京大と鹿島、人工重力施設の研究開始 月や火星居住想定
京都大学の山敷庸亮教授らと鹿島は18日、人類が火星や月へ移住した際の居住空間となる人工重力施設の共同研究を開始したと発表した。人工重力施設の小型模型やCG(コンピューターグラフィックス)による新たなイメージ図を公開した。
京大内の施設などでより大型の模型を使った実験を始めるほか、人工重力を発生させる大型施設を国内に建てる計画も明らかにした。
人類の将来的な移住先の候補として有力視されている月の重力は地球の約6分の1、火星は約3分の1しかない。重力が小さい環境では骨や筋力が衰える。
脳が萎縮したり、視神経に悪影響を与えたりする可能性もある。月や火星に長期間住み続けるには、人工的に重力に似た力を発生させる技術が必要とされる。
建物を回転させて遠心力を発生させ、その方向や強さを調整することで疑似的な重力を作り出せる。京大と鹿島は遠心力の調整がしやすいおわん型の高さ400メートル、直径200メートルの居住施設を提案している。
今回、月面での居住施設の2千分の1スケールの模型やCGによるイメージ図を公開した。京大と鹿島は2022年にもCGを公開しており、今回はその改良版となる。
京大防災研究所が京都市内に持つ研究施設に模型を設置し、建物を回転させた時の内部の変化を確かめる実験を実施する。
27年度までに人工重力施設の基本設計を終える。国内に人工重力を発生させる施設を建て、トレーニングや健康増進のための施設として利用しつつ、地球上での実験施設とする。
18日の記者会見で京大の山敷教授は「宇宙移住に向けた具体的な研究開発を加速させていきたい」と述べた。