Zepp以上に「もっと大きな会場で観たい」と言ってもらえるように
──全国ツアーのファイナル公演をLINE CUBE SHIBUYAで拝見しましたが、内省的なバンドから愛や平和を歌うバンドになり、以前よりもかなり開けた印象をもちました。こういった変化をご自身でどう受け取っていますか?
黒川:最初は閉鎖的なことを歌っていましたけど、聴いてくれる人たちがだんだん増えてくると、その人たちのためになるようなことを歌いたいという考えに自然と変わっていったんです。いままでは自分たちのためだったけど、聴いてくれる人のためにもなる音楽をしたいという視点がひとつ増えたというのが、なにより大きいかなと思います。
桐木 : 視点が増えたというのは、本当にそうですね。お客さんもスタッフさんも増えたので、みんながどう思っているかとか、色々な視点を意識することで考え方も自然と変わっていったのかなと。昔は自分だけの世界にこもっていたし、愛とか平和とかしゃらくせえとか正直思ってたんですよ(笑)。他人なんかどうでもいいじゃんって。でも、いまはそういう考えが0になりました。涙脆くもなりましたし。年齢の影響もあると思いますけど、年齢以外のなにかが自分の中に入ってきて感情を揺さぶっている気がします。
吉田:僕らだけでバンドを動かしていないので、自ずと感謝の気持ちが生まれてきますね。世の中の情勢的に、コロナも戦争も、無視できない問題に何度も直面していると、発信していかなきゃなという気持ちにもなりますし。いままでのものは当たり前じゃないし、自分たちで平和な世の中を作っていかなきゃという。
──そして今夏はフェスにも過去最多で出演されますね。意気込みはいかがでしょう。
桐木:ツアーとフェスって光景も空気感も全然違うんです。今回のツアーでの盛り上がりは、フェスではなおさら当たり前じゃないし。「神サイってどないやねん」っていうスタンスの人も多いだろうから、そういう人たちの巻き込み方も考えていかないとと思っています。ライヴバンドとはあまり思われていない気がするので、僕らなりのグルーヴを提示しつつ、お客さんと一緒に楽しんでいきたいですね。
柳田:神サイってアウェイに慣れてるんですよね。昔は出るライヴのほとんどで浮いていた気がしていて。当時はお客さんとの壁が厚かったし、僕らも暗い曲しかやらないし。いま思うと、当時は尖ってたなって。寝てる人もいたりして、お客さんを敵だと思ってましたからね(笑)。そう考えたら、いまはとても接しやすいバンドに成長したなと思います。
──どのタイミングで考え方が大きく変わったのでしょう。
柳田:タイミング的には、メジャーデビューしてからですかね。みんなと歌える曲を作りはじめたり、ちょっとずつハッピーな曲も描けるようになってきて。いまだに「神サイなんて」と思っている人も当然いると思うので、そういう人たちの手のひらを返させてやりたいなと。ハングリー精神を持って夏フェスに挑みたいです。
──特に楽しみなフェスはありますか?
桐木 : Sky Jamboreeは特に楽しみですね。福岡にある大学の軽音部にみんなで入っていたし、周りの人たちも含めこぞって行っていたフェスなので。だから、いよいよこれに出れるんだっていう気持ちが強くて。
──来年1月からは、全国5都市を回るZeppツアーがはじまります。Zeppはライヴハウスの頂点でもあり、また神サイにとってライヴハウスは原点だと思いますが、どんなパフォーマンスを目指しますか?
