
このギミックは痺れる……!驚きとワクワクが詰まったブランド「FIELD RECORD」の革新性
FIELD RECORD、その名を知っているヒトはかなりのアウトドア道具好きです。注目のエピソードとしては、日本海からアルプスを縦断して太平洋まで駆け抜けるレーストランス・ジャパン・アルプス・レース(TJAR)を4連覇した望月将悟氏が、同ブランドの超軽量自立式テントを普段の登山用に愛用しているということです。
ですが、そのプロダクトは尖ったハイエンドモデルではなく、機能を出発点にデザインされた、美しく、楽しい道具です。その代表といえる超軽量アウトドア用座椅子とミニテーブルを紹介します!
2025/03/06 更新
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目次
アイキャッチ画像:ポンチョ
久しぶりに出合った「なんだこれは?!」な山道具

約30年間、さまざまなアウトドア道具を見て、触れ、使ってきました。そのなかで、「なんだこれは?!」と思った道具がいくつかあります。フィン付きクッカーを備えた野外瞬間湯沸かし器のジェットボイル、軽くて広い元祖ワンポールテントのブラックダイヤモンド/メガミッド、そして寛ぎの時間のお供・アウトドア用座椅子の元祖クレイジークリーク/オリジナルチェアーが、それらです。
どうやって使うんだ?!と思い、こんな効果があるのか!と驚き、長く使い続けたい!!と感激して、10年以上も、いやモノによっては20年を越えて愛用した道具です。

そして今回、久しぶりに「なんだこれは?!」と思ったのが、FIELD RECORD(以下、フィールドレコード)のチェアカーボンフィールドというアウトドア用の座椅子です。クレイジークリーク/オリジナルチェアを長く愛用しているので、アウトドア用座椅子というアイテムに対する驚きはありません。
しかし上のような収納状態を見ると、興味が湧いてきます。五角形の収納形状は、かなり珍しいものです。

別売で、専用収納袋(¥2,970)が発売されています。上画像を見てコレが座椅子だとわかるヒトは、ほとんどいないでしょう。さらに、収納袋なのに、なんだか、とってもカッコいいです。手抜きがないというよりも、つくり手の道具好きらしさが滲み出ています。
デザイン性に長け、心躍るギミックが満載

少し広げると、カーボン製のポールが2本出てきて、さらに「?」となるでしょう。それがアウトドア用の座椅子だとわかっていても、どうやって組み立てるのだろう?!とワクワクしてきます。

そしてカーボンポールをセットするスリットを見つけてセットしてみると、今度は疑問が湧いてきます。
これでは不安定じゃないのか??

交差したポールが1点で地面に接しているので、座って背もたれに身体を預けたら、不安定なのでは??
でも、不安定なものを不安定なまま発売する訳がないよな……と、ちょっとドキドキしながら座ってみると……。

あれ、意外や、ううん、案外、心地よく身体をあずけられます。
でも、完全に背もたれに体重をかけてみると、体育座りの場合は背中が左右に少し揺れます。やっぱりちょっと不安定です。以前流行ったバランスボールのように、座りながら微妙に体幹トレーニングをしている感じです。

でも、胡坐をかいた状態だと、尻と足でつくられた下半身の三角形によってバランスが取れて、揺れが収まります。
腰上部をチェアの背もたれ、ポールが押すように支えてくれて、なかなか快適です。支えられているけれども、左右から包まれてはいないので、身体の動きの自由度が高い。窮屈じゃないのがいいです。
あえて選択したV字ポール

さて、V字ではなく、X字にポールを配せば安定感がよくなることは、この不思議な形状の座椅子を設計したデザイナーさんも承知しているようです。公式HPには以下のように書かれていました。
「X字型は若干安定しますがフレームが長くなり組み立ても複雑になる為重くなります。
そこであえてバランスと体幹を使うV型を採用する事で、より軽く、より早く組み立てられるようになりました。
必要最小限の構造を持った超軽量座椅子です」

