取締役会設置会社ではない株式会社(以下便宜的に、取締役会非設置会社ということにします。)においては、会社の業務執行の意思決定は取締役の過半数の一致により決定します。確かに任意の会議体の決議を取締役会決議と表現するのは、混乱を招きかねないので、あまり余り好ましいとは言えませんが、実質的には、取締役の過半数の一致による決定とみることができるでしょう。(なお、旧有限会社法の時代、登記実務では申請書に添付された有限会社の「取締役会議事録」を「取締役の決定書」が添付されたものとして登記を受理していました。)
>恐らく、株主総会で決議しないと認められないと思いますが、どの
程度の決議(内容)なら、任意の取締役会となるのでしょうか?
ここでは、任意の取締役会決議を取締役の過半数の一致による決定とみることができるものとします。株主総会の決議事項かどうかは、会社法に定めがありますから、個々の条文を見ていくしかありません。例えば、株式の分割は、取締役会設置会社では取締役会の決議事項ですが、取締役会非設置会社では株主総会の決議事項になります。
>例えば、役員変更(×)
取締役会設置会社でも役員の選任、解任は株主総会の決議事項です。なお、取締役会非設置会社では、取締役の互選により代表取締役を選定するには、定款の定めが必要です。
>売掛金滞納取引先への法的措置(△)
業務の意思決定ですから、大丈夫です。
>夏休みの設置(○)など‥、
これも業務の意思決定にあたります。
会社法
(株式の分割)
第百八十三条 株式会社は、株式の分割をすることができる。
2 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
省略
(業務の執行)
第三百四十八条 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置、移転及び廃止
三 第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
4 大会社においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。
(株式会社の代表)
第三百四十九条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
省略
お礼
詳しい回答ありがとうございます。 ごていねいに「株主総会の決議事項」や「取締役の業務」を提示 いただき、助かります。 →おっしゃるとおり、常勤3名・非常勤2名の取締役なので、日常の 重要な事は常勤3名で決めています(内1名代表取締役)。 →その打合せや会議を“一応”取締役会と呼んでいるに過ぎません。 また、その結果をとりあえず(=文書)残しているのが実情です。 ・小さい会社ですので、会議のための会議は無用の長物。何より早めの意思決定が求められます。日々即断即決に追われてます(苦笑)! ありがとうございました。 また何かありましたら、お教えください。