野山に潜むマダニが媒介する感染症は数種類ある。そのうち、ダニ媒介脳炎(TBE)は致死率が高く、手足のまひなどが残ることがあるので要注意だ。国内では2024年10月末時点で北海道でのみ7人の患者報告があるが、近年、原因不明の脳髄膜炎と診断されていた本州や九州の人から、事後的に感染の証拠が見つかるなど、北海道外でも広がっている可能性が指摘されている。TBEの発症を予防するワクチンも承認・販売された。
家ダニとは別物
マダニは野山や畑など屋外に生息するクモの仲間で、家の中にいてアレルギーの原因となるダニとは異なる。体長は成長段階により1ミリ程度から3~8ミリとなり、動物や人間が近づくとくっついて、血を吸う際に保有する病原体を感染させる。
マダニが感染させる病気では細菌リケッチアが原因の日本紅斑熱やウイ...