必要最小限、よいコトバです。ウルトラライト(超軽量)よりも、哲学的で、道具の本質、登山の基本を感じさせてくれて、私は好きです。
必要最小限を求めてポールをV字構造にしたことで、軽さだけでなく、上画像の座面の背後から伸びる中央のストラップの長さ調節によって、必要最小限のパーツを追加するだけで、リクライニング機能を装備させています。つまり背もたれの角度を変えられるのです。
こういうギミックを見ると、道具好きはワクワクしてきます。ちなみにスペックは下記の通りです。
- モデル名
- チェアカーボンフィールド
- 価格
- ¥14,520
- サイズ
- W43cm x L52cm x H40cm
- 重量
- 270g
- 素材
- 100%カーボンファイバー3K / LDPEフォーム / アルミ蒸着フィルム / ポリエステルフィルム / リップストップナイロン / コーデュラ
アーティストが手掛ける挑戦的なデザイン

2018年、静岡県で展開を開始したフィールドレコードは、これまで世界最軽量クラスの自立テントやチェア、テーブルを手掛けています。そのプロダクトは、既存のガレージブランドのようなウルトラライト特有のモチーフをベースにしたデザインではなく、曰く「機能を形状にする試み」が感じられる、挑戦的で意欲的なデザインが特長です。
例えば、上画像のブランドマークも、マグネティックフィールドレコードという大地の磁力、重力によってグラフィックを描く装置で描いたもの。この独特の表現は、サウンドプロデューサーであり、プロダクトデザイナーであり、音楽とデザインを融合させたアート活動を行う共栄designの岡本光市氏が手掛けています。
それを知ると、いろいろなことが腑に落ちます。

チェアカーボンフィールドは、単に機能を形状にしたのではなく、あらゆるデザインの根本にある自然の造形をモチーフにしているようにも感じらます。
もし機能を重視して、コンパクトさを優先させたなら、座面と背もたれはもっと薄いパッドにして丸められるようにしてもよかったはずです。それを収納サイズが大きくなるにも関わらず五角形をベースにした折り畳み方法を採用しているのは、花や星をの美しさを象徴しているからなのでは?! などと、想像します。その想像が正しくなくてもいいんです。そんなことを夢想して使うのが、道具好きは楽しいのです。
そしてそのデザインは、アウトドアの道具としては、これまでにない挑戦的で意欲的なものです。
昨今のアウトドアの道具は、無駄を削ぎ落し軽さを求めた後、必要な使い勝手=機能を付加させているものが多くなっています。
しかしフィールドレコードは、軽さを追求しながら、使い勝手をデザインによって取り込もうとしているように思えます。だからただ軽いだけの道具とは異なる、雰囲気のよさ、ワクワク感があるのだと思います。
一枚シートの樹脂製ミニテーブルも用意しています

使い勝手をデザインによって取り込む……そう感じられたフィールドレコードの道具がもうひとつあります。上画像のウルトラライトテーブル(¥3,960)です。一枚のポリプロピレン板を太さ1.5mmのオリジナルダイニーマ芯ガイラインで締めることで、テーブル形状にセットできます。重さはわずか45gです!
アウトドア用のミニテーブルは、折り畳み、または一枚板のテーブルトップと別体の脚部を備えた仕様が標準的です。しかし、これはテーブルトップと脚部一体型。軽さと収納性を、そのデザインによって実現しています。

ちなみにテーブルトップは折り目通りに半分にすることもできます。さらに耐熱素材のエアロゲルポットマットも付属していて、熱に弱いポリプロピレン製のテーブル上で、ガスバーナーでの調理も可能です。
また、UL好きが愛用するアルコールバーナー使用時には、別売のカーボンプレート(¥1,595)を使用して、さらなる耐熱仕様にすることができます。
ここまでしっかりと実際に即したものが用意されていると、これをつくったヒトは、道具好きなだけ、デザイン好きなだけのデザイナーさんなのではなく、アウトドアをしっかり楽しんでいるのだろうと確信します。
組み立ては至極簡単!

