登録日:2011/08/22 Mon 22:42:47
更新日:2024/11/20 Wed 19:17:01
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友蔵『(アニヲタに、ワシの(担当声優の)項目、まだ立たず)』
青野武は、青二プロダクション所属の男性俳優、声優、ナレーターである。
血液型 = O型
生年月日1936年6月19日
北海道旭川市出身
旧芸名は青野 武士。
芸歴45年以上を誇る、大ベテラン。高校時代に演劇にはまり込み高校卒業後は単身上京し、舞台芸術学院にて演劇を学ぶ。
劇団七曜会に所属した際に主役を務めた『欲望という名の電車』での演技が認められ、海外ドラマの『ブロンコ』の主役であるタイ・ハーデンの吹き替えを担当した。
以後これを機に、多くのアニメ・吹き替えなどで活躍している。
数多くの作品に出演している、日本声優界の重鎮。演じるタイプとしては、老人役や悪役などが多い。
若い頃
ウルトラマンで
ザラブ星人を声と中身両方演じたことは有名。
また、大御所の域になってからも名も無い脇役を多数演じ、時にはキャリアを考えると見合わない役もあった。
それでも演じきってしまう辺りが晩年まで仕事数が減らなかった要因と言えよう。
入れ込みっぷりも凄まじく、
ピッコロ大魔王が部下を生み出すシーンでお産の苦しみをイメージして演じた結果、
胃を悪くして体調不良に陥ったことがある程である。
なお、合わないと言われがちだが、ジョジョOVAのヴァニラ・アイス、
ONE PIECEの鷹の目のミホークなど、
一昔前で言う所の所謂ハンサム系のキャラクターを演じることがしばしばあった。
恐らく若手の頃、そういった線の細いハンサムな役者などを吹き替えていた印象からキャスティングされたと思われる。
また本人も痩せ型であった。
そもそも青野武自体、学生時代からハンサムさから役者になることを薦められており、
役者としてデビューした若手時代から二枚目として知られていた。
が、上京直後は故郷である
北海道訛りが抜けず、スターとして見初められかけては数多くのチャンスを逃したと言われている。
このことは外画の吹き替えでも足を引っ張っていたが、ディレクターから「海外の東北なんだからOK」と励まされたりして自信を付けていった。
晩年になるまでこの北海道訛りが完全に抜けるということはなかったが、それもまた青野武らしさとして自然と溶け込むようになっている。
かつて色男として名を馳せたその外観はほぼ声優専業になっても変わらず、晩年に至るまでナイスミドルであった。
所謂国民的アニメのキャラクターを演じていただけでなく、ジャンルを問わず出演作が途切れなかったこともあり、
休業に至るまで声の張りがほとんど衰えなかったことも特筆に値するだろう。
2010年5月末に解離性大動脈瘤の手術のため入院するが、さらに脳梗塞であることが明らかにされ、療養の為、一線を退く。
よって彼が演じていた放送中作品のキャラクターには代役が当てられる事となる。
なお、かなり多くのキャラクターが代役となってしまっており、その影響力の強さを物語る。
しかし休業してからは身体の衰え(舌の筋肉等)が顕著となり、声優活動への復帰は難しいとみられていた。
懸命に療養活動をしていたが、去る2012年4月9日、多発性脳梗塞により天国へと旅立つ。
享年75、齢80を越えても活躍する声優が多いことを考えると少し早すぎるとも言えるお別れであった。
死去した宮内幸平や富山敬、
田の中勇から持ち役の一部を引き継いでいた。
特に田の中勇からは多くの役を引き継いだが、すぐその後を追う形となってしまった。
【出演作品】
全て挙げようとしたら入りきらないと思うので主な出演作品を挙げる。(追記したい人、出来る人は遠慮なくよろしくお願いします)
◆
ドラゴンボール
ピッコロ大魔王(初代)、
神様
ご存知世界的大ヒット作品『ドラゴンボール』の極悪な大魔王、そしてその良心である善の神様にして悟空の師匠を演じる。
他にも
ムラサキ曹長をやっていたりする。
青野さんは地球の神の役を
ドラゴンボール改の初期まで担当していたが、再登場までの間に休業となってしまった。それが神様としては最後の出番だけに惜しい話である。
◆
ONE PIECE
ジュラキュール・ミホーク
こちらも大ヒット作品。
ロロノア・ゾロの越えるべき
ライバルにして、本作最強の剣士とされる『鷹の眼のミホーク』ことジュラキュール・ミホーク役。
若い見た目には合わないという評も多い一方、見るものに「これは勝てない」と思わせるストイックな演技はむしろ凄みを感じるところがある。
