“fam”と送る音楽三昧な日々の結実──never young beach、2ndアルバム『fam fam』ハイレゾ独占配信
ついにリリースとなったnever young beachの2ndアルバム『fam fam』! OTOTOYではハイレゾ独占配信(もちろん通常音源もあり)が、歌詞ブックレット付きでスタート。
「血縁の家族・堅い絆で結ばれた仲間」を意味するスラング英語“fam”を冠したアルバムはその名のとおり、結成わずかで作り上げた前作『YASHINOKI HOUSE』から1年を経て、バンド・メンバーはもちろんのこと、エンジニア、テック、マネジメントなど彼らに近しい人物とも含めて音楽三昧に歩んできた日々の結実。スタイルはそのままに、随所に見られる進化にはわくわくさせられる、言うなればこれまでのネバヤンの"旨み"を凝縮したようなアルバムがやってきたのだ。
ヴォーカル&ギターの安部勇磨とドラムの鈴木健人へのインタヴュー前編では録り音の良さへの驚きにはじまり、その音作りへの意識の変化、そして"快楽&実行主義"な彼らの芯に迫る内容に。後編ではまさに"fam"な彼らの関係性を垣間見つつ、さらに一歩作品へと踏み込んだ。
2ndアルバム独占ハイレゾ配信&歌詞ブックレット付き
never young beach / fam fam
【Track List】
01. Pink Jungle House
02. Motel
03. 自転車にのって
04. fam fam
05. なんもない日
06. 雨が降れば
07. 夢で逢えたら
08. 明るい未来
09. お別れの歌
【配信形態 / 価格】
[左]24bit/96kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC
[右]16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC / MP3
単曲 250円(税込) / アルバム 2,000円(税込)
※アルバム購入で歌詞ブックレット(PDF)が付属します
INTERVIEW : never young beach
【インタヴュー前編はこちら】
今回のアルバムと合わせて2枚で1枚って感じ
──安部くんの「ちゃんとやろうぜ」的な指示は、演奏面、レコーディングなどの現場でも?
安部勇磨 : それはもちろんそうなんですけど、例えばスズケンはすごいちゃんとやるし、彼のドラムも僕はすごく好き。今回は佐藤くんも一緒にいてくれたから全く不安もなかったし迷うこともなかった。むしろ録り終えたものを聴くのがとても楽しみでしたね。阿南、タツさん(巽啓伍)もそう。基本殆ど心配なくて。だから、マツコ(松島皓)だけですね、今回指示飛ばして怒ったのって(笑)。「お前は明らかに練習が足りない、こんなこと言わせるな」とかね。ニュアンスとか手から出る音のバラつきとかがグルーヴに関わってくるのに、お前はそれを気分でやってるのか、たまたまなのか、技術不足なのか、それとも本当にそれがいいと思ってやってるのか、そこをハッキリしてくれ! とかね。
鈴木健人 : それを聞いてもマツコはまたハッキリしなかったり(笑)。
安部 : や、阿南とかもあるにはあるんですよ。フレーズを半音ハズして弾いて「ヘヘ、間違えちゃった」とか、アンプ忘れちゃった、とかね。でも、阿南はやる時はちゃんとやるし、林くんと合同で今回音を作って、これまでにはないフレーズとかを出してくれたりしたんです。「夢で逢えたら」のギター・ソロは阿南なんですけど、すげーなって思うようなソロを弾いてくれて大満足なんですよ。でも、マツコにはそういうのがあんまりなくて(笑)。「fam fam」とかでギターのヴォリューム下げてくれって言っても、「このギター感度がいいからすげー下がっちゃうんだよなー、できないんだよなー」とか平気で言うんですよ(笑)。お前それできなかったらギタリストじゃねーし、お前のギターなんだろ、それが! って。言い訳するんじゃねーよ! って。そんな感じで今回は特にまっちゃん(松島)に怒りました(笑)。
鈴木 : そういう曲ごとのイメージとか方向性をメンバーで概ね共有するようにはしているんです。もちろん勇磨が全部把握はしていて、そこから指示があったり、まとめていくようなことにはなっているんですけども。
安部 : 阿南とかは宅録好きだから、すぐコンプをかけたがるんですけど、今回はそういうのはやめようってちゃんとあらかじめ伝えて。
鈴木 : 阿南、テーム・インパラ好きだしね(笑)。
安部 : そう(笑)。だからすぐコンプかけちゃう。気持ちわかる、わかるけど、それは僕ら5人でやることじゃないよね、PAELLAS(阿南の別ユニット)でやってもいいけど、ここではやめようって阿南にはちゃんと話して。そうやって曲ごと、作品ごとに共有していくようにはしましたね。それは去年のアルバムよりちゃんとしていたと思います。
鈴木 : 録音の休憩中に、阿南は「せっかくいい音で録ったんだからちょっといじってみたい」ってポロっと言ったんです。でも、勇磨が「いい音なんだから、録り音のこのままでいこう」って説明して。そういうちょっとした会話でズレとか思惑の違いをちゃんとなくしていった感じでしたね。そういう意味でも今回はすごく手応えのある作品なんです。ただ、これは僕個人の意見なんですけど、じゃあ、前作はダメだったのかっていうとそうじゃなくて、今回のアルバムと合わせて2枚で1枚って感じもするんですよね。
安部 : あ、それよくわかる。『YASHINOKI HOUSE』ってすごく前のめりに作ったアルバムで、やっと今セカンド作って落ち着いた、という感じもあるんですよね。
鈴木 : 2枚作って曲も出揃ったしね。
安部 : うん、だから今回は当たり前のことを当たり前のようにして作ればいいやって感じだったのかも。やってて楽しい、気持ちいいっていうのも自分たちの中で当たり前のことだし。
割とお気楽に作っちゃうこともある。ちょっと飽きてきたからゲームでもする? みたいなノリで(笑)
──では、1曲が3分程度と短いのも、楽しい、気持ちいいの沸点がちょうどこのくらいの長さだからですかね?
