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タカタが再生法適用申請 なぜ使われない更生法

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タカタは26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。今後、裁判所関与のもと、利害関係者の協力を得て再建を目指すことになる。法律に基づく破綻企業の再建手法としては、会社更生法の利用も考えられるが、タカタは民事再生法を選んだ。なぜか。

実は同じ再建を目指す法規でも、ここ10年ほどは民事再生法の利用が圧倒的に人気だ。上場企業の破綻としては、2015年のスカイマーク、第一中央汽船などが挙げられるが、いずれも民事再生法の適用申請だった。会社更生法の活用は10年の日本航空、01年の新潟鉄工所など数えるほどしか事例がない。

大企業だけではなく中堅中小企業の破綻でも、再建を目指す場合は民事再生法が好んで選ばれている。小学校開校を断念し破綻した学校法人の森友学園(大阪市)も民事再生法の適用申請だ。帝国データバンクによると、2016年の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は8164件で、そのうち7638件は再建せずに事業をたたむ破産。民事再生法は246件なのに対し、会社更生法はわずか1件にとどまった。

再生法と更生法に、なぜこれだけ大差がつくのか。いずれも、裁判所の関与のもとに経営再建に向けた計画案を策定し、債権者から一定の同意を得て、事業継続を目指す点は同じだ。ただ、経営陣の責任の処し方と再建の担い手が大きく異なる。

会社更生法による手続きの場合は、経営権は裁判所が選んだ管財人に引き継がれ、旧経営陣の残留は許されない。また、企業の財産の処分はすべて管財人主導で厳格に進められる。企業年金がボトルネックのひとつとなった日本航空の場合のように、権利関係が入り組んだ破綻の場合は、更生法が有効。強力な管財人の権限によるスピード処理が可能だからだ。

一方、民事再生法による手続きの場合は、原則として従来の経営陣が引き続き経営を行うことができる。また、財産処分や新しいスポンサーとの交渉を既存の経営陣と支援役の金融機関、大口取引先が主導して行うことができる。事前に再建のシナリオが描かれているプレパッケージ型の破綻処理では、混乱を最小限にしつつ素早い再建を目指すことが可能となる。

中小企業が会社更生法ではなく民事再生法を選ぶ理由としては、今までの社長、会長、創業者らが引き続き経営に当たれることが大きい。一方、上場企業の場合は、株主などへの責任もあり、法律上続投が可能だとしても旧経営陣の退陣は免れない。事前に再建シナリオを作り込んで取引先や下請け企業などへの影響を最小限に抑える点に力点を置き、民事再生法が活用されている。

今回のタカタの場合も、中国・寧波均勝電子傘下の米自動車部品大手、キー・セイフティー・システムズ(KSS)がスポンサーとなり、同社傘下で再建をめざすことが事前に決まっていた。主要取引銀行の三井住友銀行は当面の運転資金として上限250億円の融資枠を設定したと即座に発表した。26日の記者会見では、高田重久会長兼社長は18年3月までに経営責任を取って辞任することを明らかにしている。つまり、完全なプレパッケージ型の破綻処理ということだ。

(石塚史人)

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