米電子決済大手ペイパル、携帯決済巡りグーグルを提訴
「企業秘密を漏洩」と主張
【シリコンバレー=岡田信行】米イーベイと傘下のインターネット決済大手米ペイパルは26日、米グーグルと同社に移ったペイパルの元幹部2人が、携帯電話決済についての企業秘密を持ち出したなどとして、グーグルと2人を提訴した。グーグルは同日、携帯電話決済の新戦略を発表。一方、ペイパルは同分野では米フェイスブックと協力関係にある。成長分野を巡る米IT大手の対決が激しさを増してきた。
ペイパルが26日付でカリフォルニア州サンタクララ郡の上位裁判所に提出した訴状によると、ペイパルから昨年移籍した元幹部が、携帯電話決済担当の別の元幹部を勧誘。勧誘された幹部が今年1月にグーグルに移籍した際に企業秘密を漏らしたと主張し、損害賠償などを求めている。
携帯決済は今後、ネット決済の主戦場になるとみられている。グーグルは26日にクレジットカード大手のマスターカードなどと組んで本格展開を発表。発表会では元ペイパル幹部の2人も登壇した。
一方、ペイパルはあらかじめクレジットカード番号などを登録しておくネット決済を展開。「買い物時にカード情報を再入力する必要がなく安全性が高い」(スコット・トンプソン社長)点を売り物に普及が進んでいる。最近ではフェイスブックとの協力関係を深めてきた。
昨年11月には米携帯電話大手のAT&Tやベライゾン・ワイヤレスなど3社が携帯決済のインフラ普及に向けて共同出資会社を設立。「iPhone(アイフォーン)」で快走する米アップルも携帯決済が可能な端末を開発中と報じられている。これまで携帯決済や電子マネーが普及していなかった米国での本格普及をにらんで、競合企業同士の訴訟合戦や、金融や通信を巻き込んだせめぎ合いが激しくなりそうだ。