安部 : そうですね。この曲これくらいで終わらせようっていうね。それ以上長くやると、阿南とかがすぐブーたれる。「長くない?」とかって(笑)。
鈴木 : 飽きちゃう。曲作りの方法とか変わっていないんで、当然のように気持ちいい時間がこれくらいっていうか…。
安部 : キセルのライヴとかを見て、ゆっくりした3拍子の曲とかやってみたいなっていうのはあるんです。でも、阿南の顔が浮かんできて、あいつ、16分弾きたがりだしな~って(笑)。
──ただ、3連の曲(「夢で逢えたら」)は今回のアルバムにはありますね。リズムのヴァリエイションは前作より遥かにある。
鈴木 : 3連の曲ありますね。初挑戦。
安部 : 3連は阿南が好きなんだよな。
鈴木 : 僕とタツさんのリズム隊がやれる曲が増えてきたというのはありますね。
──今回、リズムを中心に曲調に幅を持たせるのは最初から決めていたことですか?
安部 : や、最初は殆ど考えていませんでしたね。僕がハミング程度の曲をスタジオに持ってきてみんなで合わせる、というのがいつものやり方なんです。でも、ベース・ラインだけはなんとなく頭にあって、こんな感じ、こんなノリで、って伝える感じですね。でもコードがわかんないからちょっとやってみて、みたいな。そっからだいたい作り上げていく感じ。作り込んでデモを作って持っていくってことはしないんですよ。前にやっていたバンドでは結構リフとかまで考えて作っていたんですけど、それだとつまんない。今は阿南とかタツさんとかスズケンとかが僕が思いつかないような意外なフレーズを考えてくれる。その方がおもしろいものができるんで。僕は歌とベース・ラインくらいしか考えないですね。
──「fam fam」はモータウン調のベース・リフですね。ああいうアイデアも安部くんが?
安部 : そうです。あ、でも、「fam fam」を作っていた時は、練習に詰まったってこともあってメンバーで「ベース誰が上手いか選手権」をやろうって感じで遊んでて。みんなでベースをやってみたんですけど、結局僕が弾いた「ダッダッダー、ダッダッダダー」ってベース・ラインが採用されたって感じでしたね。割とそんな感じでお気楽に作っちゃうこともあります。家でみんなで飲んでDVD見て、ちょっと飽きてきたからゲームでもする? みたいなノリですよ(笑)。
お前はお前でちゃんと自分のことをやってくれ、その上で僕らのことをイイって言ってくれたら嬉しいし
──でも、「fam fam」は歌詞がこれまでになく内省的ではありますよね。そういう曲が実はそうやってメンバーみんなで場を共有しながら緩く完成されていたという経過がおもしろい。パーソナルな思惑が強く出た歌詞なのに、曲自体は安部くんの個人ワークではない。楽曲はメンバーや仲間と共有しようという意識が常にあるということなのでしょうか?
