プロレス(Professional Wrestling)とは、格闘技(特にレスリング)をベースにしたエンターテイメントショーである。
レスリングの祖はギリシャのパンクラチオンとされているが、プロレスの祖はイギリスのランカシャーレスリング(関節技ベースのレスリング)ともアメリカのカーニバルレスリング(ショースタイルのレスリング)ともされはっきりしない。
19世紀前半には興行が行われた記録がある。
また、転じて見せかけだけのパフォーマンスのこと。「あんな党会議はただのプロレスだ」
日本では"力道山が初めてテレビマッチを行った"1954年がプロレス元年と捉えられている。力道山・木村正彦組vsシャープ兄弟の戦いから始まったプロレスの全国中継は開始間もないテレビ放送のキラーコンテンツであり、国民に大きなインパクトを与えた。[1]
概要
ルール
四方のコーナーポストと3本のロープ及びマットで形成されたリングの上で闘うのが一般的であるが、団体によっては六角形のリングや金網でリングを囲ったものも存在し、更に空き地やロックフェス会場などの野外、はたまた商店の中で行われることもある。
リングの土台の構造は団体により異なるが概ねボクシングリングより衝撃を吸収する工夫が施される。
試合形式は多岐に渡るが基本はシングルマッチ・タッグマッチの2形式である。
特にタッグマッチの導入は他の格闘興行には見られない形式で、プロレスが他格闘技に比べ多くの試合数をこなせる大きな要因となっている。
勝敗を決める要素は一般的には下記の5つである。※団体、あるいは個別の試合により全くルールが異なる場合もある
・両肩をマットに押さえ込まれた状態でレフェリーに3回カウントをされる(1カウント≒1秒)
・関節技・絞め技により選手がギブアップ(敗北)を宣言する
・失神・怪我・事故によるレフェリーストップ
・場外に出た後場内に戻らず、レフェリーが10or20カウントする
・反則負け(反則状態で5カウントされる)
反則は以下のような物が一般的である。5カウントまでは反則負けは適用されない。ただし、団体により使用がレフェリーに確認され次第即反則負けになるものもある(新日本での飯塚高史のアイアンフィンガーによる地獄突きやWWEでの毒霧攻撃など)
・武器の使用
・相手がロープを掴んでも(ロープエスケープ)関節技を離さなかったり打撃技を出し続ける
・ナックル(握りこぶし)での顔面の殴打
・金的・目潰し・チョーク(気道をふさぐ)・噛み付き
顔面への殴打やチョークが禁止されている反面、肘や頭突きの使用は認められている。また、デスマッチと呼ばれる特殊な形態の試合の中には「"レフェリーが特に危険とみなし"ても反則とされない」という過激なものも存在する。
興行
1興行で大体7試合前後組まれ、座って観戦できる一般入場チケットは3000~10000円程。
東京ドームや日本武道館などの大きな会場から体育館や駐車場はおろか、前述したように野外(島・路上・キャンプ場・海など)で行われる場合もある。野外で行われる興行の中にはDDTプロレスリングの路上プロレスのように、リングを用いず会場全域を使ったプロレスも行われることもある。
地方を回る巡業を行うのが慣例であり主要都市以外でも興行は行われるが、逆に限定した地域のみで興行を行う団体もある。
運営
育成(ex.練習生は寮に住み込む、ちゃんこを食べる)や運営(ex.巡業制)での基本システムは相撲の影響が根強い。これは基礎を作った力道山が相撲出身であり相撲関係者からのアドバイスを得ていたからとも言われる。かつては(元)看板レスラーが会社社長を務めるケースが一般的であったが、出資者(タニマチ)や会社スタッフ(営業職などの非レスラー)が務める団体も多く存在する。
プロレスは格闘技か否か
非常に議論にされやすい話題であり、興味の無い人間の揶揄の批判材料にも使われやすい。
プロレスラーは概ね格闘技の経験者であり、格闘家兼プロレスラーとして活動する選手もいる等格闘技が出来ない訳ではない。ジャンルを問わず興行というもの自体がエンターテインメント要素を伴う「ショー」であり、これはプロレスに限った事ではない。
しかしながら、格闘技は倒し合いの追求、プロレスは魅せ合いの追求でありその目的は明確に違うとするのが一般的である。
相手の技をよけないなどの「魅せ合い」について揶揄する者もいるが、研究を笑う人間は科学社会に適しているとは言えず、応援する物が廃れるとまた別に移るような人種なのであまり関わらない事が得策と言える。
