「著作権判例百選」改訂版の出版認める 知財高裁
著作権に関する判例をまとめた「著作権判例百選」の改訂版が著作権を侵害するとして、旧版の編集に関わった大渕哲也東大教授が出版社の有斐閣(東京)に出版差し止めの仮処分を求めていた問題で、知財高裁が差し止めを認めた東京地裁決定を取り消していたことが分かった。11日付。鶴岡稔彦裁判長は「大渕氏が著作権法で保護される著作者とはいえない」と判断した。
有斐閣は大渕氏を編者から外した改訂版を昨年11月に出版することを計画。昨年10月の地裁決定は、大渕氏を旧版の著作者の一人と認めた上で、改訂版の判例と解説者の大半が旧版と一致しているとし、大渕氏の氏名を編者として表示しないことは権利の侵害だと指摘した。
しかし、知財高裁決定は、大渕氏はそもそも旧版の原案作成に具体的に関与しておらず、実質的にはアドバイザーの地位にとどまっていたと指摘、差し止めを求める権利はないと判断した。
有斐閣は「主張が認められ、ありがたい。刊行に向け検討している」とコメントした。〔共同〕