原子力保安院、経産省から分離も 首相が検討表明
定期点検中の原発「安全性確認されれば稼働」
菅直人首相は18日夕の記者会見で、定期検査や点検で停止中の原子力発電所について「緊急的な安全措置がしっかり講じられたものは、従来の方針に沿って安全性が確認されれば稼働を認めていくことになる」と述べた。安全対策を経た上で順次再稼働するとの見通しを示したものだ。原発の安全性を監督する原子力安全・保安院を経済産業省から分離する考えも表明した。
点検などで停止中の原発の再稼働を巡っては、安全性が確認されれば地元同意の必要はない。ただ、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、各電力会社は地元の反発を懸念して再稼働を見合わせている。電気事業連合会によると4月の原発の稼働率は50.9%で昨年同月の66.9%を大きく下回った。再稼働ができなければ深刻な電力不足を招く恐れがある。
原子力安全・保安院に関しては「原子力を進めていく立場と、チェックする立場が、共に経産省に属している」と指摘。「長年の原子力行政のあり方も十分に検討し、改革のあり方を見いだしていきたい」と、原発事故の原因を検証するために設置する調査特別委員会で経産省からの分離も検討すると表明した。
東電の経営形態見直しに関連して、電力会社の発電部門と送電部門の分離案が浮上していることには「地域独占ではない形の通信事業が生まれている。そういったあり方も含めて、議論する段階は来るだろう」と強調。設備を一部開放して競争を促した通信事業を例に挙げ、発送電分離を検討する考えを示した。
今国会で今年度第2次補正予算を求める声があることには「本当に急ぐものが提案されてきた場合、1次補正で不十分とすれば考えなければならない」と述べ、緊急の予算措置が必要な場合は今国会に2次補正予算案を提出する姿勢も示した。
東電の損害賠償(補償)の支援枠組みを定めた関連法案の今国会提出の可能性に関しては「法律の成立いかんにかかわらず、賠償そのものはきちんと進める」と述べるにとどめた。
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