フェイスブック使った選挙介入、「独力では防げず」
米公聴会で幹部が説明へ
【シリコンバレー=中西豊紀】インターネットの選挙への影響について米IT(情報技術)大手の幹部が証言する議会公聴会が5日、米ワシントンで開催される。フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は「(選挙への)介入を我々だけで防ぐことは不可能」と述べる見通し。同社への批判が相次ぐなか、政府との協調で打開策を探る。
公聴会にはフェイスブックのほか、ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)が出席する予定。グーグルは法務担当の幹部を送るとみられている。3社はユーザー数の多さなど有力な交流サイト(SNS)を運営しており、中間選挙を前に上院の情報特別委員会が国内外の勢力による情報操作への対応について説明を求めていた。
4日にフェイスブックが議会に示した資料によると、サンドバーグCOOが「米国は民主主義を陥れようとする勢力に常に脅かされてきた」と述べる予定。その上で「いま何が新しいかというと、そうした勢力が用いる手法だ」と説明し、産業界や行政、民間の専門家らによる対応が不可欠なほどSNS活用が複雑になっている現状を訴えるもようだ。
フェイスブックは2016年の米大統領選でロシアの情報操作を許したとして議会の批判にさらされている。最近もロシアとイランが関与した情報操作につながるページを多数摘発するなど、11月の中間選挙に向けて不正対策をアピールしてきた。一方で民間としてできることには限界もあり、政官含めた包括的な対応を求める構えだ。
一方、ツイッターのドーシーCEOは同社のサービスに表示されるコンテンツについて「政治的なイデオロギーに基づいているのではない」と説明する予定。トランプ大統領や保守派の政治家が同社のコンテンツを「左派的だ」と批判しており、改めて「公平」さを強調するとみられる。
米議会は4月、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOを呼び公聴会を開いた。この時は情報流出やプライバシー問題への甘い対応を批判する内容だった。今回の公聴会ではロシアやイランといった海外勢力による情報操作の実態を詳しく聞く見通し。選挙を前にシリコンバレーにも政治の風が吹き始めた。