安部 : それはありますね。僕、ゲームやるのも誰かとしかやらないんですよ。ひとりで家に籠ってゲームなんてしない。あと、人にちょっかいを出すのが好きで、眠そうにしているヤツがいたら起こすし、逆にこっちが眠い時に「大富豪やろうぜ」って言われたら、眠いのにやっちゃう。みんなで楽しくやりたいんですよね。「明るい未来」って曲は恋人のことを歌った曲なんですが、恋人だけじゃなくて、メンバーも友達も家族も飼ってる犬もみんな同じ感覚で楽しもうって感じになっちゃうんです。すぐみんなに「どっかいこう」って誘うし。断られちゃうんですけど(笑)。ウチのバンドの松島くんってギタリストはいつもライヴ後にパッと帰っちゃうんで、毎月25日は僕と遊ぶ日って決めてますね(笑)。アルバム・タイトルにある“fam”ってスラングで家族とか血縁とか契りを結んだ仲、みたいな意味なんですけど、そんな堅苦しい感じじゃなくて、とりあえず好きな仲間とかでワーッみたいな感じを意味してるんです。実際、never young beachは僕らメンバーだけじゃなくてキタさん(レーベル・オーナーの北澤学)、カメラマンの相澤(有紀)さんとかも含めて一つの家族っていうかチームっていうか。でも、もちろん楽しいんですけど、水準が高くなければ続くことじゃないし飽きるし、僕らもどんどん変わっていくだろうし、だからこそちゃんとした活動をしなければいけないなって思うんですよね。
鈴木 : “楽しい”の質も変わってくるしね。
安部 : もちろん誰でもオッケーってわけじゃないし、俺についてこい的な意識も全然ないし、「ついていきます!」みたいなのはちょっと… って思うんですよ。ただ、お前はお前でちゃんと自分のことをやってくれ、その上で僕らのことをイイって言ってくれたら嬉しいし。だってリスペクトし合えないとヤじゃないですか。僕らを見て気に入ってくれるヒッピーみたいな人もいますけど、中身がない、ただのヒッピーはほんと困る(笑)。そのために僕らもちゃんと尊敬されるよういいものを作るし、いいライヴをしなきゃって意識が高まるんですよね。
鈴木 : 僕ら割と個人練するんですよ。
安部 : 僕もやっぱり歌に対する意識が変わってきましたね。『YASHINOKI HOUSE』の時と、今回のアルバムとでは歌い方、ほんと変わったと思うんで。これは去年ライヴをしまくった成果かなと思いますね。
──ええ、今回のアルバムでは安部くんの歌い方、語尾が伸びるような節回しがとても特徴的だなと感じました。二拍あったら二拍目がすごく伸びる。
鈴木 : ああ、確かに。
安部 : 歌もバンドの中のグルーヴを担っていると思っているんですけど、リズム隊との引っかかり方で1番グルーヴ出るのはこういう歌い方なんですよね…… エンジニアの池田さんにも言われましたよ。歌い方変わったって。『YASHINOKI HOUSE』の時は全然歌い切れていない、込められてないって思ってたって。実際、あの時はライヴ10回もやってなかった末にレコーディングやったんでね。でも、ライヴを90本くらいやって、ようやく自分の歌の気持ちよさというのが掴めた感じなんですよ。自然とこの歌い方に辿り着いたっていうか。
──節回しが時々演歌っぽくもある。
鈴木 : (爆笑)。
安部 : それ、キタさんにも言われた。「ちょっと巻き過ぎじゃね?」って(笑)。
鈴木 : 誰かが言ってた、「ちょっとコブってる」って(笑)。
──コブシ入ってる。
安部 : そうそうそうそう。でも、僕としては超自然だったんですよ。で、歌入れの時、これですっごく上手くいって、エンジニアの池田さんからも「安部ちゃん最高!」って言われて、で、ブース出てメンバーみんなの顔を見たら…… アレ? みたいな(笑)。
鈴木 : (爆笑)。
安部 : スズケンも最初はブースの中まで入ってきて「超イイ」とかって言ってくれたのに(笑)。
鈴木 : でも、結果としてはいくらか調整しつつも、この歌い方が僕らにとっても自然だってことに気付いてからはむしろ僕らも聴いていて気持ちよくなった。勇磨が歌いやすい、気持ちいいポイントが見つかったってことが何より大事。レコーディングのための練習の結果というより、ライヴを積み重ねた結果ですからね。
音楽が何より好きで、音楽を僕らからとっちゃったら何も残らないですからね
──アルバムでとりあげている高田渡の「自転車にのって」も、ライヴのサウンドチェックとかでやっていますよね。やっぱりライヴ活動の中からこういうカヴァーも出てきたと?
安部 : これはですね、去年、NHKの『ライブビート』に出演するにあたって僕ら曲数が足りなくて(笑)。『YASHINOKI HOUSE』には宅録の曲もあるじゃないですか。それはライヴではやらないから実質的には5曲くらいしかない。既に今回のアルバム用の曲もあったからそれを足しても、曲が短いから、頑張っても30分くらいしかもたないわけです。で、どうしたらいいかって考えて……。
──え、数合わせ?
鈴木 : あ、いや、その時に足りなくてやったのは細野晴臣さんの曲だよ(笑)。
安部 : あ、そっか(笑)。
鈴木 : 「自転車にのって」は曽我部恵一さんとのセッションのためにやろうってことになったのがきっかけじゃなかった?
