
“雨だから着る”じゃない!モンベルの新作レインジャケットが、行動時にも持ち運びにも「最高」な全天候ウェアだった
2024年春、モンベルから新作レインウェア「スーパー ドライテック ピークシェル ジャケット」が誕生。
なんでも同社で扱う3層構造のレインウェア史上、最も軽く、最も透湿性に優れているという、かなり尖った機能を持つウェアなんです!
とはいえ、レインウェアの機能は数値だけでは測れないもの。実際に山で使用し、その実力をとことん検証してみました。
2024/07/05 更新
目次
出典表記のない画像はすべて筆者撮影
モンベル新作レインウェアのスペックが半端ない!

高い機能性と手頃な価格で、多くのアウトドアユーザーを魅了するモンベル。
多彩な機能を備えるフラッグシップモデル「ストームクルーザー」、エントリーモデルとしてコストパフォーマンスに優れた「サンダーパス」など、初心者から上級者まであらゆるシーンをカバーする、レインウェアの豊富なラインナップも魅力です。
2024年春、そんなモンベルから画期的な機能を搭載した新作レインウェアが誕生しました!
モンベルの3レイヤー史上、最軽量・最高透湿!

定価:¥24,200(税込)
それが「スーパー ドライテック ピークシェル ジャケット(以下、ピークシェルジャケット)」です。
なんといっても注目したいのが、
”モンベルで扱う3層構造(3レイヤー)のレインウェア史上、最も軽量かつ透湿性が高い“
という特徴。かなりインパクトがありますよね。
名前に入っている「ドライテック」とは、モンベルオリジナルの防水透湿素材のこと。防水性と透湿性のバランスに優れた特徴を持っています。
今回はそれが”スーパー”に進化したわけですから、名前からもこれまで以上の高いスペックが付与された素材だということが伝わってきます!
3層構造のレインウェアはサラッとした着心地が◎

ちなみに3層構造とは、「表地 + メンブレン(防水透湿機能を持った薄い膜) + 裏地」の3種の素材を重ねて貼り合わせた生地のこと。
登山用レインウェアの中では最も基本のタイプで、汗をかいてもベタつき感が少なく、快適な着用感がメリットです。またメンブレンが汗や皮脂で汚れにくいため、透湿性が低下しにくいとも言われています。
あえてデメリットを挙げるとすると、2層構造に比べて裏地分の重量が増すということ。しかしピークシェルジャケットは、そんな3層構造の概念を覆すとんでもない軽量性を持っています。
3層構造のレインウェアとして業界最高水準の軽さ

メンズモデルMサイズの実測で165.5gでした
公式の重量はメンズモデルで平均168g、ウィメンズモデルで平均152g。私もこれまで様々なレインウェアを着用してきましたが、この軽さは正直すごいです。
一般的に3層構造のレインウェアは300g程度が平均。250gだと軽量で、200g以下は超軽量といったところでしょうか。そんな中、本製品は150g近い数値なので「超超軽量」と言えます。
圧倒的な「50,000g/m2・24hrs」の透湿性

もう一つの大きな特徴「透湿性」についても触れておきましょう。
透湿性とは生地の内側から外側に水蒸気が通り抜ける性質のこと。登山のレインウェアは雨から身体を守る一方、内部で発生する汗を外へ逃がすことが必須とされています。製品の透湿性能(透湿度)は、生地1平方メートルあたり、24時間で何gの水分を透過できるかの数値で表します。
ピークシェルジャケットは、その数値が「50,000g/m2・24hrs」(JIS L-1099B-1法)(参考値)。軽量性と同様に、こちらも業界最高水準です。
一般的に登山では10,000g/m2・24hrsの透湿性があれば十分と言われているのですが、本製品の数値はその5倍! ゴアテックス採用のフラッグシップモデル「ストームクルーザー」の透湿性は35,000g/m2・24hrsと言われているので、ピークシェルジャケットのズバ抜けた数値が際立ちます。
機能を追求、それでいて環境にも配慮
「スーパー ドライテック」は、環境への影響が懸念されているフッ素化合物を一切使用していません。
裏地には60%植物由来原料のナイロンを使用。石油由来の原料を減らすとともに、二酸化炭素排出量の抑制にもつながっています。
スーパーな機能がフィールドでどう活かされる!?

モデル:身長169cm、Mサイズ着用 着用カラー:イエロー
このようにスペックだけでもスーパーな機能が目に付くピークシェルジャケット。しかし、レインウェアをはじめとするアウトドア製品は数値だけでは決まらないのが面白いところです。
このとんでもない機能がフィールドでどのようなメリットを生み出すのか、実際に山で試してみました。
天気を選ばない多用途で使えるレインウェア

今回、曇りの八ヶ岳登山や雨の低山ハイクでフィールドテストを実施。
そこで感じたのが、ピークシェルジャケットの使い道は「雨」だけにとどまらないということ。雨の日も晴れの日も、全天候で使えるウェアだと感じました。
レインウェアとしての用途はもちろん、サッと羽織れるウィンドシェル感覚で使うのもOK。蒸れが逃げやすいので行動着としても活躍しますし、収納時はバックパックのスペースも圧迫しません。持っていれば多用途に使える一着だと思います。
それでは印象的だったポイントを詳しくみていきましょう。
めちゃ軽くてコンパクト!だから負担も小さい

