしかない政治状況を「熟議」という言葉で糊塗し、<官邸1強の安倍政権を対立軸に据えた新しい政治への路線転換>だとか書いているのだから、ビックリだ。
大メディアがこうして、持ち上げてくれるのだから、石破にしてみれば「地獄で仏」の心境ではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「路線転換も何も、安倍時代が酷すぎただけじゃないですか。官邸1強で密室でなんでも決めてしまう。そこに集う官僚も強権で決められ、逆らえばパージされてしまう。国会審議は形骸化し、解散権を弄ばれ、忖度でものも言えなかった時代です。それに比べれば、石破政権が少数与党に転落したことで、結果的にはマシになった。それだけのことで、今後、本当に熟議の国会になるかどうかは、臨時国会の審議を見なければいけません。自公の密室協議が自公国の密室協議になっただけでは何も変わらない。国民の監視が不可欠ですよ」
まったくだ。安倍時代の犯罪的な国会審議、民主主義の冒涜を黙認してきた大メディアがその反省もせず、石破の形だけ「熟議」を「新しい政治への路線転換」などと持ち上げるのは「言葉遊び」も過ぎる。
加えて、この「熟議」だって極めて怪しい。自公国は「103万円の壁」見直しやガソリン減税の検討を含めた総合経済対策で合意していて、バラマキ補正の「年内の早期成立を期する」という合意文書に署名している。
「103万円の壁」をどこまで引き上げるか、その財源をどこに求めるかを決めないまま、「早期成立」で合意しているのだから、「白紙委任状」みたいなものだ。
「引き上げ幅によって、財源も変わってくる。国だけでなく、地方の財政にも影響が出る。それなのに、国民民主党は財源を探すのは与党の仕事とばかりに、壁の見直しだけで合意した。無責任すぎる話です。しかも、ふつうは財源捻出のために無駄を削るのが先なのに、そうした議論が出てこない。増税の含みがある可能性もあり、そうしたことも含めて、マトモな国会審議がされるのかどうか、懐疑的な視点で見るべきです」(五十嵐仁氏=前出)
2024-12-03 05:29
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