安部 : そうそうそう! で、僕大好きだった高田渡さんのこの曲をやったら意外と僕らにも合うな~ってことに気づいて。で、今回アルバムを作る中で、ちゃんとバン! と出来上がってる曲が最初8曲しかなかったから……(笑)。
──またしても数合わせ!
鈴木 : 語弊しか生まないですけど、その通りなんですよ(笑)。
安部 : でも、結果としてアルバムの中ではいい感じで馴染んでくれたと思います。とにかく去年ライヴをし過ぎだったんですよ。それで曲をちゃんと書いてまとめていく時間がなくて……。
鈴木 : でも、そのおかげで前作から1年で次のが作れたし、去年のアルバムとの連続性みたいな感じになったというのもあるし……。
安部 : や、そうなんだよね。ライヴのお誘いをたくさんもらうのはありがたいことで、おまけに魅力的なイベントが本当に多くて。僕なんかライヴがなかったら寂しくて死んじゃいますから(笑)。ていうか、それ以前に、音楽が何より好きで、音楽を僕らからとっちゃったら何も残らないですからね。そこでちゃんとやらなかったら、それこそただの現実逃避ですよ。でも、僕らはちゃんと今に向き合っているし、自分自身に向き合ってますんで。
インタヴュー : 岡村詩野
写真 : 雨宮透貴
取材協力 : CITY COUNTRY CITY(http://city-country-city.com/)
<<前編 : 快楽&実行主義なnever young beachの明るい現実との向き合い方
過去作
never young beach / YASHINOKI HOUSE
never young beach、1stアルバム。昭和な純喫茶から漂う珈琲のにおい、春の訪れから夏休みまでのワクワク、真夏の蒸せ返るような暑さ、残暑から秋に移り変わる哀愁など、様々な景色、におい、感情、日常が混じり合った独特な空気感、そしてユーモア溢れる歌詞が自然と流れていく全9曲。トリプルギターのアンサンブルが最高に気持ち良く、サイケデリックでエキゾチック、かつ極上のポップサウンドは彼等にしか成せないオリジナリティに溢れた傑作。
>>1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』特集インタヴュー
ソフト・サイケデリック・デイドリーム・ポップ! 蒼く甘いメロディがゆらめく白昼夢ベッドルーム・ポップ全8曲!! never young beach現体制前の、安部と松島による宅録ユニットでの作品。即完売し現在入手不可能の手作りダンボール加工ジャケ+ZINE付の自主制作音源が、OTOTOY限定で配信中。
LIVE INFORMATION
never young beach『fam fam』TOUR
2016年7月9日(土)@渋谷WWW(ワンマンライヴ) ※ソールドアウト
2016年7月15日(金)@大阪AKASO
出演 : never young beach / キセル New!!
2016年7月16日(土)@名古屋TOKUZO
出演 : never young beach / Yogee New Waves New!!
[その他イベント]
YATSUI FESTIVAL 2016
2016年6月18日(土) / 19(日)@渋谷周辺ライヴ会場11ヶ所
※18日(土)出演
OUR FAVORITE THINGS 2016
2016年7月10日(日)@岐阜 各務原 河川環境楽園
出演 : OGRE YOU ASSHOLE / Yogee New Waves / 髭 / Suchmos / HALFBY / ORLAND / deadbundy / never young beach
PEANUTS CAMP
2016年8月20日(土) / 8月21日(日)@一番星★ヴィレッジ(市原市オートキャンプ場)
※出演日後日発表
PROFILE
never young beach
阿南智史(Gt) / 巽啓伍(Ba) / 安部勇磨(Vo&Gt) / 松島皓(Gt) / 鈴木健人(Dr)
2014年春に安部と松島の宅録ユニットとして活動開始。暑さで伸びきったカセットテープから再生されたような奇特なインディ・サイケ・ポップ『HOUSE MUSICS』をダンボール仕様のジャケットで100枚限定で発売。ライヴもせずに口コミで瞬く間に話題となり、ココナッツディスクなど一部店頭のみで販売し即完売。2014年9月に阿南、巽、鈴木が加入し、現体制の5人組になる。9月に初ライブにして自主企画〈Fight Club〉を開催。2015年5月に1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』をリリースしロングセラーとなり2015年上半期の『CDショップ大賞』ノミネート作品に選ばれる。7月末にFUJI ROCK FESTIVAL'15に出演。土着的な日本の歌のDNAをしっかりと残しながら、どこか海外の海と山が見えるような匂いを感じさせる。そしたら誰かが言った…西海岸のはっぴいえんど」と。2016年1月には『YOSHINOKI HOUSE』のアナログ12inch盤がリリース。同年6月、待望の2ndアルバム『fam fam』をリリース。
>>never young beach Official HP