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セルサルサーレ(sel sal sale)/恵比寿

池尻から恵比寿に移動してきた「セルサルサーレ(sel sal sale)」。店名はフランス語・スペイン語・イタリア語の「塩」を意味し、つまりは「塩塩塩」。爪爪爪みたいでカッコいい。食べログは3.92でブロンズメダル獲得と評価が高い。
妙にギャルが多い。表参道「ラス(L'AS)」に似た客層であり、そこかしこでお誕生日祝いの嬌声が上がります。思っていたよりも席数は多く30近くはありそう。これで2回転。物凄まじい仕事量です。後述しますが、これだけの皿数をこの座席数にテンポ良く出し切る段取りの良さには素直に感心しました。

濱口昌大シェフは都内のイタリア料理店で腕を磨き、2010年に渡伊。現在は料理学校の講師を務める傍ら、大忙しの当店で気炎を吐きます。
ワインのペアリングは5杯で6千円弱と悪くない価格設定ですが、ワインを注いで回る人が「このシャンパーニュはソービニヨンブラン主体で爽やかな、、、」と大草原不可避。
いきなりスペシャリテ。フォークにカッペリーニをクルクルと巻いて真鯛をトッピング。見た目通りの味わいです。オイルがタレそうで食べづらいので、ひとり1皿づつに盛り付けて欲しいところ。
エビには少し熱を加えているのか甘味が増して美味しい。パウダー状のカラスミも酒を呼ぶ味わいです。
天ぷら屋的に先の海老の殻をカラっと揚げました。大人のかっぱえびせんである。
トマトのエキスを抽出したスープ(?)。じんわりと身体が温まりつつも酸味がピっとしており面白い試みです。
これはキャベツやら何やら発酵がたっぷり詰まったパン。バターにはミリンが練り込まれており、パンとバターながらすげえ情報量の多い瞬間です。そう、当店は基本的に話が長いんですよね。そういうのが好きそうな客にはそのままで良いですが、我々のようにちょっと説明長すぎじゃねーかと表情が出ている客に対してはもう少しサラっとしても良いような気がします。
なお、先のパンにバターをたっぷりと塗りつけ、こちらの生ハムをトッピングしてオープンサンドのようにして食べると実に美味しい。酸味のマジックである。
続いてスズキ。バター系のソースでコッテリしているのですが、柑橘の粒々も組み込まれており複雑な味わいです。フランス料理っぽい。
アジはリンゴや種々のスパイスを用いて頂きます。なるほど酸味の強いリンゴである。悪くはないのですが、説明の長さがハードルをめちゃんこ上げていただけに期待外れに終わりました。
アオリイカにキクイモ。イカに細かく細かく包丁が入れられているのかグニャグニャした食感で私は好きじゃありません。味は悪くないだけに惜しい。
セイコガニのリゾット。旨味が強く万人受けする味わいであり、これは流石に美味しかったです。
オニオングラタンスープ。汁気があって腹に溜まる。また、間違いなく美味しいのですが目新しい部分はなく、この多皿コースの中に敢えて組み込む必要はあったのかなというお気持ちは拭えません。
パスタはイタリアの白菜をどうのこうのしたものであり、要するにキムチ風味のパスタです。やはり説明の長さがハードルをめちゃんこ上げていただけに期待外れに終わりました。
トーストにフォアグラのブリュレを置きます。これは美味しいですねえ。みっちりと濃密な味わいでとろけるような舌ざわりです。ひんやりとした温度帯も良い。量もたっぷり。
メインディッシュは米沢ポークのカツレツ。ソースに手が込んでいますが、要するにトンカツです。これまで割とややこしいストーリー展開であっただけに、〆はトンカツなんだと拍子抜けしました。
デザートは蘭のジェラート。なるほど蘭よりも凝縮した蘭の芳香を放っており面白い味覚です。
2皿目のデザートはわらび餅。これについては実にアッサリとした説明であり、なぜここでわらび餅を用意したのかの意図を尋ねたかった。
食後のお茶は別料金。女子力の高い私はルイボスオレンジで〆てごちそうさまでした。

お会計はひとりあたり1.6万円ほど。食事だけであれば6,800円であり、かなり控えめな価格設定と言えるでしょう。色々食べれて量もたっぷりであり、あまり酒を飲まなければ1万円でお釣りが来るため、ライト層にはうってつけのお店かもしれません。

しかしながら、私にとっては情報量が多すぎで処理仕切れない場面もしばしば。ワインについてはソービニヨンブラン主体のシャンパーニュを出すぐらいなので論を俟たない。ビールやボトルの泡など何にでも合う飲み物を自分で選ぶのが良いでしょう。そもそも料理に味が多すぎるのでペアリングなど土台無理な話なのかもしれません。

サービス陣の話が長すぎることについては既に述べましたが、これらはどのテーブルでも同じ台本を読み上げているだけなので、それならその台本を紙にしてテーブルに置いておいてくれえばいいのに。六本木「Takumi(タクミ)」のように。

色々書きましたが、このお店を必要とする層は必ず存在し意義もあることでしょう。個人的にはシェフのセンスに期待して、皿数を絞って直接材料費をたっぷりとった当店のラグジュアリーラインを試してみたいと思いました。

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