2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧
文藝家協会ニュースに、谷沢永一のお詫び文が載っていた。『運を引き寄せる十の心得』(ベスト新書)の最後のほうの「司馬遼太郎に後事を託された」という一節が、福田みどりと上村洋行の名誉を傷つけたと両者から抗議があり、弁護士を入れて協議した結果、…
昨年来、古典医学研究家の槇佐知子なる者が、大塚ひかりさんにいちゃもんをつけ続けている。大塚さんは槇が訳した『医心方』を参考にしていくつかの文章を書いているのだが、槇はそれが著作権侵害だと言うのだ。バカを言ってはいけない。古典の注解、翻訳を…
私が『なぜ悪人を殺してはいけないのか』に「反時代的考察」と副題したのに対して、表題作の死刑存置論は、日本人の多数派が存置論であるから反時代的ではないだろうと言われた。しかし、大学教師や知識人、マスメディアの世界では、やはり反時代的なのだ。…
宮下整の『戦前の少年犯罪』の大仰な物言いが、勢古浩爾さんの新著で批判されているのを見たが、勢古さんも、その少年犯罪の実態は知らなかったらしい。もちろん私だって知っていたわけではないが、そんなもんだろう、と思っただけだった。濱本浩の「十二階…
http://d.hatena.ne.jp/kasegi/20080417 どうもこういうわけの分からん奴らがいるので、分かりきったことだがあえて教育的指導をしておく。 どうやら世間には「小説家」と「文藝評論家」を対立関係に置いて考えたがる人がいるようだが、 「小説を批評したり…
古い話で恐縮だが、呉智英さんは『大衆食堂の人々』で「シラカバ派の知識人」という文章を書いている。その筋では有名なもので、シラカバ派の定義についても諸説ある。 その中に、石川淳に関する文章があって、上田秋成『春雨物語』の「樊噲」に関するものだ…
武藤さんの『文学鶴亀』の冒頭に「紅野敏郎の直言」という文章がある。これは初出の1993年に読んだ。これではないのだが、武藤さんは確か「紅野敏郎の書くものは、すべていいのだ」とどこかに書いていて(『マリ・クレール』だったか)、当時「ほお」と思っ…
佐々木俊尚が、「人気ブログ『天漢日乗』」などと『諸君!』の連載で書いていたが、ホントか。私がリンクした時、急にアクセスが増えたと天漢君が言っていたが、佐々木は前は「NC−15」が人気ブログだと書いていた。実は私のところで人気ブログを探してい…
ドラマ版「白い巨塔」の一、二話をDVDで観た。石坂浩二の娘が大学の仏文科の大学院にいて「今年は卒業ですって」。大学院は「卒業」したりしないが、それは別に言葉の問題ではなくて、修士の修了ならば、博士課程へ行くのかとかそういうことが問題になる…
時おり、西洋の評論の翻訳で「これは閉所恐怖症的であり」などというのを見かけるが、それは「閉所恐怖を引き起こす」の誤訳だろう。claustrophobicとあるのを、英和辞典で引いてそのまま訳している悪い例だ。 私立大学でよくあるのが、研究室がずらりと並ん…
「共和主義」といえば、君主制を否定する思想のことであると思っていたし、ウィキペディアでもそう書いてあるが、最近ではそうではない別の「共和主義」が出てきているようだ。 ポーコックの『マキャベリアン・モーメント』の邦訳が出たが、これなどその一例…
今ごろになって『中央公論』4月号の水月昭道氏の文章を読んだ。先月読んでいたら読者投稿欄にでも投稿したのに・・・。 というのは意外だったからで、最初の三分の二は『高学歴ワーキングプア』の内容紹介のようなものだが、最後のほうでよく分からないこと…
枡野浩一さんが送ってくれた『淋しいのはお前だけじゃな』の文庫版を、台所のテーブルの上に置いておいたら、妻がカヴァーを外して中味だけ持って外出してしまった。そこで枡野さんに代わって一首。 人妻に裸にされて拉致されて少し嬉しい春の大雨 - 今日は…
これで第二部は四人欠員だあ。まあ、第二部の会員なんてほとんど死亡適齢期だから、こういうこともあるわな。しかし『アポロンの島』ってどこが名作なのか全然分からないんだよね。それ以外に、何があったのか、という気もするし。顔がハンサムだったとか。…
こないだ触れた木村朗子さんだが、本を見ても、東大院言語情報修了とあるだけで、大学はどこを出たのか書かれていない。あとがきには、元は英文学をやっていたとあるが、どこでやったのか、全然分からない。荻上チキも東大院修了としか書いていなかった。昔…
芸術院第二部(文藝)会員が続けて死ぬなあ。年だから当然なのだが、これで第二部は三人欠。補充しようにも、あれは芸術院賞をとった人から選ぶのが普通で、今年は第二部は受賞者がなかったので、受賞してまだ会員でないのは、まどみちお、高階秀爾、富岡多…
前に掲載して、どうでもいいかと思って消したものだが、未だに議論している者らがいるので再掲する。 『文学界』の2005年11月号に載っていた片岡直子の文章を今ごろ読んだ。ちょっとした人気詩人・小池昌代の詩や小説が、先行する詩や小説から影響を受けて…
谷崎年表の訂正です。明治45年5月30日と翌日、里見紝が出てきますが間違い。あれは泡鳴日記に「山の内」とあったのを里見だと思ったためで、里見は確かに四月に京都へ来ていたが27日に帰っているから里見ではない。吾八こと山内金三郎(神斧)らしい。 東大…
恐ろしい長生きだったなあ。これで文壇の最長老は、99歳のまどみちお。 - 近ごろ、「障がい者」という表記をよく見かける。「障害者」ではまるでその人が他人に害をなしているようだというのでそうしているのだろうが、そもそもこれは「障碍者」あるいは「障…
こないだ、若くして修士論文を本にした人をあげたが、何人か落としていた。西成彦が『個体化する欲望−ゴンブロヴィッチの導入』をエピステーメー叢書から出したのが1980年12月で、これも修士論文だろう。西は55年生まれだから25歳で、最年少ということになる…