クルマ選びで大切なことのひとつが、「運転のしやすさ」だ。特に、運転に慣れていない人などが運転しにくいクルマを選ぶと、さまざまな場面で苦労することが多くなるだろう。
家族向けからスポーツモデルまで、運転がしやすく手ごろな価格でドライブを楽しめるおすすめのクルマを6台ご紹介します
そこで、推奨したいのが運転しやすいコンパクトなクルマだ。全長4,500mm以下で、視界にすぐれたクルマを選ぶとよいだろう。さらに、運転操作に対してクルマが正確に反応することも大切だ。反応が曖昧だと運転しづらく、楽しさを感じにくいからだ。運転しやすく反応が正確なクルマなら、ドライバーとクルマとの間に一体感が生じ、運転の楽しさを覚える。また、運転に慣れていない人には、車両価格が安いクルマのほうが好ましいだろう。
そこで、この記事では運転しやすくて楽しく、手ごろな価格のクルマを6車種と、その推奨グレードについてお伝えしよう。
スズキ「スイフト」
スズキ「スイフト」の全長は3,860mmと短く、全幅を含めて5ナンバーサイズに収まる。最小回転半径も4.8mなので小回りがきき、ボディは水平基調なので視界もよい。縦列駐車や車庫入れもカンタンなので、運転しやすいクルマだ。
ステアリング操作に対するクルマの反応は、小さな操舵角から正確で、路上駐車しているクルマを避けるような操作もしやすい。ボディが軽く、2WDの車重は1トン以下なので、1.2L直3のマイルドハイブリッドでもパワー不足を感じない。
さらに、推奨グレードの「ハイブリッドMX」では、トランスミッションが5MTかCVTかを選べる。たとえば、MT免許を取得したばかりの初心者の人が最初に購入するクルマとしても、「スイフト」の5MTモデルはおすすめだ。シフトチェンジやクラッチ操作などは扱いやすく、出力やトルクも適度なので街中などでも運転をじゅうぶんに楽しめる。
スズキ「スイフト」の5MTシフトノブ
また、「スイフト」は安心感を高める安全装備も充実している。メーカーオプションの全方位モニター付きメモリーナビを装着すると、ドライバーモニタリングも備わり、脇見や居眠り運転の警報なども行ってくれる。
ホンダ「フィット」
ホンダ「フィット」は全長が4m前後で、立体駐車場を使いやすい高さに全高を抑えたコンパクトカーとしては車内が最も広い。身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ2つ半に達する。後席の広さは「ハリアー」並みといっても過言ではないだろう。
ホンダ「フィット」のインテリア
しかも、「フィット」は燃料タンクを前席の下に搭載しているので、後席を床面へ落とし込むように小さくたためる。後席をたためば、荷室容量が大きく広がり、荷物も積みやすい。外観を見ただけでは想像できないほどに広い室内を備えている。
ホンダ「フィット」のラゲッジルーム(後席を倒した状態)
さらに、「フィット」は視界も抜群だ。フロントピラーの配置や形状は、死角が少なくなるように工夫されており、ななめ前方の視界がよいので、右左折時にも歩行者などを発見しやすい。サイドウィンドウの下端も低めで、外観は水平基調なので後方視界も良好だ。最小回転半径は、推奨グレードであるハイブリッドのe:HEVホームなら4.9mに収まり、小回りもすぐれている。
なお、積極的に運転を楽しみたい人なら、e:HEV RSもおすすめしたい。トランスミッションはCVTだが、サスペンションがRS専用にチューニングされており、ドライブモードスイッチや減速セレクターなどにも改良が施されているので、操る楽しさや軽快な走りを味わえるグレードだ。
ホンダ「フィット」e:HEV RSグレード
日産「ノートオーラ」
もし、上質なクルマがほしいと考えているなら、日産「ノートオーラ」をおすすめしたい。コンパクトカーの「ノート」をベースに内外装が上質に仕上げられており、装備も充実している。特に、インパネやシフト周りには木目調のフィニッシャーが採用されており、シートは合皮とジャガード織物のコンビとなっているなど、高級感溢れる室内空間を実現している。
日産「ノートオーラ」のインパネ周り