現在は「まる子」の先生でおなじみ掛川裕彦が代役をつとめている。
◆
究極超人あ~る
成原成行博士
嵐を呼んでは無責任に去っていくマッドサイエンティスト。多くの変人奇人を輩出することで有名な光画部元部長。
自分を追放した学会を見返そうと
世界征服を思いつき、主人公
R・田中一郎を造ったが、その存在も目的もすっかり忘れていた。
「自爆は男のロマンだぞ、きみ!」などの名言を残す。『はっぴぃ・ぱらだいす』のハイテンションっぷりも必聴。
◆
ドラゴンクエスト ダイの大冒険
ハドラー、まぞっほ
こちらも兼役。主人公のライバルポジションのハドラーとポップの師匠マトリフの弟分役。
これらの要素が作中で登場する前にアニメが打ち切られたのが悔まれる。
◆
交響詩篇エウレカセブン
アクセル・サーストン
本作の主人公である
レントン・サーストンの厳しいながらも優しい祖父役を担当。
余談だが、このアクセル・サーストンの出番は一話限りの予定だったが、青野さんの鼻を鳴らすアドリブがスタッフの間で大変好評だった為、再登場する事になった。
TVシリーズから監督として関わっている京田知己は特に思い入れが強く、青野さんの死後に制作された劇場版『ハイエボリューション』でも後任を立てられなかったと語るほど。
◆
銀魂
平賀源外
色んな意味で自重しないアニメ『銀魂』の、江戸一番のカラクリ技師。
青野さん亡き後も代役を立てず以前の収録音源を使用していたが、ブルーレイの話でついに後任を立てた。後任は
島田敏。
◆
ちびまる子ちゃん
さくら友蔵
国民的ゆるゆる日常アニメ『ちびまる子ちゃん』の友蔵おじいちゃんを、今は亡き富山敬から引き継いだ。
というわけで担当としては二代目なのだが、担当年数が結構長かったことと国民性もあってか、
青野武の声と言ったら真っ先にこのおじいちゃんを思い浮かべるのではないだろうか?
実際、青野武が演じるキャラが出てくると「友蔵」と呼んでいたアニメファンも多かった。
なお、富山敬を尊敬していたため、最初はかなり悩んで演じていたという。
現在の後任は平賀源外同様に
島田敏。
◆
キテレツ大百科
熊田熊八
藤子・F・不二雄の代表的な作品において、ガキ大将的存在・ブタゴリラの父親を演じた。
八百屋「八百八」店主で「
らっしゃい」が口癖。野菜をこよなく愛し、野菜をかけたダジャレを言うなど活気とユーモア溢れたキャラ。
こちらも青野武の代表的な役である。
◆
夏目友人帳
露神
一期第二話『露神の祠』より露神と呼ばれるアヤカシ役。
一話のみの登場だが、青野武の演技でとても印象に残る回であり、
後に同作5期開始の際、主演声優二人もこの回をあげており、特に
井上和彦はこの回の青野さんの演技が素晴らしかったと語っている。
『ありがとうレイコ』
『けれど一度愛されてしまえば』
『愛してしまえば』
『もう忘れることなどできないんだよ』
上記の台詞を青野さんの優しいおじいちゃん声で演じられたらそりゃ泣くわ……
そして、このあとも……
この回は掛け値なしに是非とも見ていただきたい。
◆宇宙戦艦ヤマトシリーズ
真田志郎技術長
「こんな事もあろうかと!」
技術長にして参謀もやってのける、ヤマトクルー最強の縁の下の力持ち。
ヤマトにも出演されてました。
◆メタルギアシリーズ
ロイ・キャンベル大佐
スネークに的確なアドバイスをする大佐。メタルギアソリッド2でも登場、新主人公の雷電にアドバイスを送り続けるが……
終盤の発狂大佐は必見。
メタルギアソリッド3では、グラーニン役で登場。
「資本主義に!」
◆
クーロンズゲート
陰陽師
とんでもなくテンションの高い陰界住人。
正気を疑う程のお喋りさんだが、タイムマシンなどを作れてしまうスーパー科学者。陰陽師なのに。
青野さんの演技もあって、独特の喋りは非常に頭に残る。
「準備はいいかな?もちろんだとも!」
◆
リンダキューブ
エモリ・ヤタロウ博士
リンダキューブのシナリオB、Cで登場する科学者。
Cでは人情溢れる良い親父だが、Bでは偏愛にまみれた狂気の人。
サチコでどうだ?!の演技は鬼気迫るものがある。
◆
銀河英雄伝説
ムライ中将
ヤン艦隊の参謀長でヤン艦隊の中に於いて数少ない真面目で常識人。『歩く小言』との言われるが柔軟な発想もできる、ヤン艦隊の頼れる存在であった。
◆
破裏拳ポリマー
車錠探偵長
「二代目
シャーロック・ホームズ」を自称する三流ヘボ探偵。
むやみに首を突っ込んで騒ぎを大きくするトラブルメーカーだが、どこか憎めないところがそれ以上に目立つ名コメディリリーフである。
ある話ではタイフーンホラマーに変身し、ポリマーの窮地を救うという見せ場も。
夢オチだけどね!
