北陸鉄道が1億円に減資 自治体に「上下分離」提案へ
北陸鉄道(金沢市)は19日、資本金を1億円に減額すると発表した。税制上は中小企業となり、法人事業税などの税負担を軽くできる。宮岸武司社長は同日の記者会見で、鉄道の運営とインフラの保有を分ける「上下分離方式」を関係自治体に提案する方針を示した。
資本金を約18億円から1億円に減らし、減少分は資本剰余金に振り替える。6月29日の定時株主総会で可決されれば、8月4日に減資する。鉄道業界では今年、沖縄都市モノレール(那覇市)や真岡鉄道(栃木県真岡市)が1億円への減資を発表している。
同日発表した2022年3月期の連結決算は、最終損益が10億円の赤字(前の期は20億円の赤字)だった。売上高にあたる営業収益は10%増の85億円。収入の支えになっていた高速バスの利用が低迷しており、人件費や設備の維持費を運賃収入でまかなえない状態が続く。
記者会見で宮岸社長は「自力で路線バスや鉄道を維持していくのは困難」として、改めて自治体に対して協力を求めた。特に浅野川線と石川線の2路線を抱える鉄道事業は、コロナ前から慢性的な赤字となっている。5月中にも金沢市など沿線自治体が参加する協議会で、上下分離方式を提案する考えも示した。
路線バスについては「運賃の改定は必要になってくる」との認識を示した。ただ、運賃の引き上げには国土交通省の認可が必要で、今後検討する。バスと鉄道は地域住民の「足」で、どう守るかが地域の課題となっている。
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