運賃「のぞみ」700円上乗せ? リニア開通時の姿は
リニア中央新幹線東京(品川)―名古屋間の詳細なルートや駅の位置が18日公表され「夢の超特急」の開通に向けた動きが前進した。来年で開業50年を迎える東海道新幹線とのすみ分けや運賃はどうなるか。東京五輪・パラリンピックの開催に間に合うのか――。気になるポイントをまとめた。
●運賃は?
リニア新幹線の所要時間は品川―名古屋間最短40分。これは現在1時間30分強かかる東海道新幹線「のぞみ」の半分以下だ。ただこれは中間駅に停車しない直通運転の場合で、1駅とまると8分間ずつ時間は延びる。JR東海は運行本数を「1時間あたり5本」と仮定し、最大で同15本の東海道新幹線より本数は少なくなりそうだ。
気になるのが運賃だ。JR東海は今のところ品川―名古屋間の運賃を東海道新幹線「のぞみ」の運賃に700円程度上乗せすることを想定している。2045年に大阪まで全面開業した際も、上乗せは全線で1000円程度にとどまる見込み。
●東海道新幹線は?
リニア新幹線をつくる最大の目的は、首都圏と中部、関西圏を結ぶ大動脈の「二重化」だ。大災害で東海道新幹線が使えなくなった場合、三大都市圏間の輸送を確保する狙いもある。
大動脈が2つになると、東海道新幹線の位置づけはどうなるのか。簡単にいうと今の「のぞみ」の役割がリニアに移り、東海道新幹線は途中駅にも停車する「ひかり」や「こだま」の役割が増す。リニア新幹線は出張などのビジネス、東海道新幹線は通勤や観光用とすみ分けし、東海道新幹線に「食堂車」を復活させる構想もあがっている。
●五輪に間に合う?
東海道新幹線が開業したのは1964年10月で、1回目の東京五輪の開幕直前だった。リニア新幹線も日本の高い技術力を世界に発信する好機として、20年の東京五輪・パラリンピックにあわせた開業を望む声は少なくない。
ただ総延長286キロのうち86%は「大深度」と呼ばれる地下40メートルやトンネルが占める。途中には南アルプスのトンネル整備などもあり、JR東海は「2ケタの年数がかかる工事で(物理的に)短縮しようがない」(山田佳臣社長)と前倒し開業には否定的だ。