いまは0点でも100点でもいい──小池貞利(the dadadadys)が貫くストレートな表現
「ギター・ソロっている?」、「イントロは短い方が聴きやすい」という現代の流行を一切無視した、傑作がリリースされた。tetoとして活動をしていた小池貞利(Vo / Gt)、佐藤健一郎(Ba)、元2のドラマー、yucco、サポート・ギターとして参加していた山岡錬、元ヤングオオハラのギタリスト、儀間陽柄から成るロック・バンド、the dadadadys。現体制になってから初の作品となる、EP『だ』と『da』の根底には、「やってきたこと」「やりたいこと」があり、その強い意思からは、これぞロックバンドだ! という姿勢を強く感じる。2作品について、フロントマンの小池が語る。
the dadadadys、新作を2枚同時リリース!
INTERVIEW : the dadadadys
3月22日に配信限定EP『だ』『da』の2タイトルを同時リリースした、the dadadadys。今年1月に、これまでサポート・ギターとして参加していた儀間陽柄が正式加入し、5人体制となった彼らが放った今回の2作品は、彼らがやりたいこと、好きなこと、楽しいと思えることをストレートに突き詰めたものになっている。そんな今作についてはもちろんのこと、この1年の振り返りや今抱いている考え方について、小池貞利(Vo/Gt)にきいた。
取材・文 : 峯岸利恵
写真 : つぼいひろこ
「やりたいこと」と「やるべきこと」
──今年1月に儀間さんが正式加入されたことで5人体制となり、the dadadadys活動開始から1年が経ちましたが、振り返ってみていかがですか?
小池貞利(Vo/Gt)(以下、小池):運が良かったなと思います。自分が積み上げてきたものがあって、それがそのまま続いているとは思っていないので。ベースの佐藤健一郎は、teto時代から一緒にやっていたメンバーなんですけど、teto時代に俺と佐藤以外のメンバーが抜けたんですよね。その時に、そのままtetoとして続ける選択肢もあったんですけど、なんか飽きちゃったなと思って。そんなタイミングでドラムのyuccoを紹介してもらって、女の子がひとり入るんならギタリストを2人加えた5人組にならなきゃなと思ったし、更にそこでタイミング良く、各々がやっていたバンドを抜けた山岡錬と儀間と連絡を取っていたという幸運が重なって、いまの体制になったんですよね。なので、本当に運が良かったなと思います。
──編成の変更についてはすんなり受け入れられたんですか?
小池:音の足し算引き算に関してはなるようになるだろうとは思っていました。例えるなら、四角形の部屋から五角形の部屋に間取りが変わっただけだと思っているので、やりたい事の配分をその形に合わせていけばいいんだと思っていましたし。なので、4人の頃から音楽に対する考え方や、プレイに対して求めることも変わってきてはいますが、いまの形で不自由なことはなにひとつないですね。
──今回の2作品は各6曲ずつ収録されていますが、合わせたらフルアルバムも作れる曲数だと思います。敢えて2作品に分けたことにはどんな理由があるんですか?
小池:異なるカラーリングの2作品を出したいなというアイデアは、制作前から考えていたものでした。片方で、いま自分がやりたいことをやって、もう片方では、もう少し幅広く、より大衆寄りというか……「やりたいこと」と「やるべきこと」で差異をつけるニュアンスですかね。前者が「da」で、後者が「だ」なんですけど。
──「やるべきこと」というのは、バンドとしての使命感や見せ方についての、ということですか?
小池:いや、そこについては全く考えていないですね。バンドってこういうものだから、こういうものがカッコイイし、俺はそうやって学んできたんだよ、ということを示すのは「やるべきこと」かなと思っています。幸いなことに、それが「やりたいこと」との大きく乖離していないからこそ、今回のような2作品を出すことができたんだと思います。