フェミニズム
フェミニズムとは?意味をかんたんに解説
フェミニズムは、男女の性差にもとづく社会の格差や不平等をなくそうとする思想や運動のこと。要するに、女性が「女性であるから」という理由で不当に権利を制限されたり蔑ろにされたりしない社会を目指す考え方や取り組みのことである。フェミニズムの考え方に賛同し、フェミニズムの目指す社会の実現に向けて活動する者を、フェミニストという。
フェミニズムの定義
たとえばオックスフォード大学出版局が運営するオンライン英語辞書「Lexico.com」では、フェミニズム(feminism)は次のように定義されている。The advocacy of women's rights on the basis of the equality of the sexes.
―― 男女平等の原理に基づく女性の権利の唱道
(https://www.lexico.com/definition/feminism)
ウェブスター辞典(merriam-webster.com)による定義は次の通り。
belief in and advocacy of the political, economic, and social equality of the sexes expressed especially through organized activity on behalf of women's rights and interests
―― 男女は政治的・経済的・社会的に平等であるとする主義主張、特に女性の権利と利権とを代弁する組織的活動として表明される(そのような主義主張)
(https://www.merriam-webster.com/dictionary/feminism)
フェミニズムの語源
フェミニズム(feminism)はフランス語の「féminisme」を直接の語源とする語である。(そもそもフェミニズムは近代フランスに端を発する思想・運動である)féminisme はラテン語で「女性(woman)」を意味する「femina」に、「主義」の意味を付与する接尾辞「-ism」が加わった語である。なお femina は「female(女性)」や「feminine(女性らしい)」の語源にもなっている。
フェミニズムの対義語
フェミニズムの対義語としては、【1】ミソジニー、【2】反フェミニズム、【3】マスキュリズム、などが挙げられる。【1】ミソジニー(misogyny)は日本語では「女性蔑視」や「女性嫌悪」とも訳される。女性を「女性である」という理由によって軽視・蔑視・嫌悪・憎悪することである。なお男性版(男性嫌悪)はミサンドリー(misandry)という。
【2】反フェミニズム(anti-feminism)は、フェミニズムの考え方やフェミニストの活動に懐疑的・批判的な立場のことである。
反フェミニズムには、「旧来の社会的性差を敢えて変える必要はない」という(結果として男女不平等を半ば認める)立場と、フェミニストの主張や活動に行き過ぎたものがある(男性の逆差別を招いている)とする立場が含まれる。
【3】マスキュリズム(masculism)は、男性の方が社会的な性差別の対象になっているとし、男性に対する不利益・不平等をなくそうと主張する立場のことである。フェミニズムの台頭を受けて発生した対立概念であり、その主張は反フェミニストと重複する部分もある。
ツイフェミ
過激なフェミニストの言動は、しばしばミサンドリスト(男性嫌悪者)的である。とりわけ近年ツイッターをはじめとするSNSにおいてフェミニズム的な批判や非難を発信している者たちの中には、「フェミニズムというよりミサンドリー(男性嫌悪)」「近視眼的で主張に一貫性がない」「ただ難癖をつけているだけ(スラックティビズム)」として批判され、「ツイフェミ」という半ば蔑称で呼ばれることがある。フェミニズムの簡単な歴史
フェミニズムの概略 もともとフェミニズムは、18世紀フランス革命後のヨーロッパで生じた社会運動だった。その目的は、端的にいえば「男女平等」である。これ以降、フェミニズムは徐々に規模を拡大し、20世紀に入ると世界的な潮流になる。1990年代以降、フェミニズムは世界各地で活発化したが、それぞれの国・地域において固有の歴史・文化と混ざり合い、それによって理念や主義主張を細分化させていく。その結果、たとえば「ラディカル・フェミニズム(結婚や家庭すら批判するフェミニズム)」と「リベラル・フェミニズム(男性との闘争を好まないフェミニズム)」のように、対極に位置する考え方も生まれている。