主演の曽我部和恭によると当時の青野さんはかなり怖かったらしく、後に
椎名高志先生も『
GS美神』の打ち上げでこの話を聞かせてもらったとの事。
◆
ラングリッサーⅣ
カコンシス王
味方サイドの人物だが、王の権威にしがみ付いて自己中心的な発言を繰り返す無能。
実の娘や自国の兵、主人公達からすらも煙たがられ、彼のせいで前半の主人公たちは後手に回りっぱなしだった。
物語の後半で彼は暗殺され死亡するが、今まで散々ヘイトを集めてきた彼の死は多くのプレイヤーにとって済々した気分になったとか。
そして彼を失ったことにより主人公達の動きは格段に良くなった。
◆
ゲゲゲの鬼太郎
ぬらりひょん(3期、5期)
ぬらりひょん=鬼太郎の宿敵というイメージを作り上げた立役者でもある。
「ぬらりひょんと言えば青野武!!」という人も多いだろう。
なお4期では端役やゲスト声優としてしばしば出演していた。
しかし最終出演作となった5期では結局不完全燃焼のまま終了してしまうという憂き目にあう。
◆
ボボボーボ・ボーボボ
ソーメン老師、マグロ師匠
妙な役を演じることが多かった青野武の中でも、知る人ぞ知る色物役。しかもどちらも一発ネタレベルの捨てキャラ。
前者は人間であるが、後者は
ただのスーパーでパッキングされているマグロの切り身である。
声優の無駄遣いとして有名な同作の中でもどうして青野武を呼んだ?としか言いようのないキャスティング。
◆
GS美神
見鬼くん
霊気を感知し、現場までの水先案内人を務める霊体センサー式の人形。
原作では霊具の1つに過ぎなかったが、アニメ版ではまさかのナレーションに抜擢。
コメディ要素が強い本作の人気に一役買った……と思われるのであ~る。
劇場版では見鬼くんの出番がない代わりにゲストキャラの明智光秀を担当した。
◆このまちだいすき
シゴック先生
宇宙で最も優秀な宇宙アカデミーの教師であり、主人公のシラベル達を卒業試験の課題として地球に送り込んだ。
キャリア全体で見ても珍しい顔出し出演となっており、おそらく青野さんが俳優として演じた中では最も有名なキャラだろう。
毎回のラストでシラベル達の報告を聞きながら、ありがたい言葉を送る姿も印象深い。
シゴック先生は第4期で退場してしまったが、最終シリーズの第5期では同じポジションのセッカチーフ教授役で続投し、シリーズ皆勤を果たしている。
【吹き替え・その他】
クリストファー・ロイドなどの吹き替えが多い。
◆
バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ
エメット・ラスロップ・ブラウン(ドク)
1955年に
トイレの時計を掛け替えようとして足を滑らせ、便器に頭をぶつけた時に
タイムトラベルを可能とする『タイム回路』を思い付いて以来、
財産の殆どをその研究に費やしてきた。
主人公マーティーにとって世代を超えた頼れる親友であり、息のあったやりとりは必聴。
歴史をむやみに変えてはならないと言っておきながら、自分が一番干渉してしまっている人。
Part1と
Part3では彼の不慮の死がマーティーのタイムトラベルのきっかけとなる。
◆バットマンシリーズ(原語版:マーク・ハミル)
ジョーカー
主人公バットマンの最大最凶の宿敵。
白塗りの顔に緑の髪、紫のスーツというピエロの格好をしたマジキチシリアルキラー。
破天荒におちゃらけながら、奥底には狂暴で冷徹な狂気が渦を巻いている。
分身とみなすバットマンへの執着心は半端じゃない。
原語版のマーク・ハミルにも劣らない狂った笑い声といった怪演っぷりを発揮。
◆アダムスファミリー
ゴードン(フェスター・アダムス)
アダムス家の財産を狙う顧問弁護士の息子ゴードンとして登場。25年前に失踪したフェスターと瓜二つであったため、アダムス家に潜り込むが……
◆
ハリー・ポッターシリーズ
アーガス・フィルチ
愛猫ミセス・ノリスを溺愛する、
魔法学校のお仕置き好きな用務員。
シリーズ六作目まで青野さんが担当(最終作では原作と違いフィルチが決戦に参戦するため何とも悔やまれる)。最終作は浦山迅が代役となった。
