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器楽亭(きらくてい)/銀座

東京の居酒屋でトップランカーでありつづける久我山「器楽亭(きらくてい)」が銀座に移転。久我山時代は食べログ4.14でブロンズメダル獲得、予約は数か月待ちと、押しも押されぬ人気店でした。
銀座に移り、居酒屋というよりは完全に割烹・高級和食路線へと移行。おまかせコース2万円1本勝負と良くも悪くも銀座らしい。ちなみに別業態の水炊き屋は田町にあり、「水炊き鼓次郎(コジロウ)」として営業しています。
瓶ビールや日本酒は千円を切る良心的な価格設定。飲んで食べて税サを入れてトータルで3万円といったところです。銀座の割烹という意味ではこんなもんでしょうが、久我山から来た居酒屋と考えると、、、人は先入観の奴隷なのだ。
まずはシロアマダイのスープで胃腸を温めます。雑味のないクリアな旨味が味蕾に響く。
八寸は筋子、あん肝、塩辛、もずく、タイの皮、ホタルイカと酒の肴オールスターズ。日本酒を注文しないわけにはいきません。ある意味では下戸に厳しい料理たちである。
タイラガイを炙り、春野菜のサラダとして頂きます。これはナイスアイデアですねえ。個人的にタイラガイはそんなに好きな食材ではないのですが、やや苦味のきいたサラダのアクセントとして良い立場でした。
ノドグロは飯蒸しで。妙な脂は抜けており、ふんわりと柔らかい食感が印象的。桜の香りも季節を感じさせてOCです。
アスパラガスは大豆のクリームと味噌のソースで頂きます。味噌には卵黄とトリュフが練り込まれており濃密な味覚。
タラバガニのしんじょうに菜の花、うるい、花山椒。カニの暑苦しい味わいは一切なく、春の野菜の風味が目立ったお椀でした。
お刺身はマダイとボタンエビ。この刺身は絶品ですねえ。マダイは実に筋肉質であり噛みしめる度に旨味が溢れ出てきます。ボタンエビもネットリとした甘さを湛え、煮凝りにした昆布醤油(?)にピッタリです。
ウニ巻。シャリの量は少しだけ、その代わりにウニと海苔がたっぷりという幸せに満ちた巻物です。
シロアマダイの唐揚げ。サクっとシンプルに揚がっており、素材の味が素直に表現されています。たっぷりの薬味やちり酢が名脇役。
メインは松坂牛のサーロインにフキノトウ。松坂牛の美味しさは当然として、フキノトウの苦味が良い仕事をしてくれています。松阪牛のクドい脂をスッキリと食べさせてくれるのだ。
食事は鯛めし。調味は控えめで魚の旨味を前面に押し出します。固めに炊かれた私好みのライスであり、すっかりお腹いっぱいです。
デザートは自家製の和三盆プリン。イチゴのソースやカラメル、豆乳のホイップなど、和食店のデザートとしてはべらぼうに凝った甘味でした。

お会計はひとりあたり3万円弱。大将や女将さんの雰囲気が良く、居心地の良い時間を過ごすことができました。しかし冒頭にも述べましたが、銀座の割烹という意味ではリーズナブルな部類かもしれませんが、久我山から来た居酒屋と考えると高く感じなくもない。であれば銀座に来る必要はあったのかと色々と考えてしまいました。先入観ナシに臨めばより楽しめるお店。何も知らない酒飲みのお友達とどうぞ。


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