■Mac OS 9 終焉への道のり

Mac OS 9からOS Xへの移行は、多くのユーザーにとって緩やかで、様々な要因が絡み合った複雑なプロセスでした。

「こだわり続けた人が多かった」という記憶はまさにその通りで、OS Xが登場してもすぐにOS 9が消え去ったわけではありません。タイムラグは数年単位で存在しました。

具体的なタイムラインと、その理由を以下に示します。

OS X登場からOS 9併用時代 (2001年～2003年頃)

• 2001年3月: Mac OS X 10.0 (Cheetah) が発売されました。これは革新的なOSでしたが、初期バージョンゆえに以下のような課題がありました。

- 動作の重さ: OS 9に比べて動作が重く、特に初期のMacではパフォーマンスに不満を感じるユーザーがいました。

- アプリケーションの互換性: OS Xネイティブのアプリケーションがまだ少なく、多くのユーザーが使い慣れたOS 9用アプリケーションを利用する必要がありました。

- 周辺機器の対応: プリンタやスキャナなど、周辺機器のOS X用ドライバがまだ十分ではなかったり、不安定だったりしました。

- インターフェースの変化: Aquaインターフェースは斬新でしたが、OS 9に慣れ親しんだユーザーにとっては操作方法の変化に戸惑う部分もありました。

• OS 9の役割: これらの理由から、多くのユーザーはOS Xを試しながらも、日常的な作業は引き続きOS 9で行うという選択をしました。特にプロの現場では、特定のOS 9用アプリケーションが必須だったり、安定性を重視したりする傾向が強かったです。

• クラシック環境の存在: OS Xには「クラシック環境」という、OS X上でOS 9をエミュレーションする機能が搭載されました。これにより、OS 9用アプリケーションをOS X上で *ある程度* 利用することが可能になりました。しかし、ネイティブのOS 9環境に比べるとパフォーマンスや互換性に限界があり、全てが完全に動作するわけではありませんでした。

OS X普及期 (2003年～2005年頃)

• Mac OS X 10.2 (Jaguar) (2002年8月), 10.3 (Panther) (2003年10月) の登場: これらのバージョンでOS Xは大幅に進化し、動作速度、安定性、機能が向上しました。OS Xネイティブのアプリケーションも充実し始め、周辺機器の対応も進みました。

• OS 9の徐々に減少: OS Xの成熟とともに、徐々にOS Xへ移行するユーザーが増えていきました。しかし、依然としてOS 9環境を手放せないユーザーも多く存在しました。特に以下のようなケースです。

- 特定のOS 9専用ソフトウェア: 業務で特定のOS 9専用ソフトウェアをどうしても使い続けなければならない場合。

- 古いMacの活用: 古いMacをOS Xで動作させるのが難しい場合や、OS 9の方が快適に動作する場合。

- 過去の資産の活用: OS 9環境で作成したデータや、OS 9用周辺機器を使い続けたい場合。

OS 9終焉期 (2005年～)

• Mac OS X 10.4 (Tiger) (2005年4月) の登場: TigerはさらにOS Xの完成度を高め、多くのユーザーがOS Xへの移行を決断しました。

• クラシック環境の非搭載: Mac OS X 10.5 (Leopard) (2007年10月) 以降、クラシック環境が搭載されなくなりました。 これは、AppleがOS 9のサポートを完全に打ち切り、OS Xへの完全移行を促す明確なメッセージでした。

• OS 9のほぼ完全な終息: クラシック環境の非搭載により、OS 9用アプリケーションをOS X上で動かすことが事実上不可能になり、OS 9環境は急速に衰退しました。2007年以降は、OS 9をメインで使用するユーザーはごく少数になったと考えられます。

まとめ

• OS X発売 (2001年) から、OS 9がほぼ使われなくなるまで、おおよそ5～6年程度のタイムラグがありました。
• 2001年～2003年頃: OS 9とOS Xの併用時代。多くのユーザーがOS 9をメインに使いながら、OS Xを試す。
• 2003年～2005年頃: OS Xの普及期。OS Xへの移行が進

Permalink | 記事への反応(1) | 16:35

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