10年物国債入札、最高利回り0.915% 11年半ぶり高水準
財務省が2日実施した10年物国債入札で、最高落札利回りは0.915%と11年半ぶりの高水準となった。日銀が10月31日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を再修正したことで流通市場で10年債利回りが上昇(債券価格は下落)しており、入札の落札利回りも切り上がった。
平均落札利回りも0.910%と11年半ぶりの高水準となった。10月の前回入札は最高落札利回りが0.770%、平均落札利回りが0.768%だった。
財務省の国債入札では高い価格(低い利回り)で応募した順に落札し、予定額に達した時点の利回りが最高落札利回り(最低落札価格)となる。
今回の入札を巡っては、日銀の政策修正などを受けた金利の先高観から需要が集まらないことへの警戒が高まっていた。応札額を落札額で割った応札倍率は3.62倍と前回(3.93倍)を下回ったが、市場では無難な結果との受け止めが広がった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「市場実勢に近い利回り水準で落札されたことから、一定の投資家の需要が確認できた」と語る。
2日午前の流通市場で0.915%で取引されていた10年債利回りは、入札後に一時0.925%まで上昇した。その後、0.920%に低下して取引を終えた。
財務省は10月、表面利率を0.8%と9月までの0.4%から引き上げた。原則として見直しは3カ月に1度で、今回の入札では10月に発行した国債と償還日・表面利率が同じ銘柄として発行される。発行額は約2兆7000億円。
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