全長は4,045mmとコンパクトで、最小回転半径は5.2mなので混雑した市街地などでも運転しやすい。パワーユニットは、ハイブリッドの「e-POWER」のみになる。「e-POWER」は、エンジンを発電機としてモーターで走行するために、加速が滑らかでノイズも小さい。さらに、「ノートオーラ」に搭載されているモーターは最高出力100kW(136ps)、最大トルク300N・m(30.6kgf・m)と、「ノート」の同85kW(116ps)、280N・m(28.6kgf・m)よりもパワフルだ。そのため、「ノートオーラ」は「ノート」よりもひとクラス上の、力強い加速をあらゆる場面で味わえる。
「ノートオーラ」は、運転のしやすさと楽しさ、プレミアム感覚を両立させている数少ないコンパクトカーだ。
トヨタ「ヤリスクロス」
SUVに乗りたいのなら、トヨタ「ヤリスクロス」を推奨したい。全長は4,180mmと短く、外観も水平基調なので前後左右ともに視界がよい。最小回転半径も5.3mなので、SUVとしては小回りがきく。
ボディがコンパクトなため、車内はあまり広くないのだが、5ドアハッチバックの「ヤリス」に比べれば後席には余裕がある。長距離を移動するのでなければ、ファミリーカーとしても使いやすいだろう。後席にチャイルドシートを装着する用途にも適している。
トヨタ「ヤリスクロス」のリアシート
衝突被害軽減ブレーキは、交差点を右左折するときにも直進車両や横断歩道上の歩行者を検知して作動する。さらに、後方の並走車両を検知するブラインドスポットモニターも備えられている。
「ヤリスクロス」は、外観のカッコよさ、実用的な室内空間、コンパクトなボディによる運転のしやすさ、先進の安全装備を両立させているSUVだ。
ホンダ「フリード」
運転に慣れていない人がミニバンを購入したいのなら、ホンダ「フリード」を推奨したい。2024年に登場した設計の新しいミニバンで、デザインや機能を洗練させている。
「フリード」の全長は4,310mmと、ミニバンの中ではトヨタ「シエンタ」と並んでコンパクトな部類に入る。水平基調の外観なので、前後左右ともに視界も良好だ。最小回転半径は5.2mに収まり、狭い裏道や駐車場でも運転しやすい。
走りは、新型では旧型と比べて操舵がより正確に反応するようになった。さらに、安定感も高められておりe:HEVなら乗り味も重厚なので、ほかのミニバンに比べて運転を楽しめるクルマと言えるだろう。
インパネ周りは、コンパクトミニバンとしては上質だ。販売の主力となる6人乗り仕様では、2列目シートにセパレートタイプが採用されており、両側にアームレストが備わるので快適に座れる。さらに、中央が通路になっているので車内の移動もしやすい。
ホンダ「フリード」の2列目セパレートシート
3列目シートは、ミドルサイズの「ステップワゴン」などに比べると狭めだが、3列目シートを左右に跳ね上げれば広い荷室になり、自転車などの大きな荷物も積める。
ホンダ「フリード」の荷室(3列目を跳ね上げた状態)
「フリード」は、運転しやすいコンパクトサイズでありながら、各種の機能はミドルサイズの「ステップワゴン」にも見劣りしない。
マツダ「ロードスター」
一般的には、運転に慣れていない人にとって本格的なスポーツカーは推奨しにくいカテゴリーだ。ステアリング操作に対する車両の反応が機敏すぎたり、動力性能が高すぎたりするので運転しやすいとは言えないためだ。
しかし、それでもスポーツカーを楽しみたいというユーザーもいるだろう。そこで、注目したいのがオープンスポーツカーのマツダ「ロードスター」だ。ソフトトップと呼ばれる、屋根が手動で開くタイプのグレードに搭載されているエンジンは1.5L直4なので、適度な動力性能で扱いやすい。ステアリング操作に対する反応は少し機敏だが、反応の仕方が素直なので、運転技量を上達させる効果もあわせ持つだろう。さらに、6速MTと6速ATを選べるのも特徴のひとつだ。
ボディサイズは、全長が3,915mmで最小回転半径は4.7mと、混雑した市街地などでも運転しやすいサイズだ。さらに、オープンカーなので爽快な運転感覚を満喫できる。初心者からベテランまで、さまざまなドライバーに適した楽しいスポーツカーが「ロードスター」だ。