政府、備蓄米放出に転換 価格高騰受け指針改定へ
政府は米価高騰の解消に向け、緊急時のために備蓄するコメを柔軟に放出できるように運用を変える。農林水産省が月内にも、不作といった事態でなくとも放出できるように指針を改定する。消費者の生活の重荷になっている価格高騰を抑える。
政府備蓄米は現在、大凶作や連続する不作などで民間在庫が著しく低下するなどの緊急事態に限り、放出する運用になっている。農水省は月内に開く有識者会議で米価の安定に関する基本指針について、備蓄米の放出を柔軟にできるよう見直す案を示す。
江藤拓農相は24日、「政府備蓄米の買い戻しの条件付きの販売を可能とすることを議論してもらう」と述べた。単に放出するのではなく、のちに国が買い戻すことを条件に、全国農業協同組合連合会(JA全農)などの集荷業者に販売できるようにする。
政府は備蓄米を柔軟に集荷業者などに放出できるようにすることで流通量の不足が緩和でき、市場価格の高騰が解消に向かうとみて運用を転換する。
コメの品薄状態を受け、備蓄米放出を求める消費者側の声はあったものの、政府はこれまで踏み切らなかった。次の新米が市場に出てくれば流通量が回復し、価格高騰も落ち着くとの見通しを当初示していたためだ。
24日には江藤氏が「今年に入っても高い状況が続くのではないか」と指摘した。価格高騰が長期化する可能性も視野に入れ、政府の見通しを修正した格好だ。
足元では不作ではないものの、流通量不足が原因でコメの価格は急騰している。卸会社の取引価格は新潟産コシヒカリが1カ月で35%上昇した。月間の上昇率としては「平成の米騒動」があった1993年10月を上回り、過去最大になっている。