STS-58
名称:STS-58
オービター名称:コロンビア
打ち上げ国名/機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1993年10月18日
着陸年月日:1993年11月1日
宇宙飛行士:ジョン・E・ブラハ/リチャード・A・シーアフォス/M・レア・セドン/ウィリアム・S・マッカーサーJr./デービッド・A・ウルフ/シャノン・W・ルシッド/マーティン・フェトマン
飛行時間:336時間12分
STS-58のコロンビアでは、宇宙空間が人体におよぼす影響、すなわち宇宙の微小重力環境に人間の体をどうやって適応させれば良いかを調べるための医学的な研究が行われました。
心臓や血管、神経や筋肉や骨格の組織に関する実験が48匹のネズミを使って行われ、また、リチャード・A・シーアフォス宇宙飛行士とマーティン・フェトマン宇宙飛行士の二人もヘッドセットと呼ばれる測定器を頭につけて、知覚力の変化や宇宙酔いについての観測を行いました。
約14日間の飛行を終え、コロンビア号は無事に地球へ帰還しました。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの
スペースシャトル・コロンビアは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(コロンビア)と、それを打ち上げるための固体燃料ブースターロケット2基と、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37m、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打チ上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
3.宇宙飛行の目的は?
宇宙の無重力環境が人体にもたらす影響について、医学的な研究を行うことです。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
微小重力環境のなかで心臓や血管や神経や筋肉や骨にあらわれる変化などを調べ、人間が宇宙で生活するための研究を行いました。
※参考文献
「Newton Collection II 宇宙開発」竹内 均・監修(教育社)1992年発行
「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島信樹・監修/三品隆司・著(PHP研究所)1995年発行
STS-58
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/25 18:30 UTC 版)
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2015年11月) |
![]() 北アフリカ上空のコロンビア | |
任務種別 | 生物学実験 |
---|---|
運用者 | NASA |
COSPAR ID | 1993-065A |
SATCAT № | 22869 |
任務期間 | 14日12分32秒 |
飛行距離 | 9,400,000 km |
周回数 | 225 |
特性 | |
宇宙機 | コロンビア |
着陸時重量 | 103,146 kg |
ペイロード重量 | 11,803 kg |
乗員 | |
乗員数 | 7 |
乗員 | ジョン・ブラハ リチャード・シーアフォス マーガレット・レア・セッドン ウィリアム・マッカーサー デヴィッド・ウルフ シャノン・ルシッド マーティン・フェットマン |
任務開始 | |
打ち上げ日 | 1993年10月18日 14:53(UTC) |
打上げ場所 | ケネディ宇宙センター第39発射施設 |
任務終了 | |
着陸日 | 1993年11月1日 15:05.42(UTC) |
着陸地点 | エドワーズ空軍基地第22滑走路 |
軌道特性 | |
参照座標 | 地球周回軌道 |
体制 | 低軌道 |
近点高度 | 284 km |
遠点高度 | 294 km |
傾斜角 | 39.0° |
軌道周期 | 90.3分 |
![]() ![]() 前列:左から、ウルフ、ルシッド、セッドン、シーアフォス 後列:左から、ブラハ、マッカーサー、フェットマン |
STS-58は、1993年10月18日にケネディ宇宙センターからコロンビアを用いて行われたミッションである。コロンビアがエドワーズ空軍基地に帰還した最後のミッションとなった。
乗組員
- 船長 - ジョン・ブラハ (4)
- 操縦手 - リチャード・シーアフォス (1)
- ペイロード船長 - マーガレット・レア・セッドン (3)
- ミッションスペシャリスト2 - ウィリアム・マッカーサー (1)
- ミッションスペシャリスト3 - デヴィッド・ウルフ (1)
- ミッションスペシャリスト4 - シャノン・ルシッド (4)
- ペイロードスペシャリスト1 - マーティン・フェットマン (1)
バックアップ
- ペイロードスペシャリスト1 - ジェイ・バッキー
- ペイロードスペシャリスト1 - ローレンス・ヤング
ミッションハイライト
STS-58は、生物科学実験のために行われた1993年のスペースシャトルのミッションである。ヒトの体がどのように無重力環境に適応していくかの知識を得るために必要な一連の実験が行われた。実験は、循環器系、調節系、神経系、筋骨格系に関するものであった。コロンビアの乗組員と実験動物(24個のケージに入れられた48匹のラット)が被験体となり、1991年6月のSLS-1ミッションで集められたデータと併せて、1973年と1974年のスカイラブ計画で得られたデータ以来の最も詳しい測定結果となった。