手に取ってみて真っ先に感じるのが、やはり軽さです。
着てみると、まるでレースを羽織るように“ふぁさ~”っと軽やかで、重厚感のあるレインウェアと比べると着用のしやすさは段違い。生地は「本当に3層構造なの?」と疑ってしまうほどにしなやかで薄手です。
正直なところ私はレインウェアのゴワゴワした感じが苦手で、あまり好んで着用したくはなかったのですが、ピークシェルジャケットはストレスのない着心地がとてもいい! 丸一日の登山も、着ていてストレスに感じることはありませんでした。
500mlペットボトルより小さくまとまる!

付属の収納袋を使えば、サッとコンパクトに
そんな軽さだけあって、コンパクトっぷりもすごいです。500mlのペットボトルと比べるとその大きさがわかりますが、実はこれ、収納袋にはまだ余裕があってもう少し圧縮できるくらいなんです(笑)。

なので、15リットルほどの小さなバックパックでもスペースを圧迫しません。トレランやファストハイクなどの軽量山行はもちろん、荷物の多いテント泊登山でも装備を軽くできるメリットがあります。
蒸れが逃げていく感覚がわかる

さすがの透湿性です。
「50,000g/m²・24hrs」という数値だけあって、衣類内の蒸れが外へ抜けていくのが体感でわかります。感覚でいうと、“蒸れにくい”というよりも”蒸れが逃げやすい“という表現が近いように感じました。
今回試したのは初夏の八ヶ岳。さすがに樹林帯の登りでは熱くて着ることはできませんでしたが、気温が上がりきっていない朝、風のある稜線などでは、行動中も快適に着ていることができました。

これは雨の日でも同様。梅雨や夏の雨の登山はとにかくベトつく感じが不快なのですが、サラッとした裏地の質感も相まって、これなら雨の行動でもずっと着ていられると感じました。
雨の日も晴れの日も快適な着心地が続き、ウィンドシェルのような行動着感覚で使えるのが好感触でした。
必要十分なプロテクション機能

表地は縫い糸の一本一本まで撥水加工が施されており、高い撥水性を実現しています
レインウェアとしての撥水性・防水性も申し分ないでしょう。
表地はしっかりと水を弾き、2時間ほどの雨のハイクでも衣類内はドライな状態が保たれていました。ファスナーや縫い目にもしっかりと止水処理がされているので、薄い生地ではありますが、防水の観点でも大きな安心感があります。

またモンベルではすべてのレインウェアに共通して20,000mm以上の耐水圧を備えています。これは嵐のような過酷な環境にも対応できる数値で、登山における必要十分な機能を有していると言えるでしょう。
防風性は低め。稜線の暴風雨などは注意

フードはヘルメットに対応。フィット感もいい感じです
ここで少し気になったのが防風性です。今回のテストでは稜線で3〜5mほどの風が吹いていましたが、重厚なレインウェアと比べると、やはり薄い分、風に対してはそれほど強くないように感じます。
薄手のウィンドシェルとしてみれば十分ですが、例えば暴風雨の稜線を行動するようなシーンではやはり心許ないと感じます。
心地よい動きやすさでストレスなし

やわらかい着心地で行動中もわずらわしさがなく、快適に動けました。独自のカットパターンにより、腕を上げたり曲げ伸ばしするような動作もスムーズで、袖が突っ張るようなことはなく、自然な形で動けました。
岩場や藪での使用は注意!

上半身の動きが多い岩場などでも問題なく使える動きやすさですが、不安に感じたのが耐久性です。表地は7デニールの極薄生地で、耐久性を高めたリップストップ加工が施されているとはいえ、頑丈とは言い難いでしょう。
枝などにちょっと擦れたくらいで破れることはないでしょうが、岩場を登るルート、藪を歩くルートでは、あえてこのレインウェアを選択しなくても良いように感じました。
メリットとデメリットは表裏一体……?
ピークシェルジャケットはとてつもない軽量性を備えていますが、その分、防風性や耐久性に関しては強固とは言い難い印象です。しっかりとシーンを見極めて使うことが、このウェアのパフォーマンスを最大に発揮できるポイントだと感じました。
ピークシェルジャケットが活躍するシーン
・トレラン、ファストハイクなどの軽量山行
・ウィンドシェル兼お守り代わりのレインウェアとして
・荷物をコンパクトにしたいテント泊登山
・自転車、ランニングなどの運動量の多いスポーツ
ピークシェルジャケットじゃなくても良いシーン
・暴風雨の稜線歩きなど
・岩場や藪での着用
・明らかに雨が降ることがわかっている登山
登山メインで使う場合、例えばストームクルーザーのようなバランスに優れたレインウェアとの2着体制で、シーンに応じた使い分けをするのがとても良さそうです!
細かな機能も見逃せない!
ここからはピークシェルジャケットの細かな機能についてみていきましょう。
モンベルの技術が圧倒的な軽量性を実現
まず注目したいのが、「ピークシェルジャケットはどうしてこんなに軽いの?」というところ。これは単に生地が薄いから軽いというだけではなく、細部の至るところにモンベルの技術が使われています。
縫い目を最小限に抑えた独自のパターン