◆
ホーム・アローン/
ホーム・アローン2
ハリー・ライム
主人公ケビンと対決する泥棒の一人。相棒のマーヴに比べ知恵が回るが、ケビンに毎回一本取られ、酷い目に遭う。
なお、第1作・第2作とも吹き替えは3種類(ソフト版、及びテレビ版2種類)存在するが、
青野さんはソフト版と
フジテレビ初放送版の2種類で同役を務めている
(なお、他の役の吹替えは全員変更されており、青野さんのみ唯一変更無しである)。
ちなみに、
テレビ朝日版のみ樋浦勉が担当となっている。
◆ウエスタンリバー鉄道
東京ディズニーランドのアトラクションのナレーション。氏の没後も音声は継続して使われており、青野氏は今もなお現役で、軽快な語りで乗客を楽しませてくれている。
◆
きかんしゃトーマス
トップハム・ハット卿
トーマス達ソドー鉄道の
機関車達を取り仕切る局長を今は亡き宮内幸平から引き継いだ。(第5シーズン~第8シーズンまで担当。)
「ゴードン、お前が広々とした眺めを希望したのは知っていたが、幾等何でもこれはやり過ぎだな。」
数多くの役を演じ我々を楽しませてくれた稀代の名優・青野武の輝きは、永遠に消えません。
改めて、ご冥福をお祈りします。
アニヲタ民『聞いてるの?めいでん?』
めいでん『聞いてるよアニヲタ民……』
アニヲタ民『いつまでもニート生活は続かないわよ。現に今日だって広告クリックひとつないじゃない。』
めいでん『あぁ、そうだね』
アニヲタ民『私達はとても現金で薄情よ。力があるうちにもっといい金儲けの仕方を考えるのが身の為ね。』
めいでん『ありがとうアニヲタ民。けれど一度愛されてしまえば……愛してしまえば……もう忘れることなどできないんだよ……。』
- 独特の声が癖になったなぁ -- 名無しさん (2014-03-22 00:03:21)
- 天地無用シリーズのドラマCDの一人芝居とか神がかってた -- 名無しさん (2014-03-22 00:44:12)
- 群像劇の「遠すぎた橋 特別編」の吹き替えは他キャストの演技も含めて必見。 -- 名無しさん (2014-04-16 23:10:05)
- ガキの頃ドラゴンボール・キテレツで聞いて、中学高校の頃遊戯王・銀河声優伝説で聞いて、大学・社会人になっても聞き続けていたのに、お亡くなりになられて本当に残念です。たくさんの感謝とご冥福をお祈りします。 -- 名無しさん (2014-07-03 20:54:08)
- この人の吹き替えしたバットマンのジョーカーがマジで怖かった。 -- 名無しさん (2014-07-03 21:05:34)
- ピッコロ大魔王やぬらりひょんなど悪役が好きだったな -- 名無しさん (2014-11-21 19:20:51)
- HUNTER×HUNTER(シルバ=ゾルディック) -- 日本テレビ版 (2015-03-25 14:29:36)
- 渋いおじいちゃんボイスはホッとする。「ちびまる子ちゃんのおじいちゃん役の人」としてTVで顔出しした時は、司会者から「実写でも行けます」と言われていたのを覚えてる -- 名無しさん (2015-11-21 08:23:04)
- このまちだいすきのシゴック先生など俳優としても活躍してたよ。 -- 名無しさん (2016-05-05 12:54:14)
- 自分はやっぱり真田さんだなぁ……。 -- 名無しさん (2019-02-16 12:22:27)
- OVA版デビルマンのジンメンも、狂気の演技が本当に凄かった。今も大好きな声優さん。 -- 名無しさん (2020-01-21 14:53:27)
- 悪役時の高笑いは圧巻。あんなに悪そうな笑い声は他に無い -- 名無しさん (2020-02-13 14:55:40)
- もう10年か…。 -- 名無しさん (2022-03-30 02:03:27)
- この人のジョーカーの演技は圧巻。キャラがマフィアあがりなのもあってチンピラっぽい演技も様になってる。 -- 名無しさん (2024-02-28 18:53:52)
最終更新:2024年11月20日 19:17