改めて語られる、ワンダフルボーイズの魅力──積み上げてきた思いの根源に迫る
これまで何度も、ワンダフルボーイズを追ってきたオトトイ。過去フィーチャーした記事ではフロントマンである、Sundayカミデへの単独インタビューが中心だったが、今回はギターを担当するアツムワンダフルが初登場。尊敬しあうふたりがする会話の節々にはワンダフルボーイズというバンドのおもしろさがつまっていた。新しい角度からバンドの魅力をお届けするとともに、本日リリースされたデジタルシングル「spring summer set feat. AFRA」について、Sundayカミデと深い親交があるライター、真貝聡がきく。
AFRAを迎えたワンダフルボーイズの新作
INTERVIEW : ワンダフルボーイズ
2020年、コロナの感染拡大によってミュージシャンは人前でライヴができなくなり、アーティストとリスナーの間に大きな溝が生まれた。Sundayカミデをはじめ、ワンダフルボーイズも例外ではない。特にSundayは主催イベント〈Love sofa〉の20周年記念公演が中止を余儀なくされた。まさにその渦中で生まれたのが、今回デジタルリリースされる「spring summer set feat. AFRA」だ。なぜ2020年ではなく、このタイミングで出すのか? その理由は楽曲完成から現在まで、彼らの過ごしてきた思いと重みがあった。
インタヴュー・文 : 真貝聡
写真 : つぼいひろこ
出会ってすぐに「サポートでギターよろしく」と誘った
──最近の大きなトピックでいうと、菅田将暉さんの新曲「美しい生き物」のプロデュースをされましたけど、どういう流れで決まったんですか?
Sundayカミデ(以下、Sunday):去年の梅雨頃、お話をいただいて事務所に呼ばれたんですよ。大きな会議室に通されて、菅田くんが僕の正面に、その周りにはいろんなスタッフの方もいて。そんななかで「曲を書いてくれませんか?」と言ってもらって。「もちろんいいですけど、もし菅田さんのなかで作ってる曲とか、途中までの曲があるならそっちの方がいいと思いますよ」と言ったんですね。やっぱり本人の持ってるものがいちばんいいと常々思っているので。そしたら「まだ全然途中なんですけど、書いてる曲があります」と言われて、それを聴かせてもらったらすごくよかったんです。その時点でダイヤモンドみたいな曲だったので、それをパッケージすることにして。
──「美しい生き物」でアツムさんは、ギターとプログラミングを担当されたんですよね。
アツムワンダフル(以下、アツム):そうです。ギターとかドラムを入れた後に、Sundayさんの色んな楽器の演奏を僕が録るというエンジニア的なことをさせてもらいました。
──そんな話題曲を手がけられたSundayさん、アツムさんを招いてのインタビューですけど、ワンダフルボーイズでSundayさん以外のメンバーさんがご登場されるのは、かなりレアケースですね。
Sunday:そうですね。とある作品の制作でアツムには1週間ほど東京に来てもらっていて、滞在中のスケジュールをパンパンに詰め込んでます。あと、もうすぐ上京するらしいです。
アツム:はい、春過ぎに上京します。
──ワンダフルのみなさんって、東京と大阪に分かれているんですか。
Sunday:基本的には僕以外は全員大阪です。
──そもそもおふたりは、どのようにして出会ったんですか。
Sunday:はじめてアツムを見たのは、ドラムの番長がやってるAFNICAというバンドのライヴで、アツムはギターを弾いてたんですよ。あれは何年前かな?
アツム:13年前ですかね。
Sunday:何歳くらいやったっけ?
アツム:僕は20歳でしたね。
Sunday:それが最初の出会いで、喋ったのはもっと後かもね。
アツム:でも、20歳の時にはワンダフルの前身バンド・しゃかりきコロンブス。のサポートをやってましたね。
Sunday:じゃあ、出会ってすぐに「サポートでギターよろしく」みたいな感じで誘ったのかも。
アツム:まだ全然喋ってない状態で、Sundayさんとふたりでボーダー柄のTシャツを買いに行った記憶があります(笑)。ただ、人見知りなんで全然喋ることもできなくて。
──しゃかりきコロンブス。といえば、ボーダー柄の衣装ですからね。
Sunday:それにしてもボーダーを着こなすのは難しいよね。生でカジヒデキさんを見て以来、ステージ衣装としては、もう着てないから。
アツム:そうですね、着なくなっちゃいましたもんね。
Sunday:もはや着ている自分が恥ずかしくなってしまいました。……という感じで、振り返ると13年前の出会いですね。
アツム:出会いはそうなんですけど、僕が初めてSundayさんを見たのは雑誌だったんですよ。Sundayさんがやっていたバンド・A.S.Pが載っていて、そこで知りました。その写真のなかでもボーダーを着てて。なぜか分かんないですけど、そのページを切り抜いてましたね。写真も服もすごいオシャレやったんですよ。
Sunday:それ何歳くらい?
アツム:17ぐらいですかね。
Sunday:それはすごいな。そんなニッチな記事を切り抜くっていうことは、アツムもオシャレな高校生やったんや。
アツム:えっと、僕自身はオシャレな高校生ではなかったです。
──とにかく、アツムさんのなかでは「Sundayさんは誌面に載るような向こう側の人」という認識からはじまったんですね。
アツム:そうですね。なのではじめて会った時は……テレビの人みたいなイメージで怖かったですね。オーラがあるから。
Sunday:オーラ? その頃はまだ消しきれてない時かもね。
アツム:いまは消したんですか?(笑)。
Sunday:とにかく消すように心がけてんねんけど、まだ若い部分があって、ちょっとだけオーラを残してしまうみたいな。いま考えると恥ずかしいけど、その時は残ってたかも。
アツム:怖かったし緊張しちゃいましたね。
Sunday:それがいちばんの反省ですね。年下の人を緊張させるのはいちばんよくない。