コンピューターウイルス作成罪を新設 改正刑法が成立
多発するコンピューターウイルスを使った犯罪の取り締まり強化のため、「ウイルス作成罪」の創設を盛り込んだ改正刑法などが17日の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。7月に施行される予定。サイバー犯罪の防止に期待がかかる一方、捜査権の乱用によるプライバシー侵害を懸念する声も出ている。
改正刑法は、正当な理由なくウイルスを作成、提供、供用した場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定。ウイルスの取得や保管も2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。わいせつ画像を不特定多数の人に電子メールで送信する行為を処罰対象に加える。
また捜査当局が、ウイルスを作成したコンピューターと接続しているサーバーからデータを複写し、差し押さえることが可能になる。インターネットの接続業者などに最長で60日間、通信記録を保全するよう要請できるとした。
国会審議では、通信履歴の保存が憲法によって保障される通信の秘密を侵害する恐れがあると指摘する意見などが出され、参院法務委員会は法律の適切な運用を求める付帯決議を採択した。
ウイルス作成罪創設を含めた改正案が提出されたのは、自公政権当時から3回目。過去2回は組織犯罪対策として同時に提案した「共謀罪」創設への反発が強く、いずれも廃案となり、今回の改正案では共謀罪関連の項目は除いた。