STS-77
名称:STS-77
オービター名称:エンデバー
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1996年5月19日
着陸年月日:1996年5月29日
宇宙飛行士:ジョン・H・キャスパー/カーティス・L・ブラウン/ダニエル・W・バーシュ/マリオ・ランコ/マーク・ガルネ/アンドリュー・S・W・トーマス
飛行時間:240時間40分
STS-77エンデバーでは、商業目的の科学実験や、人工衛星スパルタン-207の放出と回収が行なわれました。
商業目的の科学実験は、宇宙の微小重力を利用した商品開発が目的で、生物工学、電子工学、化学や農学に関するさまざまな研究を行ないました。そのための実験設備の中には、アメリカとカナダとドイツの国際協力によって開発されたものもありました。
人工衛星スパルタン-207は、IAE(拡張アンテナ)の性能をテストするために放出され、テスト終了後はシャトルに回収されました。
約11日間の飛行を終えて、エンデバーは無事に地球へ帰還しました。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの
スペースシャトル・エンデバーは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(エンデバー)と、それを打ち上げるための固体燃料ブースターロケット2基、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37m、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打ち上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
3.宇宙飛行の目的は?
商業目的の科学実験や、人工衛星スパルタン-207の放出と回収です。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
微小重力を利用した、商品開発のための科学実験を行ない、また、人工衛星スパルタン-207を使って拡張アンテナの性能テストを行ないました。
※参考文献:「Newton CollectionII 宇宙開発」竹内 均・監修(教育社)1992年発行「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島信樹・監修/三品隆司・著(PHP研究所)1995年発行
STS-77
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/01 00:50 UTC 版)
STS-77 | |||||
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徽章 ![]() | |||||
ミッションの情報 | |||||
ミッション名 | STS-77 | ||||
シャトル | エンデバー | ||||
発射台 | 39-B | ||||
打上げ日時 | 1996年5月19日 6:30:00.066 (EDT) | ||||
着陸または着水日時 | 1996年5月29日 7:09:18 (EDT) ケネディ宇宙センター第33滑走路 | ||||
ミッション期間 | 10日0時間40分10秒 | ||||
周回数 | 161 | ||||
高度 | 283 km | ||||
軌道傾斜角 | 39° | ||||
航行距離 | 6,600,000 km | ||||
乗員写真 | |||||
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年表 | |||||
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STS-77は、スペースシャトルの77回目のミッションであり、エンデバーの11回目のミッションである[1]。1996年5月19日にケネディ宇宙センター第39発射施設から打ち上げられ、10日と40分で地球を161周し、第33滑走路に帰還した[2]。
乗組員
- 船長 - ジョン・キャスパー (4)
- 操縦手 - カーティス・ブラウン (3)
- ミッションスペシャリスト1 - アンディ・トーマス (1)
- ミッションスペシャリスト2 - ダニエル・バーシュ (3)
- ミッションスペシャリスト3 - マリオ・ルンコ (3)
- ミッションスペシャリスト4 - マーク・ガルノー (2)
ミッションパラメータ
- 質量:
- 打上げ時:115,456 kg
- 着陸時:92,701 kg
- ペイロード:12,233 kg
- 近点:278 km
- 遠点:287 km
- 軌道傾斜角:39.0°
- 軌道周期:90.1分
ミッションハイライト
このミッションは、宇宙の商業利用の扉を開くものであった。乗組員は、スペースシャトルで運ばれた商用のSPACEHABモジュールを飛行の間中運用し、微重力実験を行った。このミッションでは、人工衛星Spartan-207/IAEの展開と回収や試験衛星とのランデブーも行われた。ペイロードベイでは、Technology Experiments for Advancing Missions in Space (TEAMS)として知られる一連の4つの実験も行われた。
SPACEHABモジュールは、生物学、電子材料学、高分子学、農学の分野の12の商用宇宙商品開発のための1,400kg近くの実験機材等を運んだ。そのうちの1つSPACEHABモジュールCommercial Float Zone Facility (CFZF)は、アメリカ合衆国、カナダ、ドイツの国際協力で開発された。電子材料や半導体材料等の様々な材料を浮遊帯で加熱するものである。その他には、蒸気拡散で結晶を成長させるSpace Experiment Facility (SEF)がある。
ゴダード宇宙飛行センターのSpartan-207衛星は、将来の宇宙の膨張式構造物の建設に資する目的で、膨張式アンテナの実験のために軌道に投入された。90分のミッションで、大きな膨張アンテナの性能が試験された。アンテナはその後投棄され、Spartan-207はミッションの最後に回収された。
エンデバーのカーゴ内では、ミッションを通じて4つのTEAMS実験が行われた。GPS Attitude and Navigation Experiment (GANE)では、GPSシステムの宇宙探査機への高度情報の配信の正確性が検証され、Vented Tank Resupply Experiment (VTRE)では、宇宙空間における燃料補給の方法の改良が行われた。Liquid Metal Thermal Experiment (LMTE)では、微重力下での液体金属ヒートパイプの性能が評価され、Passive Aerodynamically Stabilized Magnetically Damped Satellite (PAMS)では、大気上層での空気力学的安定の原理が実証された。スペースシャトルに設置されたカメラは、PAMS衛星が展開される様子を撮影し、その動きを追跡した。
この飛行の二次的な実験には、Brilliant Eyes Ten Kelvin Sorption Cryocooler Experiment (BETSCE)やAquatic Research Facility (ARF)、Biological Research In a Canister (BRIC)等があった。
また、BioServe Space Technologiesが設計したPlant-Generic Bioprocessing Apparatus (P-GBA)も搭載され、様々な植物種が育てられて微重力下での植物の成長の観察と宇宙での農業の可能性が研究された。
STS-77では、別々に保存された二酸化炭素と水、シロップから炭酸飲料を作成することができるかを試験するために、公式名をFluids Generic Bioprocessing Apparatus-2 (FGBA-2)というコカ・コーラとダイエット・コークがそれぞれ1.65リットルずつ入った自動販売機が設置された[3]。
ミッションの徽章
徽章の左側にある赤色の2つのNASAのロゴの一部分は、ミッション番号(77番)を表している。
出典
- ^ Dumoulin, Jim (2001年6月29日). “KSC STS-77”. 2011年3月30日閲覧。
- ^ Ryba, Jeanne (2007年11月23日). “Space Shuttle Mission Archives: STS-77”. 2011年3月30日閲覧。
- ^ National Aeronautics and Space Administration accessdate 2009-06-13
外部リンク
- NASA mission summary
- STS-77 Video Highlights
- Mission for Science and Technology: 18 Years Since STS-77 (Part 1) 2014年5月24日 AmericaSpace.com
- Mission for Science and Technology: 18 Years Since STS-77 (Part 2) 2014年5月25日 AmericaSpace.com
- STS-77のページへのリンク