「K-Mono CUT」と呼ばれる独自の縫製パターンが採用されており、縫製箇所を極限まで減らすことで、防水性・軽量性・耐久性が向上しています。肩まわりに縫い目がないスッキリした見た目が特徴で、動きやすさも追求されています。
独自のシーム処理で無駄を省く

裏地の縫い目に使用されているシームテープは、一般的なものと比べてとても薄く、軽量な13mm幅のシームテープを貼り合わせています。

提供:mont-bell
また縫い目は、生地の縫い合わせの余分な部分を除去。縫い糸が露出しないので強度にも優れる、モンベル独自の「スマートソーイング」と呼ばれる縫製技術です。
これにより防水性はしっかり確保しながら、軽量化としなやかな着心地を実現しています。
接着仕上げで縫い糸を削減

袖口や裾などの接合部分は、縫製ではなく接着で仕上がっています。縫い糸を減らすことで軽量化をおこない、縫い目を減らすことで防水性を高めています。
フィット感の高い簡単調整できるフード

フードは綺麗なシルエットでフィット感も抜群です。3方向から多角的にフィット感を素早く調整できる「トライアクスルフード」が採用されています。顔の動きにぴったりと追随し、良好な視界を確保できました。
ツバの先端は芯が入っていて、雨を効果的に遮ってくれます。ヘルメットにも対応可能。
安心感のある胸ポケット

ポケットは軽量に特化した設計なので左胸ポケットのみ。スマホも問題なく入るサイズ感です。
使い勝手的には腰にもポケットが欲しいところ。小物の収納場所はうまく考える必要がありそうですね。

もちろんポケット(写真の黒い部分)は防水生地。ファスナーにも防水性の高いものが使われています。
またフロントファスナーの中央部には車のライトなどに反射して光るテープが備わっており、自転車やランニングでの使用にも適しています。
袖や裾の調整もサッと手軽

袖口のバンドは細めの設計。細かい調整もサッとおこなうことができました。

両裾にあるドローコードは、引くだけで裾のフィット感を調節可能。風や雨の侵入を防ぎます。
「軽く快適に」を追求する人におすすめしたい

3層構造のレインウェアとして業界トップクラスの軽量性・透湿性を実現したピークシェルジャケット。その軽やかさと持ち運びやすさ、行動着としても使える機能は大きなメリットとなるでしょう。
一方で耐久性や防風性で気になった点もあったので、使用シーンを考えて使う必要があると言えます。
「スーパー ドライテック ピークシェル ジャケット」はこんな人におすすめ
・トレランやファストハイクなどのスタイルを楽しむ人
・装備を減らし、軽快な登山を求めている人
・行動着として使えるレインウェアが欲しい人
・登山以外にも自転車、ランニングなどを楽しむ人
適したシーンにピタッとハマれば、これほど便利で快適なレインウェアは他にはないはず! ぜひピークシェルジャケットで、これまでにない軽やかな登山を体感してみてください。
スーパードライテック ピークシェルジャケット Men’s

提供:mont-bell
- 価格
- ¥24,200(税込)
- 平均重量
- 168g
- 素材
- スーパー ドライテック®3レイヤー[表:7デニール・ナイロン・リップストップ]
- カラー
- ブラック(BK)、ダークグリーン(DGN)、ターコイズ(TQ)、イエロー(YL)
- サイズ
- S、M、L、XL
スーパー ドライテック ピークシェル ジャケット Women’s

提供:mont-bell
- 価格
- ¥24,200(税込)
- 平均重量
- 152g
- 素材
- スーパー ドライテック®3レイヤー[表:7デニール・ナイロン・リップストップ]
- カラー
- ブルーグリーン(BGN)、ライトグリーン(LGN)、パープル(PU)
- サイズ
- XS、S、M、L、XL
「スーパー ドライテック レイン ジャケット」との違いは?

提供:mont-bell
現在、モンベルが取り扱う「スーパー ドライテック」を採用した製品には、もう一つ「スーパー ドライテック レイン ジャケット」があります。
2つの製品のスペックを比較してみました。

大きく異なるのが重量と透湿性、生地の厚み、細かな機能の有無です。このスペックからも読み解けるように「スーパー ドライテック レイン ジャケット」は機能のバランスが取れた一着。コースタイム通りに歩くような一般的な登山、ハイキングがメインの人などはこちらを選んでみるのも良いでしょう。
なお、2024年春現在、「スーパー ドライテック ピークシェル ジャケット」 「スーパー ドライテック レイン ジャケット」のレインパンツは販売されていません。展開モデルの中から、シーンに応じた組み合わせで選んでみてください。