また、フェミニストの観点から経済論や人種、セクシャル・マイノリティーといった社会問題を語る人々もいる。現代的なフェミニズムは、人間社会が抱えている、偏った思想を明るみに出すための手段のひとつになってきた。
いずれのフェミニズムでも、「性差別をなくし、女性らしさが自然に肯定される社会を作る」という根底の意味は変わらない。また、女性を家庭に閉じ込めたり、職場で男性のサポート役をあてがったりするなどのステレオタイプ的な価値観にもフェミニストは反対する。フェミニズムの高まりは、女性の社会進出、参政権の獲得といった、多くの大事件に貢献してきた。
フェミニズムの細かい分類
フェミニズムは18世紀フランスで広まった運動だった。女性たちの意識の変化は、1789年のフランス革命をきっかけとする。フランス革命では、身分差別を撤廃し、人民の権利を尊重するよう国家が再編されていった。その流れで、男女平等を実現させ、真の意味での自由な社会を築いていこうとする活動も生まれた。この活動はヨーロッパ中に拡散し、フェミニズムとして認識されるようになる。18世紀から21世紀初頭までの女性解放運動は「第一波フェミニズム」と総称されてきた。当初、フェミニズムはフランス革命の中心人物からも批判されるなど、決して好意的には受け止められなかった。しかし、フェミニズムに共感する識者たちが登場し、援護したことで徐々に世間からも理解されていく。やがて、女性解放運動はアメリカにも渡り、大規模な集会が開かれるようになった。1949年にはシモーヌ・ド・ボーヴォワールの「第二の性」が出版され、現代的なフェミニズムの礎となる。「第二の性」以降に再燃した社会運動が「第二波フェミニズム」である。
その後も世界中のフェミニストたちは、「ウーマン・リブ」「ライオット・ガール」などの男女平等を目的とした社会活動を生み出してきた。映画や音楽でも、フェミニズムを反映した作品が増えていく。21世紀に入ってからのフェミニストたちはSNSを駆使し、「#MeToo」をはじめとする運動を展開した。#Metoo運動は新時代のフェミニズムとして注目され、性差別を行ってきた一部の男性著名人を失脚させるなどした。
日本のフェミニズム(と上野千鶴子)
日本におけるフェミニズムは、明治から大正にかけて興った。この頃の日本におけるフェミニズムの取り組みは特に「女性解放運動」と呼ばれる。女性の参政権の獲得や、学問の解放(女学校の設立)などが、部分的にではあるが実現されている。現代日本におけるフェミニズムは、上野千鶴子を先駆者と位置づける。上野は「女性学」を築いた人物としても知られ、ジェンダー論やフェミニズムの論客として、1980年代から2020年代現在に至るまで積極的に活動している。
フェミニズムとジェンダーの違い
「フェミニズム」と「ジェンダー」は、どちらも「男女の性差」に着眼した概念であるという点では共通している。フェミニズムは、男女の性差による不平等をなくそうという主張または運動のこと。
ジェンダーは、社会や文化の中で形づくられた男女の性(性差)のことである。「身体的な雌雄」ではなく「役割としての性」、つまり「男らしさ」や「女らしさ」あるいは「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」といった通念のことである。
かいつまんで言えば、要するに「フェミニズム」は「男女の格差の是正」を目指す運動であり、「ジェンダー」は「(社会的な)男女の格差」そのものを指す概念である。
ジェンダーには「男女」の二元論的な区分に必ずしも当てはまらないマイノリティ(いわゆるLGBT)の話題も関わってくる。LGBTとフェミニズムの関係は、今のところ、まだ煮詰まっていないといえる。
フェミニズム【feminism】
feminism
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 14:31 UTC 版)
『feminism』(フェミニズム)は、日本のロックバンド・黒夢のメジャー3作目のアルバム。
- 1 feminismとは
- 2 feminismの概要
- 3 参加ミュージシャン
固有名詞の分類
- Feminismのページへのリンク