届け!30万人 山の安心をひろげるプロジェクト 第2弾 / 希望者全員にココヘリをプレゼント 限定ステッカーももらえる! / 今すぐ申し込む

履いた人がみんな絶賛!日本初トレイルシューズのガレージブランド「pentapetala」に惚れるワケ

関西のアウトドアアクティビティの拠点、神戸・六甲山麓で誕生した「pentapetala(ペンタペタラ)」。ガレージブランドは数多くありますが、ペンタペタラは唯一無二、トレイルシューズを手掛けるブランドです。

クラフトマンがひとつひとつ手づくりしているそのシューズも、ブランド同様に唯一無二のフィット感と機能性を装備。ランニングでもハイクでも、履いた人すべてを「より長く、より遠くへ」と導いてくれるシューズでした。その詳細をレビューします。

目次

アイキャッチ画像:ポンチョ

見たことがないけれど、なんだか気になるシューズ

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

「pentapetara(ペンタペタラ)」を最初に知ったのは、2024年にレビュー記事を書いた「yamada packs」のデザイナー山田さんが履いていたのを見た時でした。

「見たことがないけれど、それどこのシューズですか?」と問うと、「神戸の六甲山麓のペンタペタラです。日本で初めてのトレイルシューズのガレージブランドなんです。イベントに出展した際に知り合って、試し履きさせてもらったら調子よくて、最近はコレばかり履いているんですよ~」。

六甲といえば、首都圏での高尾山界隈同様に、トレイルランナー、ハイカー、さらにはクライマーやサイクリストが集う、関西のアウトドア・アクティビティの拠点。そこで生まれたガレージブランド。しかも私が日常から山まで履いているトレイルランニングシューズを、なんと一足ずつ「手づくり」しているといいます。

「履いてみたい!」と、連絡先を教えてもらました。

詩的で美しいネーミングと溢れるこだわり

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

ペンタペタラのシューズは、2021年から開発をはじめ、2023年に上写真の「パピリオ」を発売。現在までラインナップはこの1足だけ。それだけで、こだわりのあるガレージブランドらしさが感じられます。

各地のアウトドアイベントやアウトドアショップ等での受注会で受け付けた分を、クラフトマン2人で生産しているため、なかなか手に入りづらいシューズ。そうわかると、道具好きとしては、益々興味が湧いてきます。

ちなみに、ペンタペタラは高山植物の「チングルマ」の学名に由来していて“5枚の花びら”、パピリオは“アゲハチョウ”という意味だそう。アウトドア好きがうれしくなる、美しいネーミングです。

「可憐だけれどもたくましいチングルマのように美しく、機能的なシューズを生み出すブランド、アゲハチョウのようにヒラリフワリと跳ぶように移動し、踊るように楽しむトレイルシューズ」などと、勝手な妄想をしたそのシューズのスペックは、下記の通りです。

モデル名
パピリオ
価格
¥29,700(2025年2月現在)
重量
267g(27cm)
サイズ展開
25.0cm~29.5cm
カラー
アッパー黒のみ、ミッドソール白、黒、グレー

ベロはペラペラな一枚布

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

初めて着用した際の印象は、「ボリュームのある厚底のミッドソールを採用しながら、履き心地は軽い」でした。アッパーが薄めで、ガード、サポート類も必要最小限。軽さを狙ったつくりであることは、一目瞭然です。

撮影:ポンチョ

履き口まわりも、他ブランドのトレイルランニングシューズやトレッキングシューズと比べて、クッション量が少なめ。なにより、シューレースの下部に備わっている、アタリを和らげ、足のブレを防ぐシュータン=ベロに、クッション材がまったく入っていません。

ドレスシューズ=革靴では、このベロが革一枚なのは当たり前ですが、動きの激しいランニングシューズ、スポーツシューズでは、シューズ内でブレる足を抑えるために柔らかいクッション材が入っているのが通常です。

だから、軽さ重視のシューズでフィット感は二の次か!と思いがちですが……。

履いてみた印象は、「攻めている!」

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

そう考えるのは早合点。例えば、トップアスリートのシューズ、陸上短距離走、マラソン、球技ならサッカーや野球の選手が履くモデルは、アッパー素材が限りなく薄く、履き口にもベロにもほとんどクッション材が入っていないものが多くあります。