組み立て方は、簡単です。
ダイニーマコードを引っ張ってロックで固定すると、折り紙のように山と谷が合わさり脚部が立ち上がります。最初の組み立て時は折り目にクセがついていないので迷うかもしれませんが、2回目以降は迷い知らずです。
そして脚部を立ち上げた際の形状、なんとも心地よい美しさです。途中で角度を変えて強度を上げている点なんて、なかなか惚れ惚れします。

テーブルトップの高さは7cm。脚部の高さ調節はできないので、できるだけ平坦な場所を見つけるか、脚の下に小石を置いて高さを調節をする必要があります。
また耐荷重は4kg、ソロクッカー、小型ストーブ、カップ程度を置くことが前提です。
ウルトラライトというより必要最小限、いや必要十分

実際にカーボンプレートとエアロゲルポットマットを置いて、ガスバーナーとカップを置くと、あとはカトラリーを乗せるスペースしかありません。
モデル名はウルトラライトテーブルで必要最小限のスペースしかありませんが、山のソロテーブルはこれで必要十分です。
テーブルとイスは同ブランドで揃えたい

ところで、テーブルとイス、どちらも登山に持って行ける、持って行きたくなる、超軽量&必要最小限モデルを発売しているブランドは、あまり多くありません。
ミニテーブルはガレージブランドも多く手掛けています。でも、構造が複雑だからなのか、加工が大変なのか、または山では不要と考えているのか、ガレージブランドのULチェアーはほとんどありません。
逆に軽量なイスを手掛ける大手メーカーは、シンプルなULテーブルの開発を、なぜか行なっていません。軽さよりも、快適性を重視しているのか、山用のテーブルはマーケットが小さいと考えているかもしれません。

今回、フィールドレコードのチェアカーボンフィールドとウルトラライトテーブルを紹介したのは、どちらも超軽量で登山に持って行きたくなるモデルだからです。同ブランドの道具なので、相性もぴったりです。収納サイズも同じくらいなので、私はひとつのスタッフサックに入れて、持ち運んでいます。
当然、使用時もバランスのよさが感じられます。上画像のように、見た目も、雰囲気も合っています。
そしてこれらを山のテント場で使っているヒトを見かけたら、きっと「あれは、なんだ?!」って、なるでしょう。いや、私ならなります。
それでは皆さん、よい山旅を!
FR-chair carbon field / チェアカーボンフィールド
サイズ | W43cm x L52cm x H40cm |
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収納サイズ | W29cm x L21cm x H8cm |
重量 | 270g |
素材 | 100%カーボンファイバー3K / LDPEフォーム / アルミ蒸着フィルム / ポリエステルフィルム / リップストップナイロン / コーデュラ |
FR-CCF with Dyneema®
サイズ | W43cm x L52cm x H40cm |
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収納サイズ | W29cm x L21cm x H5cm |
重量 | 200g (手作業による作成の為若干前後します) |
素材 | Dyneema® Composite Fabric / EVAシリカエアロゲルフォーム / 100%カーボンファイバー3K / LDPEフォーム / リップストップナイロン / コーデュラ |
FR-ground sheet M / FR-グランドシートM
サイズ | 88cm x 82cm |
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収納サイズ | 17cm x 8cm x 4cm |
重量 | 80g (手作業による作成の為若干前後します) |
素材 | アルミ蒸着高密度ポリエチレン不織布 / アルミ蒸着フィルム |
FR-ULT / ultra light table / FR-ウルトラライトテーブル
サイズ | テーブル:21 x 29 x 7cm エアロゲルポットマット:16 x 12cm |
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重量 | テーブル:45g エアロゲルポットマット:3g |
耐荷重 | テーブル:4kg |
素材 | テーブル:ポリプロピレン、ダイニーマ芯ガイライン エアロゲルポットマット:エアロゲルEVAフォーム |
FR-ULT-cw / ultra light table cloud white/ FR-ウルトラライトテーブルクラウドホワイト
サイズ | テーブル:21 x 29 x 7cm エアロゲルポットマット:16 x 12cm |
---|---|
重量 | テーブル:45g エアロゲルポットマット:3g |
耐荷重 | テーブル:4kg |
素材 | ポリプロピレン、ダイニーマ芯ガイライン エアロゲルポットマット:エアロゲルEVAフォーム |
FR-CFP / carbon fiber plate / カーボンファイバープレート
サイズ | 120mm×160mm×1mm |
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重量 | 35g |
素材 | カーボン |