柳田:先日の全国ツアーでは、100人規模のライヴハウスからLINE CUBE SHIBUYAまで色々なステージに立たせてもらって。でも改めて思ったのは、ライヴハウスってめっちゃいいなって。もちろんホールもいい場所ですけど、ロック・バンドってそもそもスピーカーから出る音がめちゃくちゃ大きいので、ホールでの演奏って実はすごく難しかったんです。箱の構造を考えても、Zeppという場所はロックバンドにとってこれ以上ない舞台なので、神サイの良さが180パーセント出せるかなと。めちゃくちゃ大きい音で各地を回ってやろうかなと思っています。
黒川:これまで小さめのライヴハウスにもたくさん立ってきましたけど、その度に「もっと大きいところで観たい」と言ってもらっていたので、そういう意味でもいいライヴをしたいですね。それでこのツアーのあと、Zepp以上に「もっと大きな会場で観たい」と言ってもらえるように頑張ります。
桐木:今回の全国ツアーですごくたくさんのものを得ることができて。でもこのZeppツアーでは一旦それを取っ払うことで、また違う神サイの良さが見つかる気がしていて。だから吸収した良さをあえてぶっ壊して、気持ち的には0からやってみたいと思っています。新しい発見があると思うので楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
吉田:セオリー通りのライヴはしたくないですね。初期衝動は持っていたいなとすごく思うし。今回の全国ツアーを通して、考えすぎはよくないって個人的に思ったんです。もちろん、考えることは大事だし、それが土台にあるけど、もっと直感でやっていくべきだと思ったし、それこそがロックバンドのあるべき姿なのかなと。だからZeppツアーでは、そういうあるべきロックバンド像をお客さんへ届けたいと思います。
神サイ史上最も爽やかな新作はこちら
全国5都市でのZepp Tour〈雪融けを願う飛行船〉開催!
1月15日(日)【福岡】Zepp Fukuoka OPEN16:30 / START17:30予定
1月21日(土)【愛知】Zepp Nagoya OPEN17:00 / START18:00予定
1月22日(日)【大阪】Zepp Osaka Bayside OPEN16:30 / START17:30予定
1月29日(日)【北海道】Zepp Sapporo OPEN16:30 / START17:30予定
2月5日(日) 【東京】Zepp Haneda(TOKYO) OPEN16:30 / START17:30予定
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メジャー・ファースト・フル・アルバム『事象の地平線』について
〈Live Tour 2022「事象の地平線」〉ファイナル公演 ライヴレポート
ディスコグラフィー
PROFILE : 神はサイコロを振らない
言葉にならない煩悶をぶちまけるような激しさと、そんな想いにそっと寄り添い、慰めるような静けさと――
「神はサイコロを振らない」の音楽には、一見相反するそれらが共存し、両極が互いに引っ張り合うことで生じる、凄まじい熱量とダイナイズムがある。各楽器が〝歌っている″かのように奏でる情感豊かなフレーズ、意表を突く幻惑的な変拍子、予想を裏切る展開を追求したメロディーライン。いつも何かを探し求めているような、時に哲学的でピュアな歌詞。低音からファルセットまでを自在に浮遊する、叫びと囁きとを巧みに操るエモーショナルな歌声。それらすべてが合わさって生み出されるのが、「神はサイコロを振らない」の〝美しき音のカオス″である。ライヴでは、彼らが持つ静と動のメリハリが際立ち、場の空気を完全にコントロールしてしまう。音を鳴らした瞬間、オーディエンスをその世界に深く引き込み、鳴り止んだ瞬間、まるで催眠術から覚めたかのように、解き放つ。そんなリアルな手触りを伴った幻想的なトリップ体験をもたらす、中毒性の高いライヴßを繰り広げ続けている、気鋭のロックバンド。バンド名「神はサイコロを振らない」は、現代物理学の父、アルベルト・アインシュタインの言葉。観測される現象が偶然や確率に支配されることもある、とする量子力学の曖昧さを批判したもので、アインシュタインは、「そこには必ず物理の法則があり、決定されるべき数式がある」との立場から、〝神″をその比喩として用いた。柳田 周作、吉田 喜一、桐木 岳貢、黒川 亮介からなる「神はサイコロを振らない」が従うのは、「型にはまらない、誰にも出せない音を生み出し続ける」という、自らが定めた絶対的な〝法則″。それをもって自分自身が司る道を自分自身で切り開いていく、との意を込めて命名された。
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