それらは履いていることを忘れるくらいの軽さを装備。アスリートひとりひとりの足に合わせてつくっているので、フィット性も当然よいものです。さらに、アスリートの動きも研究。最大限のパーフォーマンスを発揮できるような機能が盛り込まれています。

撮影:ポンチョ

過去にトップアスリートモデルを取材時に着用した経験がある私は、それらギリギリを攻めているシューズに似た印象を、ペンタペタラのパピリオに感じました。

トレイル=登山道という不整地で使うシューズであっても、オーダーメイドではなく既製品であっても、足と一体になるフィット感を装備させれば、アッパーには必要最小限のサポート、クッション材で問題ないという確信が、ペンタペタラにはあるのでしょう。

それを象徴しているように感じられるのが、ペラペラのベロ、薄い履き口です。でも、硬くて当たったり、コシがなくてヘナヘナな履き心地ではありません。むしろ足との一体感を強く感じます。いや、一体感があるのですが、アッパーの存在が他のシューズと比べると、かなり希薄です。その感覚がアスリートモデルと似ていて、ギリギリを攻めていると感じたのです。

最小限のサポートで、ブレを抑えている3つのポイント

撮影:ポンチョ

さて、「必要最小限のサポート」と書きましたが、これは「サポートがほとんどない」という意味ではありません。パピリオには、的確なサポートが装備され、加えてシューズの形状がブレを抑制するのに機能しています。

そのポイントは、3つあります。

ブレを抑えるポイント①:カカトがスッっと収まるヒールカップ

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

つま先を上げて、地面にカカトをトントンと打ち付けて、ヒールカップにカカトを収める動きをすることは、シューズを履く際の基本です。それからシューレースを締め込むことで、シューズ内で足がブレたりズレたりすることを抑えられます。

でも、このヒールカップの形状が合っていなかったり、浅かったり、柔らかかったりすると、カカトをしっかりホールドしてくれません。その点でパピリオのヒールカップは、包み込むという表現がぴったりな丸みがあり、深めで、動きに負けない硬さを装備しています。

撮影:ポンチョ

また履き口のサイドは、緩やかにカーブして足首にフィットしながらも、クルブシへのアタリがありません。

実際に山を歩き、走っているなかで「安定感の高さ」を感じられたのですが、それはヒールカップを含む履き口の形状のよさ、ホールド力の高さゆえでした。

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

ちなみに、シューホール最上部の2つのホールにもシューレースを通した“ヒールロック”と呼ぶ結び方をした方が、ヒールカップの安定感が増しました。人によっては甲の締め付けがキツく感じられることもあるので、適宜選択してください。

ブレを抑えるポイント②:前足部を抑えるスタビライザーとシューレース

撮影:ポンチョ

シューレースを通す穴=シューホールは5段で、細かく甲部のフィット感を調節できるものです。シューレースは楕円形で、シューホールがやや小さいこともあって、スルスルと素早く締め込めるものではありません。しかし少しずつゆっくりと締め込むことで、好みのフィット感を出せ、走行&歩行時に緩みにくいものです。

また、土踏まず付近から甲を包むように伸びるスタビライザーが機能。シューレスを締め込むと、甲を包むようにアッパーを引き寄せ、足との一体感を生み出します。

ペンタペタラ パピリオ
撮影:ポンチョ

そしてその一体感はアッパーの存在を薄くし、足裏にソールが装着されたような感覚をもたらします。装備されているソールは厚底なので、フワリとしたものが足裏に付いている感じです。

ブレを抑えるポイント③:足指を動かせるオブリークトゥ

撮影:ポンチョ

つま先部は、オブリークトゥと呼ばれる足のカタチに沿ったワイドな形状を採用しています。いわゆるベアフット=裸足感覚のシューズに多く採用されている形状で、足指をしっかり使って歩き、走れ、スピードコントロールもしやすくなる効果があります。

撮影:ポンチョ

そして足指を使うことで、動きのブレも抑えてくれ、「安定感の高さ」をもたらしているように感じられました。ちなみにパピリオは0(ゼロ)ドロップシューズでもあり、前足部とカカト部の高さが同じ。地面の上に立っているのと同じ状態で、多くのシューズのようにつま先に向かって前傾していないことも、ブレがなく安定感を得られるポイントだと思われます。

