津波予測、パソコンでも数秒で スパコン富岳とAI活用
東北大学と東京大学、富士通研究所は16日、スーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を使い津波の浸水を精度よく予測する技術を開発したと発表した。事前に富岳で人工知能(AI)による予測モデルを作っておき、地震発生時には計測した沖合の波の高さをもとに一般のパソコンでも数秒以内に高精度な予測ができる。気象庁の認可を受け、2年後をめどに地方自治体や企業などへの導入を目指す。
近い将来の発生が予測される南海トラフ地震について、発生後5時間の沖合の波の高さと津波被害を富岳で2万回、シミュレーション(模擬実験)した。これらのデータをAIに学ばせた。地震発生時には沿岸部に津波が到達する時間や高さ、被害の範囲を、パソコンで素早く算出できる。
新技術で南海トラフ地震が起きた際の東京湾内の津波被害を予測し、すでに内閣府が想定している被害予測と比べた。差は少なく、高い精度を確認した。現在は13日に宮城、福島両県で最大震度6強を観測した地震は検証できないが、今後対応できる地震の種類を増やす。
これまでの津波予測は、地震発生後に大規模な浸水シミュレーションをするため、予測時にスパコンが必要だった。自治体や企業などが利用しにくい上に、10㍍間隔でしか予測できなかった。今回は3㍍間隔での予測が可能だ。
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