聴きたいなら買う。そんなことが失われていく現代へ──THE COLLECTORS、ライヴ・アルバム連続リリースの真意とは
THE COLLECTORSのフロントマン、加藤ひさしは「“音楽を買う”というシステムを取り戻さないといけない」「作品に触れるのなら、対価を払うべき」と、このインタビューで何度も強く訴えていた。だってそうしないと、文化はやがて衰退していくのだから。THE COLLECTORSは今年1月から12ヶ月連続で渋谷クラブクアトロで毎月ライヴを開催、その後ライヴ音源をダウンロード販売するという企画を敢行中。散々議論されてきたこのサブスクリプション・サービス(以下、サブスク)論争に対し、彼は自身のマンスリー・ライヴとライヴ音源でひとつの答えを提示する。
渋谷クラブクアトロ マンスリーライヴについて
〈THE COLLECTORS QUATTRO MONTHLY LIVE 2023 “日曜日が待ち遠しい!〉
2023年1月より、渋谷CLUB QUATTROにて12ヶ月連続のマンスリー・ライヴを開催中。
2023年1月15日(日)の初日を皮切りに、2023年12月10日(日)まで毎月開催される。次回の開催は、5月14日(日)。
全公演が後日パッケージ化され、ダウンロード販売される。(サブスクはなし。)今回は1月の初回公演をパッケージ化した、「THE COLLECTORS QUATTRO MONTHLY LIVE 2023 "日曜日が待ち遠しい!SUNDAY ON MY MIND" 2023.1.15」の販売がスタート!
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INTERVIEW : 加藤ひさし(THE COLLECTORS)
THE COLLECTORSが現在渋谷のCLUB QUATTROでマンスリー・ライヴを敢行中だ。すでに1月~4月分が終了しており、次回の開催は5月14日(日)。このまま2023年いっぱい継続されていく。もともとこうしたマンスリーやウィークリー企画は頻繁にやってきたTHE COLLECTORS。2018年にもクアトロ・マンスリーは開催されていて、その時は映像作品『CLUB QUATTRO MONTHLY LIVE 2018 “LAZY SUNDAY AFTERNOON”』 として後からリリースされた。
だが、今回のマンスリーは違う。各公演後にZAIKOにて映像配信したのちに、そのすべての公演をひと月(作)ずつほぼ完全な形でライヴ・アルバムとしてダウンロード販売する計画なのだ。マンスリーを継続しながら、それと並行して、終了した公演の音源を調整し、ひとつの作品としてリリースしていく壮大な計画。もちろん、その作業の工程にリーダーの加藤ひさしが自ら関わっている。最高の音質で録音することに一切の妥協をしない。演奏ももちろん一切手を抜かない。曲目は毎回異なる。その上、加藤自身、毎回ミックスとマスタリングに立ち会い、良い音質で届けることを徹底する。加藤がそこまでこだわるのはなぜか? それは以下のインタビューを読んでもらえば一目瞭然だが、すなわち、ミュージシャンとしての矜持、誇り、プライドだ。
その第一弾として『THE COLLECTORS QUATTRO MONTHLY LIVE 2023 “日曜日が待ち遠しい! SUNDAY ON MY MIND” 2023.1.15』がリリースされた。全19曲、一部のMCがカットされている以外はほぼ完全収録。ダウンロード販売のみ。サブスクはない。聴きたいなら買う。ただそれだけのことが失われつつある現在の状況に、加藤はただただ立ち向かう。この企画にかける思い、意志、あるいは意地といってもいいかもしれないアーティストシップの高さが感じられる加藤ひさしの熱きトークをぜひ読んでもらえれば幸いだ。
取材・文 : 岡村詩野
写真 : 西村満