再婚禁止期間訴訟で大法廷弁論 初の憲法判断へ
女性の再婚禁止期間を定めた規定が憲法違反かどうかを問う訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は4日午前、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。原告側は「女性の権利を侵害している」と主張。国側は「親子関係の紛争を防ぐ立法趣旨に合理性がある」と反論し、結審した。最高裁はこれまで同規定が違憲か合憲かの判断を示しておらず、年内にも初判断を示す見通しだ。
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女性にだけ6カ月の再婚禁止期間を定めた民法733条の規定が「法の下の平等」を定めた憲法に違反しているとして、岡山県総社市の30代女性が2011年8月、国に165万円の損害賠償を求めて提訴。一、二審判決で請求が退けられ、上告していた。
この日の弁論で、原告側は「医療の発達した現代ではDNA鑑定によって親子関係を明白にできる。女性に限った6カ月間の再婚禁止期間は必要以上の制約だ」と主張した。法制審議会(法相の諮問機関)は1996年に「再婚禁止期間を100日に縮める」とする民法改正案を答申しており、「放置した国会は立法不作為の責任がある」と訴えた。
一方、国側は「国民の多くがDNA鑑定を利用しているわけではなく、親子関係を巡る紛争を未然に防ぐ規定の立法趣旨は現在も合理性がある」と反論。「再婚禁止期間の制度設計は国の婚姻制度の在り方にかかわり、国会に広い裁量がある」として、国会の対応に違法性はないと主張した。
一審・岡山地裁は12年10月、「立法趣旨には合理性がある」として原告側の請求を退け、二審・広島高裁岡山支部も判断を維持した。
最高裁は1995年に再婚禁止期間の違憲性を訴えた別の訴訟の判決で、合憲か違憲かの判断を示さないまま、原告側の主張を退けた。
4日午後は「夫婦別姓」を認めない民法の規定が違憲かを問う訴訟の弁論も大法廷で開かれる。