軽さとグリップ性、推進力を併せ持つアウトソール

撮影:ポンチョ

シューズの性能を左右するアウトソールは、ヴィブラムのライトベースというモデルです。高いグリップ力、トラクションで評判のメガグリップをベースにして、ソフトなミッドソールが剥き出しになった部分があり、全面がアウトソールではないことで、軽量化を図っています。

剥き出しのミッドソール部の耐久性が心配になりますが、数百キロを走っても、使用に問題はないとのこと。

撮影:ポンチョ

アウトソールの突起部=ラグには、力が掛かる方向に小さな点状のラグを装備。粘りのある素材でグリップ、表面積を増やしたラグでトラクションを得る仕様です。これにより地面に嚙み込む感覚が強く、グイグイと進んでいける感覚が歩行を楽しくします

ミッドソールは厚底だけれど、安定感あり

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

ミッドソールは、約20mmある厚底です。しかし不安定さを感じるほどの厚さではなく、長時間長距離を走り、歩くほど、高いクッション性が足のダメージを軽くしてくれていることに気がつきます。

それは重い荷物を背負った場合も同様です。特に岩稜帯、砂利道を移動する時の突き上げの少なさは、安心感があります。通常の登山靴はアウトソールの硬さで突き上げを抑えますが、パピリオはミッドソールの厚さと高いクッション性で、それを軽減します。

しかも不思議なことに、そのソフトさが足裏感覚をもたらし、さらには足指が使えることで、自在な歩行感が得られます。つまり、安定した歩きが可能になるんです。

ペラペラインソールも、フィット感の高さの証

撮影:ポンチョ

冒頭でベロがペラペラなことを書きましたが、実はインソール(中敷き)も必要最低限の厚みしかなく、ペラペラです。これを見て、以前、下町の革製登山靴を手づくりする工房を取材した際、職人さんが話していとこを思い出しました。

ウチの靴は足に合わせてつくっているから、インソールは要らないんだ」。

半信半疑でその靴を履いてみると、確かに足裏に中底がフィット。内張りもしっかり施されているので、違和感がまるでありませんでした。

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

インソールは、足裏をサポートすることで、そのシューズに不足しているフィット感や安定感を補うためのパーツなのです。だから、シューズにフィット感と安定感が備わっていれば、立体的なインソールは不要なのです。

パピリオはオーダーメイドではありませんが、しかしアッパーと足との一体感のよさは特筆もの。しかも足指を動かせるオブリークトゥ、裸足感覚のゼロドロップ、足裏感覚のあるミッドソール、よくグリップするアウトソールによって、安定感も秀逸。そこに不足しているものはなく、アタリを和らげる程度のペラペラなインソールでよいのです。

ストレスフリーなトレイルシューズ

ペンタペタラ
撮影:ポンチョ

パピリオは、100マイル=約160キロを走るトレイルランニングレースで機能するシューズです。でも、ペンタペタラは、「より長く、より遠くへ」をブランドコンセプトに掲げていて、ランだけでなくハイクも、その目的に入っています。

今回、約30キロのランニング、3泊4日の山行、デイハイクと、いろいろなシーンでパピリオを履いてみましたが、それらの時間を通して感じたのは、履き続けることにストレスのないシューズということでした。

多くのシューズは10時間も履いていると脱いで足を解放したくなるものですが、パピリオはそれがありませんでした。ある意味で、究極の裸足感覚といえます。

撮影:ポンチョ

願わくば、防水透湿素材を採用したモデルもつくってもらえると、この快適さをさらに享受できる時間が増えてよいのですが……しかし、このシューズは、水ヌケ、通気性、速乾性のよさも特長で、それらによって長時間履いても快適なのです。だから、防水性を装備することによって失うものも多いのでしょう。

ともあれ、私が初めてペンタペタラのパピリオを見た時同様に、「ちょっと気になる」と感じた方は、現在(2025年2月)は先に書いた通り、イベント等でのオーダー後、受注生産なので、下の公式Instagramで情報を確認。是非試し履きして、その履き心地に驚いてみてください! 

それでは皆さん、よい山旅を!