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The Empire Brunei(ジ エンパイヤ ブルネイ)/ジュルドン

2024年から2025年にかけての年越しは、ブルネイ王室が贅の限りを尽くして建立した「The Empire Brunei(ジ エンパイヤ ブルネイ)」に滞在しました。と言っても滞在費は1泊3万円程度であり、東京のビジネスホテルと大差ない価格設定です(画像は公式ウェブサイトより)。
「ジュルドン(Jerudong)」というエリアに位置し、空港から車で20分ほど。高速道路から当ホテルに直結する出口があって便利です。しかしながら、ダウンタウンやガドン地区などの繁華街からは車で20-30分の位置にあり、ひたすら観光するぜ族には不便に感じるかもしれません。ホテルステイを楽しむ界隈向けの宿泊施設です。
ロビーからこの上なく豪華であり、オイルマネーの偉大さを感じずにはいられません。しかしながらオペレーションのレベルは極めて低く、普通のことが普通にできません。ニコニコとはしているものの皆ポンコツで、欧米系の洗練されたサービスに慣れきった旅行者は肩透かしを食うでしょう。
ところで、ネット上の情報では、当館のことをドバイの「ブルジュ・アル・アラブ」と並んで「7ツ星ホテル」という表現をする方が多いですが、ホテル業界にそのような格付けは存在しないことを指摘しておきます。こういった過剰な賞賛は取り締まって欲しい。
閑話休題。お部屋にご案内頂きました。第一印象は「屋根が高い」であり、二次元では40平米ほどでしょうが、数値以上の広さを感じました。しかしながら、ハコは立派であるものの寝具には安っぽさを感じ、おまけにシーツが臭かった。
クローゼットエリアも広々としているものの、パーティションで区切られているだけという面白い誂えです。また、クローゼットの扉にせよ、部屋のドアにせよ、ウェットエリアのドアにせよ、部屋の扉という扉がバンバンうるさく閉まるのが難点。最近のホテルは自動的にゆっくりと静かに閉まるストッパー(?)が付いていることが殆どなので、仕様に古臭さを感じてしまいました。
スタッフから「無料のミニバーがあり、毎日の清掃時に補充する」と案内があったのですが、お酒が無いんじゃなあというお気持ちです。ジュースやスナックなど色々と用意されていたのですが、結局ミネラルウォーターしか口にしませんでした。
ウェットエリアも広い。ただし、バスタブもシャワールームもお手洗いもひとつの空間にまとめられているため、ひとりが使用すると、他の人は使用できないシステムであり、使い勝手は良くありません。
ゆったりとしたバスタブがあるのですが、お湯が薄茶色に濁っており生理的に無理。結局シャワールームしか使用しませんでした。なんか私さっきから文句ばっか言ってますね。
トイレも広々としているのですが、公衆トイレのようにドアの上部が開いており、前述のとおりひとりが使用すると他の人は使用できない設計です。どうしてこんなヘンテコなつくりにしたんだろう。
気を取り直してリゾート内の散策に参りましょう。目の前には南シナ海が広がり、ビーチと多種多様なプール、ゴルフコースにボウリング場、映画館までも備えた東南アジア屈指のメガリゾートです(画像は公式ウェブサイトより)。
プールは色んなタイプのものが山ほど用意されているのですが、昼間は暑すぎて(冬なのに!)誰も泳いでいません。日が傾きかけた夕方に子供たちがワラワラを水遊びを開始するという独特のリゾートスタイルです(画像は公式ウェブサイトより)。
私は屋内のラッププールを楽しみました。他のゲストを見かけることは殆どなく常に貸し切り状態です。わが心のベストプール・ホテル第1位かもしれません。
ちなみに屋内プールを備えたスポーツ棟は、ゴルフコースのレセプションも兼ねており、他にはジムにバドミントンコート、スカッシュコート、ボウリング場にビリヤードと、港区スポーツセンターとラウンドワンが合体したかのような充実度合いでした。
映画館もあります。大人5ブルネイドル(約600円)と格安。ノリで「ライオン・キング:ムファサ」を観たのですが、冷房が効きすぎて寒くて寒くて雪山のシーンでこっちまで凍えそうになりました。ところでブルネイの映画館ではエンドロールが流れた瞬間に照明を点けてしまうので、余韻に浸るといった趣味は無いようです。
ところで、当館最大の弱点は食事ですね。イチオシのビュッフェレストランは空港のラウンジ程度のクオリティであり、これで大人ひとり55ブルネイドル(約6千円)はあり得ない。ゲストたちは会話は楽しんでいるものの料理には全く興味がなさそうなので、やはり空間を楽しむホテルなのでしょう。
アラカルトのレストランはいくらかマシでした。例えばアジアンダイニング「PANTAI(パンタイ)」は、ホテルのレストラン特有の退屈な料理ではありつつも、予約ナシでこれだけ楽しむことができれば悪くないかな、といったところ。詳細は別記事にて。
総括すると、ハード面は素晴らしいがソフト面が追いついておらず、色々と勿体ないなあというお気持ちです。もちろんこれだけのリゾートホテルで1泊3万円という価格設定は、それはそれでお値打ち。インスタグラマーが映え写真だけ撮りに来たり、3世代の家族で訪れワイワイ過ごしに来たり、みたいな使い方には良いかもしれません。7ツ星だなんだといったネット上の過剰な情報に煽られないようご注意を。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。