もう百合でエモで巨大感情で青春だった。驚いた。最後まで読んで、思わず涙してしまった。
「ROCA」は、朝日新聞連載の「ののちゃん」に登場していたサブキャラクター「吉川ロカ」の物語を1冊にまとめたものだ。
朝日新聞にロカが登場していたのも、もう10年近く前の話になる。それ以後はいしいの個人同人誌でロカは力強く歌ってきたそうだ。
そうだ、というのも、私はいしいひさいちの同人活動については知らなかった。
鮮やかな緑を背に歌うロカを見て、なんだか気になり、すぐ注文した、すぐ家に届いた、すぐ読んだ。
凄かった。
「ROCA」は、たまのの市という田舎の港町から始まる2人の少女の物語だ。
"ファド"というポルトガルの国民音楽を歌う(歌以外はあまり得意ではない)15歳の高校生"ロカ"。
もう3回高校1年生をやっている、町のあぶない商会の支配人の娘"美乃"。
出会いのきっかけは、10年前に起きた連絡船の事故。2人はこの事故で両親を亡くしている。
ロカはすったもんだありながら、美乃と手を取り合い、時に蹴飛ばされ、歌手デビューを目指す。
…読み終わったあと、ぼーっと座っていた。
尊いような、寂しいような、やりきれない、この行き場のない感情を"サウダージ"という。と、先回りして作中で説明までされてしまった。
当たり前の話かもしれないが、いしいひさいちは画業50年を迎えるギャグ4コマ漫画家だ。
50年ナンセンスギャグを描いてきた70歳が、いま新たにこんな素晴らしい漫画が描けることに、また目頭が熱くなる。背筋が伸びる思いだ。
決して"らしくない漫画を描いている"のではない。
いしいの持つ独特のユーモア、毒、深い知見。
愛おしいキャラクターたち、ファドという音楽、郷里の玉野市、故郷で起きた連絡船事故。
私には計りようもないあらゆるものへの思い。
"漫画の完成に10年かかった"とHPにあったが、10年どころではない。
いしいという天才が50年間描き続けたからこそ生み出せた傑作だろうと感じる。
4コマ誌の廃刊の続く今、この漫画はかつて4コマ漫画の旗手であったいしいが再び投じた新たな火だと感じる。
京王線の芦花公園駅と何か関係あるんだろうか?
こういうやつらに百合として消費されて最悪
紹介をありがとう。 とりあえず、「ROCA」と「スクラップスチック それがどうした1」を買ってみた。 いしいひさいちを買うのは「女(わたし)には向かない職業」以来、久々かも。 二...
礼には及ばんでござる
週刊テレビ広辞苑の人か。有名になったね。
それはひさうちみちお