メジャーインディー論争
こちらも線引きが曖昧な要素であり、先述の項目と共に議論及び批判材料になりがちな部分である。
力道山らが旗揚げした日本プロレスの流れを汲む団体である全日本プロレス、新日本プロレスが「メジャー」のカテゴリから外されることはほとんどない。また、この2団体から選手が離脱、旗揚げを経て派生したNOAH、ZERO1もメジャーに入れる、という声もある。
一方のインディーはインディペンデント(独立)の略称で、団体としての起源は国際プロレス所属選手らによって旗揚げされたパイオニア戦志が開祖とされている。その後、大仁田厚を中心としたFMW、東北地方を中心として活動するみちのくプロレスによりこの言葉が広まっていった。現在はみちのくの他に、横浜に本拠地を構える大日本プロレスが地盤を築いている。
近年ではメジャーでもインディーでもないメキシカンスタイルを中心とする闘龍門から派生したDRAGON GATE、インディーの代表的団体から業界を超える注目度を集めているDDTプロレスリングら新興団体が、新日本プロレスとともに日本マット界の中心に立っている。一部では「ネオメジャー」団体などと呼ばれることもあった。
かつてはメジャーとインディーの違いとして会社の規模や選手や試合の質、更にリングと客席を隔てる鉄柵のあるなしを挙げる意見もあった。しかし、鉄柵はともかくとして東京スポーツが制定するプロレス界最高の栄誉とされるプロレス大賞を非メジャー団体選手も当たり前のように獲得するようになった現在、もはやこうした区分は過去のものとなっているともいえる。
なお、世界最大のプロレス団体であるWWEの年間売り上げが約7億2920万ドル(1ドル=110円換算で、約802億1200万円、2017年決算)、日本最大の新日本プロレスでも54億円(2019年度決算)である。WWEを前にしてはこうした争いも不毛な「コップの中の嵐」なのかもしれない。
日本のプロレス界における新型コロナウイルス状況下
2020年からは新型コロナウイルスの流行により色んなスポーツ、イベントを自粛せざる得なくなった。
中でもプロレスは無観客試合での配信サービスで視聴してもらうなど配信活動でその場を凌ぐ流れとなった。その後規制された中で興行は再開されたが観客席は50%を維持、歓声やブーイングと言った声出しは禁止等本来の観客と選手が一体となった観戦形態に出来ない状況になり特にプロレスはその影響をダイレクトに受けた状態となった。
近年はブシロードが「新日本プロレス」と「スターダム」、サイバーエージェントが「DDTプロレスリング」、「プロレスリング・ノア」、「東京女子プロレス」、「ガンバレ☆プロレス」と大資本がバックについてる団体がコロナ禍でも踏ん張れてる状態でそれらのバックのない団体はほぼ青色吐息状態にある。
なおアメリカは現在上記のような規制を撤廃しており、完全に元の観戦形態に戻っているためそこが日本との違いで羨ましがる声も大きい。
2023年に新日本プロレスが新ガイドラインを制定、施工。ガイドラインを適応出来た大会は不織布マスク着用で100%収容での完成解禁が可能となった。
日本プロレスリング連盟(UJPW)
2023年12月15日に日本プロレスリング連盟(英:United Japan Pro-wrestling)の結成を発表。健全な業界間の競争は維持しつつプロレス業界共通の課題の解決に向けての意見交換や情報交換を行える場所を確保し業界のイメージ改善、持続的発展を図っていくのが狙い。
合意の取れた9団体6企業によってスタートするが決してそれ以外がプロレスではないと排除するわけではなく結成以降も加盟団体を広く受け入れるとともに多様なプロレス文化形成を目指す。初代会長は坂口征二、事務局長には菅林直樹、事務局は新日本プロレス内に置かれる。
2024年5月6日には日本武道館で団体設立記念興行を行う予定。
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関連項目
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- 女子プロレス
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- レスリング
- エキプロ
- 北米版アイドルマスター / 北米版
- ファイプロ
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