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75歳以上の独居世帯、2050年に46都道府県で2割超す

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団塊ジュニア世代が75歳以上になる2050年に1人で暮らす高齢者が急増する。国の研究機関が12日公表した世帯数の将来推計によると、山形を除く46の都道府県で、75歳以上人口に占める一人暮らしの割合が2割を超える。在宅医療や介護の体制拡充など、高齢者の生活を支える仕組みづくりを急ぐ必要がある。

全国では75歳以上の単独世帯が50年時点で704万人と、20年の1.7倍に増える。都道府県別では都市部ほど多く、全国最多の東京は20年の50万人から、50年には90万人に増える。次いで多いのが神奈川(56.9万人)で、大阪(56.5万人)、愛知(41.1万人)が続く。

75歳以上に占める一人暮らしの割合の全国平均は20年の22.4%から、50年には28.9%に上昇する。この間に都道府県別も全て上昇し、50年時点では山形(18.4%)を除く全都道府県で20%を上回る。東京(35.7%)など8都府県では30%を超える。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が20年の国勢調査を用いて、50年までの都道府県別の世帯数を5年ごとに推計した。推計は5年ごとに実施している。50年までには1971〜74年生まれの団塊ジュニア世代が全て75歳以上の後期高齢者となる。

40年時点の75歳以上に占める一人暮らしの割合の全国平均は27.4%で、社人研が19年に公表した前回推計(22.9%)よりも高まった。世帯の単身化と高齢化がさらに進む。

一人暮らしの高齢者が増えるのは、未婚率が高まっているためだ。20年の国勢調査によると、50歳までに一度も結婚したことがない人の割合(生涯未婚率)は男性で28%、女性で18%といずれも過去最高だった。都市部ほど高い傾向があった。

社人研の担当者は「都市部を中心に身寄りのない高齢者が増えるため、地域の問題として先を見越した対応が必要になる」と指摘する。

全世帯のうち、世帯主が75歳以上の割合は50年に28.3%と、20年に比べて9ポイントあまり上昇する。75歳以上世帯の割合は地方ほど高く、50年には秋田で37.8%、奈良で37.2%を見込む。若年層が都市部に流出している影響が大きい。

少子化の影響で、1世帯あたりの平均人数は全ての都道府県で減少する。平均人数が2人未満は20年時点では東京のみだが、50年には34の都道府県に拡大する。50年時点で平均人数は最も大きい山形でも2.15人となり、最も小さいのは東京と北海道の1.78人になる。

世帯総数のピーク時期は都市部ほど遅いが、45〜50年には全ての都道府県で減少に転じる。40道府県では50年時点の世帯総数が20年を下回る半面、7都県(東京、沖縄、千葉、埼玉、愛知、神奈川、滋賀)では上回る。

単身化と高齢化が進むと、社会保障は改革を迫られる。加齢で体力が落ちると、1人で通院するのは難しくなる。高齢者が健康なうちに「かかりつけ医」を持ち、予防や早期の治療に取り組むことが重要になる。診療所も患者のニーズに合わせ、外来から在宅医療に軸足を移す必要がある。

認知症への対策も急務だ。一人暮らしの高齢者は日常会話が少なくなり、認知症になりやすいとされる。発症しても早期発見が難しいため、対応が遅れて悪化する恐れがある。厚生労働省によると、認知症の患者数は22年時点の443万人から、50年には586万人と32%増える。軽度認知障害は50年に631万人と22年比13%増加する見通しだ。

要介護認定率は年齢が上がるにつれて上昇し、75歳以上では3割を超える。拡大する介護需要に応えるため、施設整備や訪問介護の拡大が求められる。少子化で働き手の確保は難しくなるため、外国人材の採用拡大や、人工知能(AI)やロボットの導入による省人化が必要となる。

社会保障給付費は膨らみ続け、18年時点の政府試算では40年度に190兆円と24年度予算ベースの数字に比べて4割ほど増える。年齢を問わず、全ての世代が負担能力に応じて支え合う仕組みの構築は欠かせない。健康な限り高齢者が働き続けられるようにし、老後に十分な生活資金を確保できるような年金制度改革が求められる。

街づくりも高齢化や人口をふまえた形に変える必要がある。一人暮らしの高齢者は強盗などの標的になりやすく、防犯対策が求められる。災害時には自力での避難が困難な「災害弱者」になるリスクを抱える。インフラの更新と並行して、人口減少が進む地域では集住を促す必要もある。

日本総合研究所の沢村香苗研究員は「地域によって人口や高齢化がピークを迎える時期に差があるため、取るべき対策も異なる」と話す。政府や自治体は地域の将来像を示し、住民に行動を促すべきだと指摘する。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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