乗組員は、骨組織喪失、及び感覚受容に対する微小重力の影響について理解することを目的とする実験を行った。宇宙酔いと受容の変化に関する前庭の2つの実験は、2日目に行われた。ルシッドとフェットマンは、1日中、頭の動きを記録するよう設計されたAccelerometer recording Unitと呼ばれるヘッドセットをかぶった。
10月19日には、唯一の小さな問題が発生した。回路のブレーカーがトリップし、ラットのケージの1つが一時的に停電した。ヒューストンの管制員は、これは電気系のショートではなく、ブレーカーはリセットされ、ケージの電力は回復したと報告した。
マッカーサーとブラハは、3日目から、微小重力の有害効果の対策のために試験が行われていたLower Body Negative Pressure deviceを使い始めた。3人の乗組員全員が尿と唾液のサンプルを集め、運動、摂取した食物や飲物の記録を取った。DSO 612では、飲物と食物の組成とともに、長期間の宇宙飛行における乗組員の栄養と必要エネルギーが観測された。
10月20日、宇宙トイレは作動していたものの、乗組員はベッドに行く前、フィルタードアからのわずかな漏れを検出した。彼らはフィルターを除去し、小さじ1杯ほどの水を掃除した。また万一に備えて、フィルターを通して空気をキャビンに戻す前の液体と空気の分離のため、予備の分離ユニットが用いられることとなった。
10月21日、レア・セッドンとシャノン・ルシッド、デヴィッド・ヴォルフ、マーティン・フェットマンは、一連の代謝実験のために、さらに血液と尿のサンプルを集めた。サンプルの一部は、前日に行われたカルシウム吸収実験のフォローアップだった。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のC.D. Arnaudが支援を行ったこの実験では、宇宙においてカルシウムが維持され、骨代謝に使われる機構についての研究が行われた。1991年のSLS-1実験で得られた予備的な結果に基づき、Arnaudは、骨密度の減少は、その後の骨形成によって補償されない骨分解の増加によるものと考えていた。
10月22日、SAREXと呼ばれるアマチュア無線を使って、ブラハとシーアフォスは、テネシー州のシカモア中等学校及びテキサス州パサデナのガーデンデール小学校の児童との交信を行った。またこの日、シーアフォスによって、軌道上で1人の乗組員によって機器をある場所から別の場所に移動し、再設置することができることを実証するためのSIR(Standard Interface Rack)の試験が行われた。
コロンビアに積まれて試験飛行を行ったその他の新しい装置には、船長やパイロットがスペースシャトルの接近や着陸の操作に熟達するために用いる道具として品質を満たしているかの確認が行われたラップトップコンピュータのシミュレータがある。ラップトップは、オービタの着陸前の最後の数分前のみ使われるものに似たジョイスティック状のコントローラを用いて操作された。
10月23日、ペイロードの乗組員は、多くの時間をスペースラブに乗せた48匹のラットの代謝研究に費やした。ペイロード船長のレア・セッドンとデヴィッド・ヴォルフ、シャノン・ルシッド、そして獣医のマーティ・フェットマンは、ラットの尾から血液を採取し、血清の量を測定するために特別な同位体を注射することとなっていた。その後、再び血液を採取し、無重力が動物の赤血球の数に及ぼす影響を測定する計画であった。
アマチュア無線通信を何度か行い、体が地球に再適応するのを容易にするための真空バッグでの作業が終わった後、オービタの乗組員であるブラハ、シーアフォス、マッカーサーは、着陸の機会を増やすために、エンジンの1つを点火してコロンビアの軌道の近地点を高度150kmから142kmに落とす操作を行った。
10月27日、操縦手のリック・シーアフォスは、コロンビアがOrbital Acceleration Research Experimentの一部となるよう、コロンビアを手動操縦した。この実験の主目的は、飛行中及び大気圏再突入の初期にシャトルに働く空気力を正確に測定することである。この情報は、将来のスペースラブにおける、静かで振動の少ない環境が必要な微小重力実験を計画する際に有益なものである。
10月28日、半日間の休暇を楽しんだ後、乗組員は、ヒトや動物がどのように無重力環境に適応するのかの科学データを集め続けた。
レア・セッドンは、彼女が夫である宇宙飛行士のロバート・ギブソンの宇宙滞在記録632時間56分を超える時、彼に特別なメッセージを送った。「彼はまだいい人で、私はまだ彼をとても愛しているけれど、私は彼が成し遂げたよりも多くの時間、宇宙に滞在した。どう!」と彼女はふざけて言った。しかしセッドンは、彼は彼女の3回よりも多い4回の離着陸があることを認めた。
操縦手のリック・シーアフォスは、カリフォルニア州南部の山火事を赤外線カメラで撮影し、乗組員の思いは、炎を鎮めるために働いている消防士や住居が脅威に晒されている住人とともにあると語った。彼は、火がすぐに制御可能なものとなることを望むと語り、彼が撮影する写真は、気象学者、地質学者、生態学者、考古学者のために地球に持ち帰ると付け加えた。
STS-58
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 22:55 UTC 版)
「デヴィッド・ウルフ (宇宙飛行士)」の記事における「STS-58」の解説
ウルフは、ミッションスペシャリストとしてスペースシャトル・コロンビアに搭乗した。STS-58は、制御生理学、心血管/心肺、筋骨格及び神経科学のために行われた2度目のミッションであった。14日と12分32秒続いた。コロンビアは、エドワーズ空軍基地への着陸時には最長のミッション期間となった。
※この「STS-58」の解説は、「デヴィッド・ウルフ (宇宙飛行士)」の解説の一部です。
「STS-58」を含む「デヴィッド・ウルフ (宇宙飛行士)」の記事については、「デヴィッド・ウルフ (宇宙飛行士)」の概要を参照ください。
- STS-58のページへのリンク