中外製薬のリウマチ薬「新型コロナに有効」 英政府
【ロンドン=佐竹実】英政府は中外製薬が開発したリウマチ治療薬について、新型コロナウイルス治療に有効だと発表した。効果を確認したのは「トシリズマブ」(製品名アクテムラ)で、死亡リスクを24%減らし、入院期間も7~10日短縮できた。全国の病院の集中治療室(ICU)で8日からトシリズマブを使用できるようにした。
英国では1日の新規感染者が5万人を超える日が続き、医療が逼迫している。ハンコック保健相は「パンデミック(世界的大流行)から抜け出すための画期的な発見だ。ウイルス封じ込めで重要な役割を果たすだろう」とコメントした。欧州では中外の親会社であるロシュ(スイス)が製造・販売しており、英政府はロシュと連携する。
アクテムラは、重症肺炎患者の体内で起きる過剰な免疫反応を抑える効果が期待されている。日本では2020年5月から、新型コロナで肺炎が重症化した入院患者を対象に治験が実施されている。海外ではコロナ治療薬のレムデシビルと併用する治験が行われている。中外はこれらの治験結果を踏まえ、21年中に日本で承認申請することを目指している。
英政府はこれまでも治験に資金提供し、比較的低価格で手に入りやすい抗炎症薬のデキサメタゾンについて、新型コロナ治療に効果があることを確認している。
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