大学秋入学、賛否は二分 東大検討で注目度高く
民間調査
東京大が入学時期を秋に移す検討を始める中、他大学で秋入学導入への賛否がほぼ二分していることが教育情報会社「ライセンスアカデミー」(東京・新宿)が実施したアンケート調査で分かった。留学生が増えてキャンパスの国際化が進む点を期待する一方で、高校を卒業して入学するまでの約半年の過ごし方などを懸念する声が強い。
東大の秋入学移行の検討開始を受け、同社が8月上旬、東大以外の4年制大学576校に質問票を送付。45.7%にあたる263校が回答した。
自校での秋入学への移行について尋ねたところ、「4月入学を廃止」が16.4%、「4月入学と併存させる」が26.6%だった。2つを合計した肯定派は43%になる。
「秋入学は不要」は39.5%。賛否を示さない「その他」は10.7%で、大学院や留学生だけに適用する限定導入を認める意見も含まれていた。
移行のメリットとデメリットについても選択肢を示して尋ねた(複数回答)。メリットは全体の49.8%が「留学生の増加」、44.9%が「帰国子女が入学しやすい」と回答。秋入学が主流の世界の大学と足並みをそろえることで留学生の派遣と受け入れがスムーズになり、国際化が進むと期待している。
一方、デメリットは「ブランクが生じる」で46.0%で最多。同社の担当者は「高校卒業から大学入学までの約半年間に学生がトラブルや事故を起こした場合の責任を誰が取るのかなどを懸念している」と分析する。
大学の卒業時期も秋になることが想定され、自由意見では「就職活動や国家試験の受験に影響する」との指摘があった。「教員の負担が増える」「小規模校は対応が難しい」との意見も出た。
移行に伴って生まれる約半年の猶予期間の活用法は「入学に向けた学習」が62.7%、「社会体験」が58.2%、「ボランティア」が47.9%だった。
東大の秋入学移行の検討については計52.1%が「注目している」と回答。動向に関心が高いことがうかがえる。