国連総会、エルサレム巡り米非難決議 反対9・棄権35
【ニューヨーク=高橋里奈】国連総会は21日緊急特別会合を開き、エルサレムをイスラエルの首都に認定した米国の決定撤回を求める決議を賛成多数で採択した。賛成は日本を含む128カ国。トランプ米大統領は決議案に賛成した国には経済援助を打ち切ると表明しており、一部の国は棄権した。
反対は米国やイスラエル、パラオなど9カ国。棄権はカナダ、オーストラリアのほかハンガリーなどの東欧諸国、ジャマイカなどカリブ海諸国を中心に35カ国だった。
日本は中東との信頼関係などを考慮し賛成した。外務省幹部は「あえて反対する理由が見当たらないし、棄権という選択肢は米国との関係でも何らプラスに働くものではない」と説明した。
総会決議は安全保障理事会の決議のような法的拘束力を持たないが、国際社会の総意を示す。
決議では米国の名指しを避けたが「エルサレムの地位を巡る最近の決定に深い懸念」を表明。「聖都エルサレムの特性や地位、人口構成を変えるいかなる決定や行動も法的に無効であり、安保理の関連決議に従い取り消されなければならない」とした。
テルアビブからエルサレムへの大使館移転を決めた米国を念頭に「全ての国連加盟国はエルサレムに外交機関を置かないよう求める」とも記した。
採決に先立ち、緊急会合の開催を求めたトルコのチャブシオール外相は「ある加盟国が反対票を投じるようにすべての加盟国を脅した。ある国々は経済援助を打ち切ると脅された」と述べ、米国を非難した。
その後演説した米国のヘイリー国連大使は「国連で我々に敬意を払わない国々を見ている。この投票は記憶される」と述べた。ヘイリー氏は19日、ツイッターに「批判票を投じれば米国は名前を記録する」と投稿、加盟国に反対するよう呼びかける書簡を送っていた。
トランプ氏も20日にホワイトハウスでの閣議の冒頭で「何億、何十億ドルの援助を受けている国が我々に反対する」とし、「反対票を入れさせよう。大きな節約になる」と援助停止を示唆した。